#実話怪談 伝承奇譚「シナトサマ」
今年でちょうど三十歳になる島崎拓真さんは、子供の頃に体験したことを語ってくれた。
「子供の頃って、小学生くらいのことですか?」
ぼくの問いに、島崎さんは「はい」頷く。
「小学四年生か五年生でした」
当時の島崎さんは小学校が夏休みや冬休みに入ると、よく彼の祖父の家に泊まりがけで遊びにいったそうだ。その祖父は五年前に亡くなったが、生前は○○県と△△県の県境、山間にある小さな集落に住んでいた。
「祖母は心臓に持病を抱えていたそうで、ぼくが生まれる前に亡くなっています。だから