松花堂弁当に願いを込めて

厨房スタッフ(60代男性)が「今日は敬老の日だけど会社から何かもらえないの?」とほざくので、「今のセリフ入居者たちの前でも言える?」と聞いたら「失礼しました」と言ってました。60代なんてまだひよっこです。

こんにちは、コッシーです。


さて、今日は敬老の日です。

敬老の日というのは、その名の通り「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日」であり、1966年に正式に国民の祝日として制定されました。

元々は兵庫県多可郡野間谷村で1947年9月15日に村主催の「敬老会」を開催したのが「敬老の日」の始まりと言われており、会の対象者を55歳以上としていたとのことで、現代社会からすると驚きを隠せません。今、55歳の方に敬老の日を祝ったら絶対怒られると思います。

昔は毎年9月15日が敬老の日として制定されていましたが、ハッピーマンデー制度の実施により2003年から9月第3月曜日が敬老の日となりました。


そんな敬老の日ですが、うちの施設ではささやかながら昼食を松花堂弁当にさせていただいております。松花堂弁当は味はさておき、その見た目の華やかさと『松花堂』という豪華そうなネーミングから皆さんとても喜ばれます。

例年9月に入ると、入居者の皆様に「敬老の日は松花堂弁当を出しますからね」とお伝えます。

高齢者施設のご入居者は、どうしても毎日の生活がマンネリ化してしまいガチです。どんな事でも予定があるということはそれを目標に生活できるのでとても良い事だと思います。多くの入居者が「敬老の日には松花堂弁当を食べる」という意識で生活を送るので、そこにハリが出てきます。

ある入居者はカレンダーの松花堂弁当の日に赤丸をつけてその日がくるのを指折り数えます。またある方は過去に自分が食べた松花堂弁当の素晴らしさを興奮気味に語られます。皆さん松花堂愛がとても強く、9月は松花堂弁当を食べるために生きている、といっても過言ではないのです。いやそれはちょっと言い過ぎた。


ただ敬老の日が以前は9月15日だった事もあり、多くの入居者が9月15日になると、勘違いされて朝からソワソワします(笑)。お昼の松花堂のために朝食を少し残される方もみえます。

こちらとしては、きっと今日が松花堂弁当だと思っているんだろうなぁと気付いていますが、あえて教えはしません。昼食時に「あれ?松花堂弁当じゃない!」という戸惑いの顔が見たいがためです。ほら小学生の時って好きな子にあえていじわるしちゃうじゃないですか、まさにあの感覚です。

実際にいつもと変わり映えのしない昼食が出てきた時の入居者の「あれ?」という驚きの顔と言ったら、失礼を承知で言わせてもらうと本当に可愛らしいと思います。ホントごめんよ、みんな。


そんな落胆の9月15日を経て今日という本番を迎えるわけですので、喜びもひとしおです。そしてやっぱり朝からソワソワされます(笑)。昼食の時間より1時間も早く来られる方もいます。どんだけ楽しみにしてるんですか。可愛すぎる。

そして待ちに待った昼食時間になり、皆様のもとへ松花堂弁当が運ばれます。お弁当のフタを開けその華やかな姿を目の当たりにすると、そこかしこで感嘆の声が漏れます。

「美味しそう」「これを楽しみにしてた」「生きてて良かったなぁ」

僕はこの声を聞くのが本当に本当に大好きで、いつもまた来年もここにいる全員で敬老の日を迎えたいと強く思います。

そんな願いを込めて皆さんに松花堂弁当を提供しています。


今年のうちの松花堂弁当がこちらです。

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予算の関係で高級食材を使用できませんが、厨房スタッフが工夫を凝らしてくれ今年もとても美味しかったです。また来年も楽しみにしております。


現場から以上です。それではまた。

コッシー

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