そのお見舞いに愛はあるのかい
こんにちは😃コッシーと申します。
愛知県で介護事業を運営している会社の介護事業部の統括責任者をしております。
さて、男性の方なら一度は憧れるであろうシチュエーションが『彼女に看病してもらう』で異論はないと思います。
しかも願わくば、熱が出て家に1人でうなされているところにいつの間にか来てくれていて、おでこに乗せた濡れたタオルを定期的に替えてくれたり、おかゆを作ってくれてたりして、「フーフー」して食べさせてくれたら本当に最高で、このまま死んでも良いとすら思うに違いありません。いや死ぬのは嫌かな。
しかし現実にそんな事は絶対になく、たとえ看病に来てくれたとしても、熱には冷えピタという強い味方がありますし、食欲が無ければウィダーインゼリーという栄養も取れしかも食べやすい物があります。まさかウィダーインゼリーをフーフーしたとしたら、逆にお相手の方に看病が必要かもしれません。
そんな少女マンガみたいな事は起きる事はありませんが、それでもお見舞いに来てくれるだけでも嬉しいですよね。
今は体調を崩したら子供にうつすわけにはいかないため、別室に隔離されポカリやらゼリーやら渡されてほっとかれる僕ですが、その昔には女子がお見舞い来てくれた事があります。
というわけで本日の記事は僕の思い出話です。
忘れもしないあれは僕が中学2年生の時でした。
うちの中学では、クラス内で誰でも一つは『○○委員』という役割を任されていました。委員の種類はクラスをまとめる『学級委員』から、その委員いる?っていう地図委員まで豊富にありました。ちなみに地図委員は校内のマップや学校周辺の地図を更新する役割でした。やっぱいらんやろ。
1週間に1回、委員ごとに委員会が行われ、各クラスのそれぞれの委員がそれぞれの場所に集まっておりました。
当時僕は美化委員をやっており、僕の隣のクラスの美化委員をSさんという女の子がやっておりました。
Sさんは大人しいタイプの子で委員会でもあまり発言はしませんでした。
委員会ではSさんのとなりに座っていましたが、特に仲良くなる事はありませんでした。
そんなSさんと急接近したのが、年末の清掃キャンペーンの時でした。
一応美化委員という事もあり、毎年大掃除の時期には、普段あまり掃除しない場所をキレイにしましょうというキャンペーンを行っていました。
キャンペーンと言っても、二人1組になり掃除場所を振り分けられ委員会の時間に掃除をするというだけでした。
その時の僕のペアが隣のクラスのSさんだったわけです。
僕らが振り分けられた場所は本校舎の裏の中庭みたいなところでした。
僕は昔から明るい性格でして、誰とでも気兼ねなく話せるタイプでした。
黙々と掃除を頑張っているSさんにも遠慮なく話しかけました。ウザいですね。
「Sさんってさー、好きなTV番組ってある?」
確かそんな事を聞いた覚えがあります。もうちょっと気の利いた事言えよと今になって思うのですが、中2の僕には無理な話です。いやでも好きなTVて。
急に話を振られてモジモジしているSさんにさらに被せて僕は言います。
「俺さー、とんねるずが好きなんだよね!みなさんのおかげですって知ってる?あれめちゃくちゃ面白くない?」
だからその質問何なんだ!もうちょっと気の利いた事言えよと思うのですが、当時僕はとんねるずを崇拝するくらい大好きで、頼まれてもいないのにとんねるずがいかに面白いかの普及活動を普段から行っていました。キモイですね。
普通なら(何だこいつ…)と思われても仕方ないと思うのですが、さっきまでモジモジしていたSさんの顔が急に明るくなり、「私も!私もとんねるず好き!」と言いました。
とんねるず好きに悪いヤツはいないと本気で思っていた僕は、掃除そっちのけでSさんととんねるず話に花を咲かせました。
その後Sさんとは委員会で会う度に、「こないだのおかげです見た?」ととんねるず話をする仲になり、今まで全く会話をしていなかったのがウソのように距離を縮めていきました。
1月の後半くらいのある日のこと、僕は隣のクラスのよく知らない女子から呼び止められました。
「コッシー君の好きなチョコレートって何?」
当時恋愛経験が皆無だった僕も「ちょ!バレンタイン近いからってストレート過ぎるだろ!」とさすがに思いましたが、そこは思春期真っただ中の中2男子です。「俺あんまりチョコ好きじゃないんだよね」と無駄にカッコつけたりします。本当は大好きなくせに!
