読書ときどき音楽も#86

「ソース焼きそばの謎」塩崎省吾(ハヤカワ新書)

 書店でいつものように新刊を物色していたところ、表紙特別カバーの「ソース焼きそば」のビジュアルに魅かれて衝動的に購入。
 早川書房が新たに立ち上げた新書レーベルの創刊第2弾の1冊。焼きそばの食べ歩きのブログ運営者による“ソース焼きそば”という食べ物がいつ頃誕生し、どうやって広まっていったかという壮大な食文化の歴史になっているところが興味深い。冒頭から昭和11年に出版されたマニュアルの引用から始まっている。というか昔もやはりマニュアルって存在していたんだなあと感心。と同時に、マニュアル的なものを敵視し「技術は見て覚えるものだ」という昭和イズムって一体…とも思ってしまった。とにかく画像が多く収録されているのでお腹が空いている時に読んではいけない。参考文献も豊富で新聞記事をはじめ、雑誌や広告まであって大変分かりやすい。後半は地域別の違いについても触れているので、本気で食べに行きたくなってしまった。実はあんかけ焼きそば派の人間だけれど、ソースの焦げたニオイと青のりと紅ショウガのマリアージュが恋しくなってしまったのであった。

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