読書ときどき音楽も#104

「シンデレラはどこへ行ったのか」廣野由美子(岩波新書)

 この頃少女小説が見直されているのか、子どもの頃読んだ本が復刻されたり、また書評や解説している本を見かける機会が増え、そして買ってしまう。この本はいわゆる女性が王子様に見初められて結婚することにより、今までの境遇から脱出できる「シンデレラ」的な物語(グリムのは結構えぐいが)から、女性がそういった王子様的な存在が現れても受け身じゃなく自分の意志で人生を切り開いていく物語の変遷を紹介していくのであるが、読んだことがあるものと未読のものが半々ぐらいなので結構面白くページが進んだ。中年になった自分のねじ曲がった性格だと「結局結婚はするんだよな…」とも思ってしまうが、結婚相手を自分で選ぶこともかなわない時代だと考えるとそれだけも画期的なのだと反省。著者は英文学が専門なので、いつかは国内編で分析してくれる人が現れるといいなと思った。あとサブタイトルにもなっているのに「ジェイン・エア」未読なのはまずかったかなあとも反省。

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