見出し画像

入居者からのバレンタイン

厨房の新人のパートさんが就業前に「今日、終わってから話があります…」と神妙な面持ちで言うので、絶対辞めるパターンじゃん!と思って落ち込んでいましたが、なんてことない「私は有給っていつから取れますか?」という話でした。いやそういうのはその場で聞いて!

こんにちは、コッシーです。


さて、うちの入居者の方で毎年バレンタインになるとありがたい事に僕らにチョコレートを渡したいと言ってくださる方が何名がいらっしゃいます。

本来はお心付けは禁止としておりますが、せっかくの入居者の温かいお気持ちを無碍には出来ませんので、そこはありがたく頂戴をしております。

基本的には「皆さんで食べてください」というスタンスですが、稀に個人宛にチョコをくださる方が見えます。


以前のnoteに登場した入居者のTさんですが、こんな何の取柄もない僕なんかをすごく慕ってくれておりまして、よくお手紙をいただいております。俗にいうラブレターです。

そんなTさんが昨年のバレンタインの時期に僕にチョコを贈りたいと介護スタッフに相談をしていました。相談された介護スタッフがすぐに僕に教えてくれました。

「Tさん、コッシーさんにチョコあげたいんだって。どんなチョコが良いか教えて欲しいらしいよ」

「いやー、気持ちは嬉しいけど個人的にチョコをもらうのはやっぱりまずいんじゃないかなー。一応お心付けは禁止にしてるんだしスタッフ全員にならまだしも僕だけなのはありがたいけど気持ちだけにしておこうかな。でも強いて言うならホワイトチョコ」

「いや言ってるやないかい!」

というコテコテのやり取りがあったとかなかったとかで、とにかくTさんに僕の好みのチョコを伝えました。

まぁ個人的にチョコをもらうのは賛否両論あるかと思いますが、感謝を伝えたい人に感謝を伝えるというのはとても良い事だと思うので1年に1度しかないわけなのでTさんのご好意を受け入れる事にしました。

しかし僕の好みを伝えましたが、なかなか買い物に行く機会も少ないTさんですし、ましてや普段買った事もないホワイトチョコです。ご自身で買うのがやはり難しいということでスタッフにお願いをされました。

うちの施設では入居者から頼まれた買い物は僕がまとめて買いに行くことが多く、当然Tさんから頼まれたホワイトチョコも僕が買ってくることになりました。


えっ、僕に贈るためのホワイトチョコを僕が買いに行くの?


入居者から頼まれた買い物は僕の担当だから良いんだけど、何だろうこの味わったことのない感覚は。サプライズ感ゼロです。

でも大切なのはTさんが僕に贈りたいという気持ちです。僕が僕のためのチョコを選ぶことなんて大した問題ではないのです。

僕はクランキーのホワイトチョコレートが大好きなのでそれを買い、ラッピングはスタッフにお願いしました。


そして迎えたバレンタイン当日。

Tさんから「いつも本当にありがとね」とチョコを受け取りました。受け取ったチョコは綺麗なラッピングがされていました。

「わざわざありがとね!めちゃくちゃ嬉しいよ!」とTさんに伝え、ラッピングを外しました。

すると中から出てきたチョコは僕が買ったホワイトチョコではなく見たこともないチョコレートでした。

完全に不意をつかれた僕は「あれ?チョコが違う!」と声に出してしまい、スタッフから「バカ!黙って!」と言われました。#バカです#黙ります

TさんがくれたのはTさんがデイサービスを利用した際に作った手作りチョコでした。

最初はスタッフに(僕に)買ってきてもらったチョコを渡すつもりだったらしいのですが、デイサービスでチョコレート作りをした時にスタッフから「ご家族や日頃お世話になってる人にあげると良いかもしれないですね」と言われたとのことで、急遽僕にあげるチョコを変更したそうです。

チョコはとても丁寧に作られており、Tさんからの愛情をとても感じました。僕が好きなホワイトチョコではありませんでしたが、そんなことは全く関係なくめちゃくちゃ嬉しかったです。

思いっきりハグしてあげたい気持ちでしたが、さすがにそれは出来ないため何度も何度もお礼を言いました。Tさんはとても嬉しそうな顔をしていました。


Tさんは今年も僕にチョコをあげたい気持ちだったみたいですが、今年は残念ながら外出規制等があり全面的にチョコをいただくのを禁止にして、その代りこちらから渡すのみとさせていただく予定です。

Tさんは残念がっていましたが、当日は僕から感謝の気持ちを込めたラブレターをお渡ししようと思っています。


現場からは以上です。それではまた。

コッシー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?