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弱さを許し合うチームづくり

こんにちは。小杉湯三代目の平松佑介です。
梅雨の季節に入り雨の日が増えてから、小杉湯スタッフ同士で「低気圧つらいね」と会話しているのをよく耳にするようになりました。実際、つらそうな顔で仕事をしている人もよく見かけますし、僕自身も雨の日はなんとなく体が重く感じます。番頭の塩谷は特に気圧に敏感なようで、雨の日は「気圧で体調しんどいので家で作業します」と自宅作業に切り替えることも都度ありました。

塩谷とは4年来の付き合いですが、彼女の体調には波があり、雨の日でも調子が良い時があれば、晴れなのにとても悪い時もあります。どんな時に体調が悪いのか、また体調の悪さの程度も非常にわかりにくいので最初は戸惑いを覚えましたが、その度に彼女の体調としっかり向き合い、どうやったらより働きやすくなるかを常に考えてきました。塩谷の他にも、体調に不安を抱えるスタッフは少なくないので、ひとりひとりの体調の波に寄り添い環境を整えることで、スタッフが心地よいと感じられる組織づくりをしていきたいといつも思っています。

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そんな風に考えて、日々スタッフひとりひとりと対話する時間を大切にしているつもりなのですが(まだまだ足りていないなと思う事のほうが多いですが)、ここ最近「低気圧つらいね」という会話がとても気がかりに感じていました。そんな時、塩谷が「低気圧に関する説明書を作りたい」と相談してくれました。小杉湯スタッフには低気圧で体調を崩す人が多いから、その人たちの体調を他のスタッフにも知ってもらいたい、何より、低気圧に限らずそういった弱さをもっていても働きやすい組織であって欲しいから、まず低気圧を取り上げて説明書を書いてみたいと。

「それいいじゃん、やってみなよ。」

彼女の提案を純粋に嬉しく思い、そのように声をかけたところ、"低気圧不調の説明書"というアイデアを形にしてくれたので、ここで紹介させていただきたいと思います。

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低気圧不調の説明書

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こんにちは、塩谷です。
数年前から、低気圧の日に体調を崩すようになりました。
低気圧の日、つまり雨が降る日や台風の時、季節の変わり目などで目眩、頭痛、吐き気、気分の落ち込み、やる気の低下など、心と体、両方の面で具合が悪くなってしまいます。
メカニズムとしては、気圧の急激な変化により自律神経が対応できず、自律神経のバランスが不安定になって体調を崩すと言われています。
低気圧の不調は表に出る症状ではないし、気圧が上がればコロッと治ってしまうので非常に分かりにくい病だと思います。そのため、「どうして頻繁に具合を崩すんだろう」「雨で機嫌が悪いのかな?声かけちゃだめかな?」などと、不思議に思ったりどう接すれば良いか分からない方も少なくないでしょう。

私は、体や心、性別、見た目、年齢など、様々なコンプレックスを抱えていても、互いが互いを理解し合って、尊重しあえる組織にしたいと心から思っています。
そんな組織を作っていくための一歩として、身の回りでも悩んでいる人が多い「低気圧不調」の症状と、お願いしたいことをまとめさせていただきました。お願いしたいこと、と言いましたが、必ずしもここに書いてあることを守って欲しいと強要するものではありません。誰かの行動を制限することは私の目指したい組織づくりとは真逆ですから。
低気圧の時はこんなことが起きている、ということを知っていただき、もし接し方が分からないという方は参考にしていただけますと幸いです。
少しお時間をいただきますが、どんな人でも働きやすい環境を作るため、ぜひご一読頂けますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。


<低気圧不調の症状>

・雨が降る前、雨が降っている時、台風の時などに気圧が下がることが多いです。気圧はアプリ”頭痛ーる”で7日先まで確認することができます。

・頭痛、吐き気、目眩、気分の落ち込み、やる気の低下、体の痛み、倦怠感、胃痛、貧血など様々な症状が出ます。人によって症状は様々です。

・お湯に浸かる、頭痛薬を飲むことで改善されることもありますが、重症の時は寝るしかありません。

・症状の度合いはその時々です。思ったよりも体調が良い時もあれば、思った以上に悪いときもあります。生理前や寝不足などの諸症状と重なるとより重症化しやすい傾向にあります。

