年始からパワハラを注意した話
あまりに毎日仕事をしているのでついには入居者から「コッシーさん何号室で寝てるの?」と聞かれるまでになりました。#いや住んでないわ
こんにちは、黄金(ゴールド)の連勤術師ことコッシーです。
さて、以前の記事でもお伝えしましたがうちの会社の福祉用具貸与事業所の業績がありがたいことに右肩をグイグイと上げております。需要の高まりもありますが、このコロナ禍により割と小さな事業所がいくつも閉鎖をしており、そこから多くの利用者を引き継いでいることが業績が上がっている大きな要因の一つとなっています。
商圏エリアも徐々に拡大していることから、現在支店開設に向けて動いております。#今年1番の目標
ただ業績が上がるということはそれに比例して仕事量も増えるわけで、スタッフ一人ひとりの負担は確実に増しており、現在求人募集は行っているもののすぐに採用というわけにはいかず、現場にはかなり無理をさせています。
出来るだけ早く採用し現場の負担を減らしたいと思ってはいますが、とりあえず現状は現場に踏ん張ってもらわないといけません。
大変な現場の中でも最も過酷な状況にあるのが管理者のO君です。O君は僕よりも若干年下でほぼ同期入社でもう10年以上の付き合いになります。ありがたいことにこんなヘッポコローストビーフバカの僕を慕ってくれています。#以前におっさん二人きりでプペルを観に行った仲だよ#キモイね
O君は福祉用具の営業として非常に優秀で多くのケアマネージャーからの信頼を得ており、毎月多数の新規利用者をご紹介いただいておりますので、通常業務だけでも非常に忙しい男ですがそれに加えて管理業務も行っています、さらにさらに閉鎖する事業者からの利用者の引継ぎ業務も彼が行っており、今の彼は黄金(ゴールド)の連勤術師と呼ばれる僕よりも多忙な毎日を過ごしています。#金剛石(ダイヤモンド)の連勤術師
普段のO君は笑顔がキラリと眩しいとてもさわやかな男ですが、仕事が多忙になり心に余裕が無くなってくるとさわやかな笑顔は影を潜め黒いO君へと変貌を遂げます。負のオーラを出しまくり機嫌が悪くなります。
他のスタッフはO君から負のオーラが出ていると機嫌を損ねないように気を使い腫れ物に触るように接します。
そんな現場を目撃する度にO君を呼び出し、「バカ野郎!リーダーのお前がメンバーに気を使わせてどうすんだ!目を覚ませ!」と厳しく注意します。#ビンタする勢い#しないけど
僕は普段本当に怒らない叱らない怒鳴らないで有名な激アマ上司ですが、付き合いが古く一緒に苦楽を共にしたO君だけは特別でかなり厳しく接しています。これは期待の表れであり、O君には大きく成長して欲しいと願っていますし、それだけ厳しくしてもO君なら僕の想いを理解してくれるという信頼があり、そしていつもO君は僕の言う事をしっかりと受け止めてくれます。#ゴールデンコンビ
そして今超絶多忙なO君はかつてないほどの真っ黒なオーラに包まれています。触る者皆傷つけちゃうくらいナイフみたいに尖っており、周りのスタッフはこれまで以上にO君の機嫌を気にしながら仕事をしているようでした。
いつもならO君を呼び出し「バカ野郎!なにやってんだ!」と頬を一発張って目を覚ましてあげるところですが、さすがに今回の超絶な仕事量を考えるとO君を怒るのは少し酷だと思いました。
O君に対しては様子を見ることにして、周りのスタッフに「今あいつはかなりきつい時だから大目に見てあげてね」とフォローしておきました。
また仕事が落ち着き出したらいつものO君に戻ってくれるだろう、そんな風に考えていた時に事件は起きました。
以前に書いたこの記事をご存知の方もいると思います。
簡潔に説明しますと、福祉用具事業所の事務員さんが忙し過ぎてミスをしてしまい、それを注意されたことに対して逆ギレしたという話です。
この時はちょうど面談の時期だったこともあり、僕が事務員さんの話を聞いてどうにか気を静めてもらいました。
本来であれば事の一部始終をO君に報告するべきですが、O君は超絶多忙な時期でしたし、事務員さんも気は収まり一応は解決していたので報告を後回しにしていました。しかしそれがいけませんでした。
事務員さんが逆ギレしたことを聞きつけたO君は事務員さんを激しく叱りつけたそうです。
泣きながら「あの時は仕事がかなり立て込んでいて…」と弁解しようとする事務員さんに向かって、「うるさい!言い訳するな!俺は言い訳は認めない!!」とさらに強く怒ったとのことでした。
上司から「言い訳するな!」と言われてしまったら部下はもう何も言えません。弁解も意見も言えないままただただ黙って怒られ続けるなんてそれはもうパワハラと言っても過言ではありません。
僕はこの話を年末に他のスタッフから聞き、めちゃくちゃ腹が立ちました。いくら仕事が忙しくて心のバランスが正常では無かったとしてもやって良い事と悪い事があります。
すぐにO君に電話しました。
「○○さん(事務員さん)とのことを聞いたよ。その件で少し会って話したいことがあるけど時間ある?」
「今は妻の実家に帰省していますので、正月明けでも良いですか?」
