読書ときどき音楽も#109

「上地王植琉の私訳古典シリーズ6 バンカラ奇旅行 ~世直しに必要なのは、暴力でした~ ―完全版―」原作:星塔小史/現代語訳:上地王植琉(電書バト)※電子版

 以前、「他力(ときどき自力も)で楽しむ読書#31」で紹介した『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』の元ネタである「バンカラ奇旅行」の電子書籍をセール時期に見つけたので迷うことなくダウンロードし、読んでみたのであるが、想像の斜め上過ぎて本当に明治時代に書かれた物語なのだろうか疑いたくもなったが、難しくて挫折していた原文も国会図書館デジタルコレクションで確認したら確かに明治41年の発行だった…  
 歴史的かなづかいを現代語訳にしてくれているだけでも大変読みやすくて面白いのに、さらに難解なものについては脚注を入れてあるのだが、訳者も英国女性の「雪枝」さんやフランスの伯爵夫人の「光子」さん(しかも旧姓は榎本!)につっこみを入れるなど訳すのは大変だったろうなあと思った。 
 自分は登場人物のアルゴが場を盛り上げようと自分の国の歌を歌う描写で「誰も感心するものがいない」というのが他人事とは思えないほど気の毒になった。現代語訳を読んでからだと原文も面白く読めるので結構得をした気分にもなった。改めて思うことはやっぱり誰かにコミカライズ化してもらいたい、絶対買いますから。あと食わず嫌いもやめて、原文もしっかり読んでみないとなとも思った。

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