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嬉しい連絡

月末は忙しくなるので前もって仕事の段取りをしておけば慌てる事が無くなるぞ、といつも月末に思うので多分来月も同じだと思います。

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こんにちは、コッシーです。


さて、うちの入居施設は介護付きではないため、入居者の状態が重篤になったり医療的処置が必要になると介護付き有料や特養などに転居したり、病院に長期入院するため退居される方がいます。

入居者のOさん(女性)もその1人でした。

元々うちの施設に入居された時から抗がん剤の治療をしており、治療先の病院からうちの施設が近いからという理由で入居されました。

Oさんはガンを患っているとはとても思えないほど元気で、身の回りのことは自分で全て出来るのはもちろんのこと、他の入居者のお世話まで買って出るほど活発な方でした。

書道に精通されており師範までされていたとのことで、一度「あなたにだけ見せてあげる」と言われ作品集を見せていただいたことがあります。素人の僕から見ても迫力のある素晴らしい字でただただ「すごい」としか言えませんでした。

後に、僕以外のスタッフにも「あなたにだけ…」と作品集を見せていたことが発覚しましたので、本当はみんなに見せたかったんだと思います(笑)。


OさんもOさんのご家族もなぜかうちの施設を気に入ってくださり、「死ぬならここが良いわ」とまで言ってくださいました。

そんなOさんですが、入居から半年ほど経った頃から状態が徐々に悪くなってきました。食事量も減っていき、体重もどんどん落ちていきました。

その頃から入退院を繰り返し、退院して戻る度に目で分かるほど痩せられていました。

本来であればうちの施設で入居できるほどの状態では無かったのかもしれません。それでもOさんとご家族はうちに帰ってきてくれてました。

しかしそれも限界の時を迎えます。

「余命1ヶ月だそうです。」

Oさんの4度目の入院先がホスピスというターミナルケア病棟に決まった時に息子さんからそう言われました。

同時にそれは4度目の退院が無い事も意味していました。


退去の日。

最後は笑顔で送り出そう、そう決めていた僕らでしたが、

「私の家はここだから絶対帰ってくるからね」と力なく笑うOさんの言葉に涙を堪えきれませんでした。


Oさんを送り出してから3か月ほど経った今日のことです。

Oさんの息子さんの奥さんから連絡をいただきました。本当に久しぶりの連絡ですし、特に連絡をもらう要件が思い当たらないため、正直に言うと、【その時がきた】と覚悟しました。


「ご無沙汰しております。お義母さんですが現在ホスピスから老健に移り治療を続けておりました。」

余命1ヵ月と言われていたのが3か月経っています。そして終末期のホスピスから老健に転院できています。

「ああ、Oさんは本当に頑張ったんだな、すごいなOさん」と熱い気持ちが込み上げてきました。

「それでお義母さんですが…抗がん剤治療が上手くいきガンが小さくなりました。」

「…え?つまりそれは?」

「はい。めちゃくちゃ元気になっちゃいました(笑)」

「ええーー!!すごいですね!!!」

Oさんは主治医の先生に「こんなことは初めてです」と言われるほどの回復を見せて今は老健から特定施設への転居を検討しているそうです。


「本当に良かったですね!」

「はい!そちらに戻ることは難しいですが、お義母さんも主人もコッシーさんに元気にやってると連絡をしろってうるさくって(笑)」

「ありがとうございます!!」

退去をされた利用者さんからこうして連絡をもらえるのは本当に嬉しくて、しかもその内容が「元気でやってる」という事にさらに嬉しく思うわけです。

今はコロナの関係で会いに行くことは出来ませんし、ご家族も訪問が難しいとのことでOさんと電話で話すことも出来ません。

でも落ち着いたら必ず会いに行くことをOさんに伝えてもらうことを約束してもらったので、きっとOさんは僕が行くまで元気でいてくれると思います。


現場からは以上です。それではまた。

コッシー

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