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【連載】わたしの湯 vol.4 / スタッフ紹介

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夜20時半まで大学のオンライン授業があると言って、その後そのままオンラインでのインタビューとなった。画面には恥ずかしそうなちなっちゃんの笑顔と彼女の部屋が映る。部屋の隅には可愛いメガホン。高校の体育祭で作ったという話をきいて、“そうだ、ちなっちゃんてつい最近まで高校生だったんだよね。”と改めて気づかされる。それくらい彼女は落ち着いているし、 仕事が丁寧だ。一緒に働いていて、本当に心地が良い。
もう同じ景色をみることはできないけど、インタビューを通じて、少し思い出したりした。
自分が十代だった時、どんなことを感じて、何を考えていたかな。
みんな、十代だった時、どんなことを感じて、何を考えていましたか。
ちなっちゃんは今、どんなことを感じて、何を考えているんだろう。

企画:つっつー / インタビュアー・ 編集:ガースー / 写真:Gota Shinohara
編集協⼒:江⼝彩乃

小杉湯との出会い 偶然

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—小杉湯で働き始めたきっかけを聞きたいんだけど、働く前から小杉湯のことは知ってたんだよね。
そうです。働く前から。親が3、4年前くらいから通っていて、たまに付いていったりしてたんですけど、途中から私も、ちょっと好きになって通うようになりました。基本小杉湯だったんですけど、家の近くの上越泉とかはたまに行ってました。小杉湯で働き始めた時は高三です。

—そうなんだ。高校生でバイトしようと思うといろんなバイトの選択肢があるじゃない。そんな中でなんで銭湯で働こうって思ったの?
きっかけは、たまたまで…ちょうど大学受験が11月くらいに終わって、そこからバイトを探し始めたんですけど、なかなか受からなかったんです。その時も一個落ちてて、たまたまその夜小杉湯に行った時にみほさんが番台で、「バイト探してるんだけどやってみない?」って声かけてもらって。

—突然?
はい。

—そうか、じゃあ結構偶然なんだね。
私は結構偶然だと思ってます。みほさんに会ったことは数回だったけど誘ってくれて。それで、“なんか面白そうかも” “あんまやれないことだし、いい機会かな”って思って働き始めました。

—それが高校生からだから、今2年目になった?
2年目です。

—大学生になると生活も変わったりすると思うんだけど、それでも辞めずに続けてくれてるのは何か理由があったりする?
わたしが入った時はバイトの人数が少なかったじゃないですか。それがすごいいっぱい増えて、他じゃ会えないようないろんな人と出会えるから、やめたくないなと思って続けてます。みんないい人ばっかりで。

—大学で会う人と、小杉湯で会う人とはまた違うと思うんだけど、続けていくなかで面白いなと感じるところはある?
小杉湯には私の同年代があんまりいないというのもあるんですけど。みんな自分のやりたいこととかを小杉湯で表現しててすごいなって。あんまり周りじゃいないんで。すごい、色々な企画してすごいなあって思ってます。(笑)

—ちなっちゃんはそんな人たちを見てて、自分もやりたいなってこととかってあったりするの?
なんか、みんな色々やってるのを見て、自分でもやってみたいんですけど、“何をやりたいか”がいつも明確には出てこなくて。

—誰かがやってる面白そうなことを手伝ってみるところから始めてみてもいいのかもね。
そうですね。

—パパママ銭湯が再開したら、ぜひ手伝って欲しいな…(つっつー)
…実は私子どもが好きで。

—えー!?そうなのー!?
保育士とかもやってみたかった時期もあって。うまく子どもと接せれるわけじゃないんですけど。小杉湯とかでもちっちゃい子がいっぱいいて、可愛い〜ってみてました。パパママ銭湯やってみたいなって思ってたので。

—やったー!実はちなつちゃんどうかなって思ってたんだよね。再開した暁にはお手伝いをお願いします。
ふふ。嬉しいです。(笑) 
おねがいします。

タオルはみほさん仕込み

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—番台と番頭をやってくれてるけど、どっちの方が“面白いな”とか“向いてるな”とかあったりする?
番台は固定で入ってるわけじゃないんで分かんないんですけど、番台やってる時より番頭をやってる時の方が時間過ぎるのが早いので。そっちの方が向いてるのかな〜って思います。

—おー。結構黙々とやってるもんね。
番頭だとやることが尽きないから。

—ちなつちゃんのたたむタオルがめちゃくちゃ綺麗に揃ってるのよ。この前そのことを何人かのスタッフで話してたんだけど、なんか意識してたりするの?
んー、すごい最初の頃の記憶なんですけど。みほさんに教えてもらった時にすごい綺麗で、自分もできるようになんなきゃって思って、すごい綺麗にたたむようにしてたのが習慣化されたのかな。

— へーじゃあみほさん仕込みなんだ。
そうです。早くできるようになんなきゃみたいな。

—仲いいお客さんとかできた?
そうですね。私がお客として通ってた頃から見たことあった常連さんとかが、番頭を始めてから話しかけてくれて。今もめっちゃ話しかけてくれます。(笑)

