見出し画像

【ラジオ企画⑥】介護疲れにならないための上手な向き合い方は?

こんにちは!小菅(@kosugehideki)です。
2023年8月に3つのラジオ局3番組、全27回の放送に出演し、介護について様々な切り口でお話ししました。

大阪府・MBSラジオ『松井愛のすこ~し愛して』
福岡県・KBCラジオ『アサデス。ラジオ』
愛知県・ZIP-FM『Magic Jam』

各放送で、ナビゲーターやリスナーさんから介護に関する質問をいただきました。

ラジオは再放送がないので、数回に渡りラジオでお伝えした内容を抜粋してnoteに書き記します。
また、ラジオは不特定多数の方が聴取されます。介護初心者向けに、専門用語を極力排し平易な解説に努めました。ここでも同様の構成で書こうと思います。


(司会)前回の放送も反響が大きく、リスナーのみなさんから介護に関するメールを沢山いただきました!今回は「介護の質問・疑問」を小菅さんに回答いただきたいと思います!まずは、最初のメールから・・・

Q.親の介護でもめたくない!身内で話し合っておくべき事は?

(小菅)介護で揉めないために、①親の意思確認 ②家族の役割分担を決めておくとよいでしょう。

①事前にしておきたい「親の意思確認」

親の望む介護内容について、事前に確認しておくことは非常に重要です。少しづつでいいので、以下のポイントを話し合うことをおすすめします。

具体的にどのような介護を希望するのか。最期まで自宅で過ごしたいのか、もしも常時見守りが必要となった際に、老人ホーム入居が選択肢として考えられるかも話し合っておくとよいでしょう。あわせて、介護とお金は切っても切り離せません。介護に関する費用をどれくらい準備できるのか、年収や預貯金など現在の経済状況を把握します。

さらに、延命措置をするかしないかなど、具体的な意向を確認します。これは入院したときの事を想定しての事前確認になります。時間をかけてじっくりと話し合うことで、もしもの際も親の意向を確認しておくことで親の意向を尊重することに繋がります。

②介護に備え「家族の役割分担」を決めておく

介護を行う際、家族間での役割分担を明確にしておくことは大切です。これにより、介護負担を分散させることができます。

介護について方針の決定や判断を下すキーパーソンを決めます。必ずしも長男や長女である必要はなく、近くに住む兄弟姉妹が適任である場合もあります。それ以外の兄妹姉妹は、例えば「後方支援」のがあります。親を直接見ることが難しい場合、情報収集などのサポートや多めに金銭援助を行うことで、間接的に貢献することも可能です。

【トラブル回避】親の介護|兄弟姉妹の役割分担

Q.「介護保険」っていう言葉はよく聞きますが、賢い使い方を教えて!

①40歳からの介護保険料とその使い方

40歳になると、介護保険料が健康保険料の一部として給与から天引きされます。みなさんはいくら天引きされているかご存知でしょうか?給与明細をしっかり確認しないため、多くの人がこの事実を知らないようです。近年、介護保険料は上昇しており、2023年現在の全国平均は6,200円となっています。

また、介護保険は医療保険をもとに制度設計されていますが、利用方法がまったく異なります。医療保険は、病院で健康保険証を窓口に提示するだけで、一定の負担割合で医療サービスを利用できます。
しかし、介護保険サービスは、単に介護保険証を提示するだけでは利用できません。まず「要介護認定」を受ける必要があり、この認定を得るために役所等での申請が必要です。認定を受けた後、ケアマネジャーや介護サービス事業所と契約を結び、その後にサービスの利用が開始されます。

要介護認定とは?認定基準や区分、申請~通知の流れ、有効期限まで

②介護保険の賢い利用法

介護認定を受ける際、早期申請が重要です。なぜなら、お元気な状態で認定を受けることにより、将来的な要介護状態を避けるための「介護予防サービス」を受けることにも繋がるからです。

また、介護の必要が生じた場合、訪問介護やデイサービスなど、様々なサービスを組み合わせることにより、本人だけでなく家族の身体的な負担も大きく軽減することができます。

そして、日常生活の安全を確保したり、より暮らしやすくするために、例えば「トイレの和式から洋式への変更」のような住宅改修も行うことが考えられます。このような改修も、条件を満たすことで介護保険を利用して最大20万円の住宅改修の助成を受けることができます。

Q.介護疲れにならないための上手な向き合い方は?

①100点満点の介護を目指さない

そもそも介護に100点の定義なんてありません。介護は終わりが見えづらいもので、どれだけ尽力しても何らかの後悔が残ることは避けられません。

ベテランの介護職員でさえ、「自分の親を介護することはできない」と感じる方がいます。一定の距離のある他者で、対価を得る仕事として介護を行うことはできても、親という特別な関係性の中での介護はまったく別ものかもしれません。大切なのは、親の安心と安全を守る。これを最低限確保できるならば、それだけで十分だと思います。完璧な介護よりも心のこもった対応と、安心感を提供することの方が重要ではないでしょうか。

【ストレスを軽くする】認知症介護、5つの心得と7つの原則

②「通い」「宿泊」の介護サービスを利用する

複数の介護サービスを組み合わせると介護の負担軽減に繋がります。「デイサービス」は、半日や一日を施設で過ごすことができるサービスです。

「ショートステイ」は、介護施設での短期間の宿泊サービスを指します。家族の介護負担を減らすために、休暇や出張などの短期間、施設に一時的に滞在することができます。

また、近年注目されているのが「小規模多機能」のサービスです。一つの事業所で「訪問・通い・宿泊」の三つのサービスを提供します。これにより、利用者のニーズや状況に合わせて柔軟にサービスを組み合わせることが可能となります。介護サービスの活用することで、本人だけでなく家族の負担を軽減する、という視点も意識してみましょう。

小規模多機能型居宅介護とは?メリットやデメリット、料金形態まで

③自分を優先していい

介護者が健康を害してしまった場合、親と共倒れのリスクが高まります。だからこそ、介護者は自分の健康と気持ちを最優先に考えても良いと僕は思っています。
多くの自治体では「介護家族会」という介護者が集う場があります。これは、介護の経験者や現在介護中の方々が集まり、互いの経験やコツをシェアしたり、介護によるストレスや不安・悩みを共有するための場です。
同じ立場の人々とのコミュニケーションを通じて、感じるストレスや疲れを発散させることが大切です。(終)


【お知らせ】
小菅をモデルに老人ホーム選びのマンガ連載が始まりました!
選び方のポイントも分かりやすく掲載しています。
あわせてご覧いただけたら嬉しいです。

第一話:「”いい老人ホーム”はありません」!? 伝説の老人ホーム入居相談員あらわる

第二話:同居だけが親孝行ですか?老人ホームと家族のカタチ

第三話:安い老人ホームを選ぶには? 老人ホームの費用のしくみ

第四話:最後の親孝行を叶えるのがベストな選択ですか?老人ホームの立地の考え方


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?