他力(ときどき自力も)で楽しむ読書#46

「漫画日本霊異記」ichida(メディアファクトリー新書)
 昔あったグリム童話をはじめとする「童話の原点はけっこう残酷でえぐい」というブームがあって、雨後の竹の子の如く類似本、関連本が出たものだった(そこそこ所持している)。
当然、“洋モノ”ばかりでなく日本の昔話・古典を取り扱ったものも多く、そっちの分野も楽しく読んでいた。そんな中、別のインターネットサイト発の本のイラストを担当して知っていた著者名義のまさかの古典コミカライズが出ていたので、日本霊異記にあまりなじみはないのであるが購入した。
読んでみると、著者の乾いた絵柄(ほのぼのも、猟奇も、エロも全て同じスタンスで描かれている)で、救いようのない残酷なシーンがさらっと読めるので気に入ってしまった。個人的には地獄での責め苦シーンが痛そうなものばかりなのに淡々と描写されているのが気に入ってしまった。
 後にマンガ部分だけ「本当はこわい仏教むかし話 マンガで読む日本霊異記」として再販されるが、自分は原文がのっている新書版の方が好み。古典コミカライズは今のところこれだけなのが残念。「今昔物語集」とか「宇治拾遺物語」、「イソップ寓話」もこのタッチで読んでみたい。

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