他力(ときどき自力も)で楽しむ読書#90

「桃尻語訳 枕草子」橋本治(河出文庫)

※10回ごとの回数では「自力」で見つけた本を紹介します。
 昔々のこと。理数系がさっぱりダメだった学生の自分は苦手分野を克服するのではなく、得意な事だけ頑張って平均するとぱっとしない成績を取っていた。
 国語だけは得意だったので、現代文・古典問わずせっせといろいろと学校図書館で読んでいた中にこの「桃尻語訳 枕草子」もあった。都合良くというのか完結編にあたる下巻が高校在学中に出版され、晴れて上中下と読破できたのが良い思い出。分かりやすい文章とまついなつきさんのイラスト(ご本人のイラストエッセイも好きでした。早すぎる訃報に涙)がまたマッチしていて、模写して定期テストに備えたぐらい。そして、その後文庫化されたので当然そろえている。好きな段は第九段「うえにさぶらふ御猫は」です。
特に馬の命婦(猫のお世話係)が放つ「翁丸いづら。命婦のおとど食え。」というセリフが好きなんです。猫の方が身分高いからねえ…あ、これは現代でもそうか。
 まあ、良いことばかりでなく「清少納言が宮中で幸せだった頃の記録」だからその後の史実を知っているとしんみりともしてしまう。だから好きなのかもしれない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?