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【創作大賞感想】イロトリドリノセカイ

昨年の7月。くまさんが【Dance】という創作の連載を開始されました。不定期に更新されていたこの物語は、ついに先日約1年を掛けて完結されました。

《あらすじ》

 父親から譲り受けたカメラを趣味としている高校生の星一は、公園である一人の少女(結月)に出会う。彼女は一人で何かに祈るように踊っていたが、星一は彼女が踊っている姿を写真に収めたいと強く思うようになる。星一が落とした星のキーホルダーがきっかけとなり、ひょんなことから二人は出会いなおし、学校や公園でお互いの時間を重ね合わせていく。星一の家族問題にも向き合いながら、二人は距離を縮めるが、その様子を見ていた友人の潤は、彼女の秘密に気づき二人に気持ちをぶつけてしまう。その後三人は和解し、遊園地に出かけることとなったが、そこで彼女の口から真実が語られはじめ……。様々な喪失と向きあう三人のひと夏の物語。

【Dance】より

くまさんの創作が大好きな僕はもちろん最初からこの物語を拝読していましたが、まさか完成までに1年を要するとは思ってもみませんでした(笑)
でも完結した作品を読んだ今、とても満足してその余韻に浸っている僕がいます。


この【Dance】は主人公の星一が一人公園で踊る少女結月と出会うことで始まります。まるで重力を感じさせない結月のダンスを見た星一はそれを「自由」と表現します。星一の言葉に大笑いする結月。彼女が笑った真実とは一体__
互いに惹かれあい少しずつ距離を縮める二人。しかし星一は結月が抱える過酷な現実を分かってはいませんでした。彼女の秘密にいち早く気がついた星一の親友である潤がとった行動とは。
それぞれが抱える苦悩にどう向き合っていくのか、そして星一と結月はどのような運命を辿るのか。
3人の若者のひと夏に繰り広げられた物語をくまさんが美しい文章で綴られたとても素晴らしい作品です。
全国のくまラー(くまさんファンの総称)はもちろんのこと、そうではない方達にも是非とも読んで欲しいと思っています。


あとがきでくまさんが語っていますが、くまさんは創作される時に”誰にも遠慮せず、忖度せず、好きなもの、好きな世界観、好きなセリフ、好きなストーリー”を書かれているそうです。つまりくま100%だと。
日頃からエッセイなどで美しい文章を綴るくまさんの100%を創作では感じることができるのです、とってもお得だと思いませんか。

個人的には【Dance】ではくま100%どころか、くま200%くらいの力を注いでいるのではないかと思いました。それくらいくまさんがこの作品と全力で向き合っていることが文章を読んでいて伝わってきます。
(僕の知る限り)くまさん史上最長の作品なのはもちろんこと、細部に散りばめられた伏線や登場人物の丁寧な心理描写、そして最初から最後までブレずに繋がっているストーリー。おそらく相当頭を悩ませて書かれたのではないかと思いました。
ここまで心血を注いで書かれたのはこの物語に挿絵を提供されたぷんさんの影響が大きいのではないかと思っています。

【Dance】にはスケジュールの関係で載っていない13話と最終話を除く全てのお話にぷんさんの本当に素敵な挿絵が載っています。

もともとくまさんはこの物語を「色を意識」して書かれているとのことです。登場人物の名前や言動などからなんとなくイメージカラーを想像することができると思います。そこにぷんさんの挿絵が入ることで物語自体に色が描かれたように僕は思いました。毎話毎話、違う色彩を見せてくれたように思います。
くまさんの綴る美しい文章とぷんさんの描く美しい挿絵が本当に綺麗に重なり合ったこの作品は、きっと拝読した人たちに色彩り彩りの世界イロトリドリノセカイを魅せてくれることでしょう。


【Dance】でくまさんの美しい世界に魅了された方は、こちらの【Drops】という作品も是非ご一読ください。

【Dance】と同じ世界観で描かれたこちらの物語は星一君のお姉さんの雫さんが主役の恋物語です。くまワールドに浸っちゃうこと間違いありません。


くまさん、本当に素晴らしい作品をありがとうございました。そして1年間お疲れ様でした。
この【Dance】はこれまでのくまさんの創作の中で1番面白くて1番すごくて1番好きな作品になりました。潤に憧れた僕は彼と同じよう金髪にいろどろうか悩んでいます。

また気が向いたら…いや向かなくても頑張って、創作を書いてくださいね。僕は1年でも2年でも待っています。


#創作大賞感想
#くまさん
#ぷんさん
#Dance
#イロトリドリノセカイ

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