・低気圧の症状は心持ちで改善しません。体調不良と同じです。

・低気圧不調が出た際は作業効率が著しく低下します。仕事を頑張りたくても、体が動きません。

・精神面に強い不調が出ている時は、素っ気なく見えることもあります。楽しい気持ちになれず、表情を作ることができないからです。また、少しのショックで激しく落ち込むこともあります。

・大きな音に敏感になる時もあります。その場合はイヤホンや耳栓をして会話をすることもあるかもしれません。


<お願いしたいこと>

・優しく見守っていただけると嬉しいです。低気圧中のことなので、時が経てば治ります。過度に心配や気遣いいただくなくて大丈夫です。いつも通りに接していただくのが一番助かります。

・無理に元気づけないでください。頑張っても治るものではないので、逆に「元気じゃない私はダメなんだ」とさらに落ち込み、抑うつ症状に発展する可能性が高いです。

・大きな声や圧力的な接し方は避けていただけると嬉しいです。普段よりも外環境に対して非常に敏感になっているので、萎縮して抑うつ症状に発展したり、ますます具合が悪くなる可能性があります。

・具合が悪いと話した時は、可能であれば休ませてあげてください。体調不良と同じ対応をして頂けますと幸いです。

・その他、人によって低気圧時にできることとできないことがあります。今日はこの作業が難しいと話した時は、ご理解頂けますと幸いです。


最後までお読みくださりありがとうございます。
低気圧についてまとめさせていただきましたが、とはいえ、低気圧の不調は外には出にくいもの。また、不調の度合いは人それぞれですし、体調が悪いことを言い出しにくい方もいると思います。
そこで、体調の目安となるように、幾つかバッチを事務室に置かせていただきます。低気圧で体調がすぐれない方は、そのバッチをつけてみてください。そして、周りの方は、上記のことをご参考にしてバッチをつけている方に接して頂けますと嬉しいです。
低気圧だけでなく、体調の悪い方もバッチを試してもらえると嬉しいです。

みなさん一人一人が心地よいと思える環境を作るために、ご協力頂けますと幸いです。よろしくお願いします。

塩谷歩波


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塩谷の説明書をみて、「私は、体や心、性別、見た目、年齢など、様々なコンプレックスを抱えていても、互いが互いを理解し合って、尊重しあえる組織にしたいと心から思っています。」という部分がすごく素敵だなと思いました。僕は小杉湯でこの考え方を育てていきたいと思ってきたし、そもそも、銭湯はそういう場所だと思うのです。説明書を受けて、互いが互いを理解しあって尊重できるチームを、そんな環境づくりをどのようにできるかを考えるようになりました。この説明書が良いきっかけになって、改めてスタッフのみんなに話を聞いたりしています。

塩谷はこの説明書をTwitterにも投稿して多くの方から反響をもらったと言っていました。ですが、同じように低気圧で苦しんでいる人からしか反応がなかったとも言っていました。「押しつけがましく感じる」という意見ももらったようです。でも「低気圧ってこういうことなんだと知ってもらうことが大事だと思ってます。」と書いているように、何も互いが互いを理解し合う所まで目指さなくていいと思うんですよね。お互いの弱さや苦手なこと、もっというと「人は弱い」という前提にたったうえで、チームづくりや環境づくりをしていくことが大切だなって思います。みんなからは強いと思われている人にだって、弱い部分はあるし、そういう人ほど自分の弱い部分を話すことが苦手だったりすることもあります。今後、株式会社小杉湯では、低気圧に限らずスタッフの"弱さ"に耳を傾けていけたらいいなと考えています。

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"出せないと、出さない"は大きく違います。ひとりひとりが声を出せる、精神的に安全だと感じられる環境づくりを目指していきたいです。それは、ひとりひとりのことを、互いが互いのことを、知っていくことだと思うし、僕はそういう関係性のチームが好きなんです。そして、スタッフだけでなく、小杉湯にくるお客さまみんなが、この場で同じ気持ちになれるような、そんな暖かい場所を今後も形作っていきたいと思っています。だって銭湯は人の弱さを許してくれる場所なのですから。

小杉湯三代目
平松佑介

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