介護をビジネスと捉えるか否か

こんにちは😃コッシーと申します。

愛知県で介護事業を運営している会社の介護事業部の統括責任者をしております。

さて、介護事業を運営していると、稀に「人の弱みに付け込んで商売しやがって」という意見を頂戴する場合があります。

介護を提供している側としてはそんなつもりは全くありませんが、そのように言われる心理は理解できます。

介護はご利用者の出来ない部分、不安な部分を支える仕事です。その内容によっては利用者が断るという選択肢がないケースも多々あります。そういった状況の中で報酬を払って介護してもらうというのは、ご利用者やその家族にとっては、そういう思いもあって然るべきだと思います。

しかし介護者は商売で介護をしてるわけではなく、本当にご利用者のためを思って介護をされてる方がほとんどだと思いますので、そういった意見をいただくと落胆したり、時に憤りを感じたりすることもあります。

しかしはっきり申し上げると介護事業は【ビジネス】です。ボランティアや無償で行っているわけではなく、きちんと利益を出して運営していかないと事業が継続できなくなってしまいます。

そうなると、商売として介護事業を運営することは決して間違ってはおらず、事業を継続するという意味ではむしろ商売として介護事業を運営しないといけないわけです。まぁ弱みに付け込んで介護事業をしている方は当然いないと思いますが。

前置きがかなり長くなってしまいましたが、ここからが今日の本題です。

では、現場で働くスタッフに【介護はビジネス】という意識を持って仕事をしてもらう方が良いのかどうか、という事を今日はお話させていただきます。(本当に前置きが長い!)

【介助=売上という意識】

僕が入居施設の管理者に就任した頃のお話ですが、そこの施設は介護付きではなく住宅型と言われる入居施設で、介護が必要な方は別途料金がかかる方式でした(細かい話をすると、介護保険を使うか施設のオプションサービスを使うかなどの問題がありますが今回の本質とは関係ないので省きます)。

ざっくりと簡単に説明すると、何かしらの介助をしたらお金をいただきますよ、ということです。

例えば、突発的な失禁等により衣類やオムツなどを交換した時や普段は歩ける方が体調が悪く車イスで移動を手助けした場合など、介助等をするごとに料金をいただくシステムでした。

この施設の管理者に就任したころの僕は、介護現場の経験がほとんどなく、管理業務を主として勤務しており、「介護はビジネスだ!」と一番強く思っている頃でした(笑)。

ですので、管理者に就任した頃、自分の考えを熱く現場に語りました。「君たちの行動一つ一つが商品なんだ!」「正当な対価をもらうべきだ!」「ボランティアじゃないんだ!」と現場も知らないくせに酷い奴ですね。

ただ当時は介護はもっと評価されるべきだと考えていたので、毎日のように現場リーダーに口うるさく話していました。

【目の前で転倒する利用者に・・・】

僕の考えがかなり現場に浸透し始め、一つ一つの介助に対してご利用者にきっちり請求をするようになりました。

そんなある日のこと。

あるご利用者が昼食後に居室へ戻ろうと歩いていた時、何かにつまづき転倒されました。どうやら膝を打ったご様子で膝を抑えてうずくまっています。本来であれば、真っ先にかけより状態を確認するべきですが、ご利用者の一番近くにいたヘルパーが僕の方を見てこう言いました。

「起こしますけど、介助料いただきますよね?」

それを聞いた時に僕は自分が思いっきり間違っていたことに気付きました。いくら介護はビジネスを言っても目の前で倒れている人を助ける前にお金の算段するなんて人として大きく間違っています。

【売上を考えるのは船頭だけで良いけど方向性は示そう】

そこから僕は方向性を転換しました。現場の方々にはとにかく売上の事は考えなくて良いから利用者の介助を優先させましょうと、ただ行った介助に関しては必ず記録すること。お金の算段は全て僕の方で行うというカタチに替えました。

その代わり定期的に月次収支の報告をスタッフにきちんと行い、そして運営の方向性(理念)を示すことにしました。

そのようなカタチに切り替えた事で現場は迷いなく介護に集中できますし、ご利用者に迷惑をおかけすることも無くなります。

さらに、定期的に収支状況や経営理念を示す事で正しく進めているかを全体が把握できるようになります。

ちょっと極端な例ではありますが、介護事業がビジネスだという考えを現場まで浸透させると、もしかするといろいろと不具合が生じるかもしれませんので、収支は管理者が考え、現場は介護に集中させた方が上手くいくかもしれません。

現場からは以上です。それではまた。

コッシー


この記事が参加している募集

私のイチオシ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?