「じゃあクッキーとかシュークリーム系は?」
「まぁどっちかっていうとそっちの方が好きかな」
お前は何様だと、どの面下げてカッコつけてんだと思うわけですが、そこは中2男子ですので許してください。
僕の答えに「分かった。ありがとね。」と言ってその女子は去っていきました。
バ、バレンタインチョコがもらえるかもしれないっ!!!
と期待をした僕でしたが、僕は当時、後のミサンガ事件を引き起こすKちゃんが好きだったので、モテる男は困るなぁ…と一人ニヤニヤしながらバレンタインを首を長くして待ちました。キモチ悪すぎですね。
そしてついに迎えたバレンタイン当日。
期待をし過ぎたせいか、僕は39℃以上の熱を出してしまいました。
高熱に加えあちこちの関節に強烈な痛みがあり、学校を休み朝から病院へ行き、病院から帰宅した後は、うなされながらずっと床に伏せていました。
あまりの苦しさに本当に死ぬかと思っていた僕は、当然バレンタインどころではなく、そんなことは頭からすっかり抜けていました。
夕方になっても僕の熱は下がらず、熱を測りに来た母親が「こりゃ明日も休みだね」と言って部屋から出ていきました。
やった!明日も休める!なんて喜びは1ミリも無く、もしかして重い病気かもしれないと思い始めておりだんだん心細くなっていた時、それを察してかさっき出て行ったばかりの母親が戻ってきました。
「お客さん来てるよ」
母親が最初何を言っているのか分からず、「え、何?」とだけ聞き返した覚えがあります。
「だからあんたに渡したい物があるって女の子が来てるんだってば、わざわざ来てくれたんだから起きなさい」
母親に無理やり起こされ、フラフラになりながら玄関に行くとそこにはあの日僕に質問してきた女子が立っていました。
その女子から「ちょっと外に来てもらって良いかな」と言われました。
全然良くないと思いましたが、とてもお断りできる雰囲気ではないため、命を削る思いで外に行くと、数名の女子がいて、そこにSさんの姿もありました。
「Sさんがあんたに話があるから聞いてあげて」
と取り巻きの女子から言われました。
僕の前に来たSさんはしばらくモジモジしていましたが、周りの女子から「頑張って」とか「ほら早く言いなよ」と焚き付けられ、ようやく口を開きました。
「今日学校休んだって聞いて心配でお見舞いに来ちゃった。ごめんね迷惑だった?」
正直言えば大迷惑でしたが、まさかそんな事は言えず「…だ…大丈夫…」とだけ言いました。
そしてSさんは、「委員会の時に話しかけてくれて嬉しかった。これ良かったら受け取ってください。」と言い紙袋を僕に渡してきました。
紙袋を受け取ると、取り巻きの女子達は今度は僕に向かって「返事は?」とか「付き合ってあげなよ」と言ってきました。
朦朧とする意識の中、とにかく帰って寝かせて欲しくて適当に返事をしようかと思いましたが、僕はKちゃんが好きだったし、なによりこんな死にそうな僕に対して思いやりのかけらも感じられなかったので、「ごめんなさい」と伝え、紙袋をSさんに返しました。
Sさんは泣きながら走り去っていきました。取り巻きの女子は「信じられない!」と僕を睨むとSさんの後を追っていきました。信じられないのは僕の方です。
ぜえぜえ言いながら、やっとの思いで家に戻り泥のように眠りました。
次の日の学校を休みましたが、お見舞いに来る人は誰もおらず、ずっと寝ていました。
その甲斐あってか明くる日には嘘みたいに良くなった僕は元気に登校することができました。
しかし登校した僕には地獄が待ち受けていました。
朝からSさんの友達に捕まり「Sさんとなぜ付き合えないのか」尋問を受けました。
「お見舞いまで行ってあげたのに何がダメなのよ!」と質問され、それがダメなんです!と言いそうになりましたが、それを言ったらボコボコにされると思うので、ひたすら「ごめん!ごめん!」と言うしかありませんでした。
あ、でもボコボコにされたら誰かお見舞いに来てくれたかもしれませんね。
さて、本当に長々と語らせていただきましたが、お見舞いというのは相手を心配する思いからの行動だと思いますが、出来れば相手の状況やもっと言うと状態を分かった上でされるのが、本当の意味で愛のあるお見舞いだと思います。人と会うことすらしんどい時に来られると逆にパンチをお見舞いしたくなりますので。
現場からは以上です。それではまた。
コッシー
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