—地元だからより知ってる人もきたりするだろうしね。大学の友達が来ることとかもある?
自分が呼んでとかならありますね。

—呼んでくれてるんだ!私この時間働いてるからおいでよ!みたいな?
呼ぶっていうか、一緒に来る感じですね。うちに泊まりに来る時とか結構小杉湯にきます。“銭湯で働いてるから行こう”みたいな。

— へえ〜!嬉しい!
銭湯が身近じゃない人って多いので、行きたい!って言ってくれる子も結構いて。水風呂に入れない人とかが多くて。(わたしが入ると)結構「え!?入るの?」って驚かれたりして。

—ちなつちゃんって結構がっつり交互浴してる人なんですか?
水風呂は1、2回くらいしか入らないですけど…肩までつかれます。小杉湯に初めてきた時は「え、水風呂って入るものなんだ?!」って。(笑)

—そうなんだ(笑) 友達でそんなの入れないって子にはなんて言ってアドバイスするの?
足だけーとか、入ってみなよとか。そこから“水風呂っていいね”って言ってくれる子もいます。

将来は… 19歳の考える未来

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—大学ではどんな勉強をしてるんでしたっけ?
今看護学部なんで、看護師の勉強が基本です。もともと母が看護師で。勧められたわけでは全然ないんですけど、自分の中で資格が欲しいなって思っていて。何か考えた時に身近な看護師かなーって看護学部にしました。

—じゃあ将来は看護師さんになるんだよね。これから徐々に現場研修みたいなのが始まっていく感じなのかな?
そうです。そろそろ実習が始まってくると思います。

—じゃあ将来は…って聞こうと思ったけど、看護師さんの将来って明確だよね。どんな暮らし方とか生き方とかしたいな〜って考えたりしてる?
んー。なんか結構やってみたいこととかがあるってわけじゃないんですけど、看護師をずっと続けるのは違うかな…自分は続けないかなーって。(笑)

— へーそうなんだ。
まだ明確にやりたいことがあるとかじゃないんですけど。今養護教諭っていう、保健室の先生の勉強もしてて。なんかそういうのも一回くらいできたらいいなって思ってます。もともと保健室の先生になれるって知らなくて。で、大学に入って養護教諭の資格が取れるって知って、授業受けてくうちに先生楽しそうだなーって。

—それも実習行ったりするよね?
四年生で行きます。

—なるほど、行ってみてそこは決めるって感じなのか。楽しみだね。優しい保健室の先生になりそうだ。ちなつちゃんは本当に縁の下の力持ちって感じがしてて。すごく静かだけど、すごく丁寧に仕事をしている人だなっていうのは見てました。友達まで連れてきてくれてるなんて。これから実習とかで忙しくなるかもしれないけど、引き続き小杉湯をよろしくお願いします。
お願いします。(笑)

わたしの湯 残りわずかな十代を輝いて

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小さいタオルって、番頭が取り出して番台が畳むんですよ。ちなっちゃんが運んでくるタオルはびっくりするくらいきれいに並んでて、畳みやすい。相手を自然と気遣える人なんだと思う。
なにがやりたいかはハッキリしないけど、“なにか”を猛烈にしたかったわたしの十代。なにかしたいと思った時に、ぜひその“なにか”をしてほしいなと感じてしまったわたしです。                                                          つっつーより

今回の登場人物 小杉湯のひとたち

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Photo gallery by Gota Shinohara

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わたしの湯を撮って
 お客さんとして来ているこの小杉湯で、ふだんの仕事の様子を撮らせてもらえることになった。「スタッフ紹介の記事をつくりたいので、そこに載せる写真がほしい」と番頭の筒本さん(つっつー)に言われたのがきっかけだった。
 小杉湯では、10 代の学生から80 歳近くの方まで、幅広い年齢のスタッフが働いている。お客さんから姿が見えたり、表に名前が出てくるのはその一部で、裏方も含めるとたくさんのメンバーがこの場所を支えている。仕事の進め方や考え方など意見の違う部分があっても、このお風呂を美しく大切に守っていこうという気持ちは、きっとどのスタッフにも共通しているのだと思う。
 撮影を通じて、深夜早朝の掃除や開店前の準備など、普段は見る機会のない仕事をたくさん知ることができた。開店と同時にやってくる常連さんのロッカーの鍵は、いつも番号を間違うことなく、てきぱきと事前に用意されていて驚いた。黙々と作業をしていると思っていた閉店後のお風呂掃除では、大学生ぐらいの若いスタッフたちが、楽しそうに協力し合いながら、手際よく仕事を進めていたのが印象的だった。
 楽しそうに働いている人たちを見ると、それを見ている自分の気分も明るくなっていく。そしてお客さんが明るい気持ちになれる場所というのは、もっと雰囲気のよい場所になっていくのだと思う。小杉湯を支えるスタッフの様子を、少しでも感じ取ってもらえればうれしいです。
                            Gota Shinohara


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