「奥さんの実家からいつ戻る?」
「二日です」
「じゃあ二日にこっちに来てもらっていいかな」
「え?二日はまだ休みですが…」
「いいから出てこい!話がある!」
「わ、分かりました…」
かなり腹を立てていた僕はお休みだったO君を呼び出しました。僕のあまりの剣幕にO君も拒否はせず、1月2日の午後に僕のいる入居施設にやってきました。
二人で施設のラウンジで話をしました。O君からは相変わらず負のオーラが出ており、おそらく僕から注意を受けることは分かっている様子で、それを納得していないのか顔からは少しふてぶてしさも感じました。
こういう時は相手にどうやって自分の想いを伝えるかをきちんと論理立てて話す方が本当は良いと思いますが、今まで一緒にやってきたO君にはそんな小細工はせず正直に僕の気持ちをぶつけようと思いました。
「お前は自分がやったことがどういう事か分かる?」
「ミスをした部下を注意しただけだと思います」
「お前がやったことは注意じゃないパワハラだよ」
「僕はパワハラだとは思っていません。忙しいのは彼女(事務員)だけではありません。他のメンバーも彼女以上に忙しくしているのに彼女だけわがままが通るのはおかしいと思います」
「うるさい!言い訳するな!俺は言い訳は認めん!」
「あっ……」
自分が事務員に言った言葉をそのまま僕に言われたO君はハッとした表情を見せると押し黙りました。
「上司から『言い訳するな』って言われたら何も言えないだろ。自分の考えや気持ちを相手に伝えられないまま一方的に相手から怒られ続けるのは辛すぎるよな。これはもうパワハラだと思う」
「…はい。申し訳ありませんでした。」
O君は僕から同じことをされて自分がやった愚行を理解したんだと思います。謝罪の言葉を口にしました。
「お前が今めちゃくちゃ大変な想いをしているのは分かってるよ。でもだからと言ってメンバーに辛い想いをさせても良いということにはならないよな」
「はい…」
「頑張って仕事してくれているメンバーが好きなんだろ?大事に想ってるんだろ?だったら大切にしないと」
「はい、そうでした…」
大切なメンバーを傷つけてしまった事を後悔しているのかO君はずっと俯いていました。でも顔からはさっきまでのふてぶてしさが消えていました。
おそらく僕が伝えたかったことを理解してくれたんだと思います。その後のO君から反論や言い訳の言葉は出てきませんでした。
ただこのまま終わってしまったらO君の苦しい気持ちは救われておらず、O君だけが悪いヤツになってしまいます。そこを無視するほど僕は冷たい男ではありません。
「大変な思いをしている時にこんな話をして本当に申し訳なかった。そして辛くて苦しい想いをしているのに助けてあげなくて本当にごめん!1人で抱えて辛かったよな。これからは俺も協力するよ」
そう言って僕はO君に頭を下げました。
O君は僕から頭を下げられるとは思っていなかったのか一瞬驚いた表情をしましたが、すぐに顔をくしゃくしゃにして大粒の涙を流しました。
「つ、辛かったです…やってもやっても終わらずに精神的にもいっぱいいっぱいでずっとイライラしてました…そんな自分が本当に嫌で仕方なかったです…!」
O君は辛い気持ちをずっと心に秘めていたんでしょう。でも責任感の強いO君です。1人で抱えていたんだと思います。それを初めて口にして感情が溢れて涙が止まらなくなったんだと思います。
そんなO君の気持ちに気付けず辛い思いをさせてしまっていたことを本当に後悔し、僕も涙が出てきました。
「気付いてあげられなくて本当にごめん…(泣)」
「いや僕の方も自分勝手ですみませんでした…(泣)」
入居施設のラウンジでワンワンと泣くおっさん二人…
きっと入居者から見たら異様な光景だったに違いありません。
僕らを心配して声をかけてくれる入居者もいました。#その優しさがまた泣けてくる
散々泣いて気持ちを吐露してスッキリしたせいか、O君から負のオーラは消え去りいつものさわやか笑顔が見られるようになりました。
「年明け早々本当にありがとうございました!また頑張ります!」
「支店開設もあるし、一緒に頑張っていこうな!!」
そう言い合い最後は笑顔で別れました。きっと彼は年始から期待以上に頑張ってくれることでしょう。でも無理をしてまた黒いO君にならないように出来るだけフォローしていきたいと思います。
こうして正面から真摯に話をしてO君という優秀な人間を救った僕はやっぱりハイパー統括責任者だなと思って、今回の一部始終を奥さんに鼻高々で話をしたところ、奥さんからは、
「休みの職員を正月早々呼び出して叱りつけるなんて、あんたがやってること完全にパワハラだからね!!」
と言われました。
どうやら僕はハイパー統括責任者なんかではなくただのパワハラ上司でした。
皆さんも気を付けて下さい。お休みの日に「いいから来い!」と職員を呼び出すのは完全にパワハラですから。
長文にも関わらず最後まで読んでいただきありがとうございました。
それではまた。
コッシー
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