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あんなに好きだったのに

今日は年に1回のカニ雑炊の日なんですが、うっかりお休みにしてしまい軽く絶望しております。

こんにちは、誰よりもカニ雑炊を食べたいと思っているコッシーです。


さて、うちの施設には洗剤やティッシュなどの消耗品を売っている売店があります。売店というには申し訳がないくらいの規模ですが、そこの売店に少しだけお菓子を売っています。

カロリー制限などでお菓子をあまり食べてはいけない方もいることから、豊富なラインナップをしてしまうと目に毒ということで種類を厳選して少しだけ販売しています。

その中の一つに『氷砂糖』があります。


こんなの

もしかするとお若い方などはご存じないかもしれませんが、氷のような形をした飴になります。

氷砂糖(こおりざとう)は砂糖の一種で、純度の高いショ糖の大きな結晶である。外見がとよく似ているため、この名がある。氷糖(ひょうとう)とも呼ばれる。

wikipediaよりっていうか氷砂糖ってwikipediaにあるんだ(笑)

こう言っちゃ失礼ですが、この氷砂糖ですが、不味くはありませんが特筆するほど美味しいわけではありません。#本当に失礼
うちの入居者の中でもたま〜に買う人がいるくらいで、特に人気がある商品ではありませんでした。#いや本当に失礼だぞ

しかし、なぜかは分かりませんが先月くらいから氷砂糖ブームがうちの施設に到来したのです。


きっかけはある一人の入居者が「たまには氷砂糖でも食べてみようかな」ときまぐれで購入したことから始まったように思えます。
なんとなく他の方が食べているお菓子が美味しく見えたのでしょう。
他の入居者も「じゃあ私も」と言った具合に氷砂糖を購入されました。

もともと売れる商品ではなかったため施設にストックがあまりなくすぐに売り切れてしまいました。
普段は全く気にも留めない氷砂糖ですが、いざ欲しい時に無いとなると欲しくなりますよね。それが人ってもんです。

ほら恋愛だってグイグイアプローチされるうちは相手のことをうざったく感じるけど、アプローチがピタッと止まると逆に気になっちゃうじゃないですか。氷砂糖もそれと一緒です。#全然違うよ

とにかくうちの施設にかつてないほどの氷砂糖ブームがやってきたのです。
氷砂糖はいつも施設近くのスーパーで買っています。
在庫が無くなってしまったので早速買いに行きました。

すると、氷砂糖はそこのスーパーでもそんなに売れる商品ではないみたいで、店自体に数袋しか在庫がありませんでした。
数袋全てを購入しましたが、施設には氷砂糖を求める者たちがたくさんおり、すぐにその数袋も売り切れてしまいました。

近くにある他のスーパーも回りましたが、残念ながら氷砂糖を取り扱っている店はなく、結局最初のスーパーの入荷待ちになりました。

残念ながら氷砂糖を買えなかった方が何人かいました。
つい最近まですぐに手に入っていた物が、欲しい時に手に入らないとますます食べたくなりますよね。

当たり前のように側にいてくれた幼馴染のアイツが東京の大学に行くために街を出ていき、いなくなって初めてその大切に気付くことってあるじゃないですか。「私、アイツのこと好きだったんだ…!」って涙することってあるじゃないですか。氷砂糖もそれと一緒です。#全然違うんだよ

入居者の中にはどうしても氷砂糖を食べたい人もいたみたいで、家族から手土産でもらった高級和菓子と氷砂糖をトレードする人もいました。
#何してんの
さらに僕のところにきて「次に氷砂糖が入荷されたら回して欲しい」と賄賂のお菓子を渡してくる人もいました。
#マジで何してんの


そんな裏社会のような殺伐とした雰囲気の中、待ちに待った氷砂糖を入荷する日がきました。
今回はなんとお店の方が気を利かせてくれていつもよりも大目に発注してくれていたのです!
これなら多くの入居者に氷砂糖を売ることが出来ます。
早速氷砂糖を買い占めて施設に戻りました。

これで氷砂糖戦争クリスタルウォーズに幕を下ろせる、うちの施設に平和が訪れるんだ!と思っていましたが、その幕引きは僕の想像していないカタチで唐突に訪れました。

氷砂糖がビックリするほど売れなくなったんです。

あんなの欲していた、あんなに好きだった氷砂糖なのに誰も買いにこなくなりました。
まぁもともとそんなに美味しいモノじゃありませんでしたし(失礼)、入荷待ちの期間が長かったので皆さん冷静になり、「あれ?氷砂糖言うほど美味しくなくね?」と気付いたのだと思います。
#不味いわけじゃないよ

大好きな彼でも、遠距離恋愛が長く続くと気持ちが離れちゃうことってあるじゃないですか。氷砂糖もそれと一緒です。#だから全然違うんだって

うちの施設の氷砂糖ブームは一瞬で過ぎ去りました。まぁブームや流行りと言うのは、いずれは過ぎ去るモノなので仕方ないことですが、問題は入居者のために購入した氷砂糖かなり余っていることです。

寂しそうに僕を見つめる氷砂糖たち

以前なら月に2、3個売れていましたが、ブームが過ぎ去った影響からか全く売れません。
目の前にある悲しげな氷砂糖を前に途方に暮れております。

どなたか氷砂糖が欲しいと言う方は是非ご一報ください。
今なら賄賂無しでお渡しできます。
ただ、びっくりするほど普通の味だと思います。
#氷砂糖に謝れ


それでは素敵な日曜日をお過ごしください。

コッシー

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