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【ぼくはコッシー】

物心つく子供の頃ってTVや漫画のキャラクターを好きになる時期があると思う。

たとえば、アンパンマンやドラえもんのような国民的アニメのキャラクターだったり、男の子なら何とかレンジャーやライダーシリーズだったりとグッズを集めたりDVDを何度も観たりとか、誰しもそのキャラに熱中する時期って必ずあると思う。


「この子は何を好きになるんだろうね」

「何でもかんでも買ったりしたらダメだからね!」

「自信ないわー(笑)」


息子が生まれて間もない頃、奥さんとそんな風に笑い合ったことを覚えている。

息子はいわゆる有名どころのキャラクターには全く興味を示さなかった。

みんな大好きアンパンマンや王道のディズニーキャラクターなどのぬいぐるみを買って見せても触ることすらしなかった。
男の子だからと戦隊モノのTVを見せても見向きもしなかった。

ありとあらゆる子供に人気のキャラを試したがそのいずれも息子の支持を勝ち取ることはできなかった。


息子が2歳くらいになったある日のことだった。
その日は休日でリビングでゆっくり息子と過ごしていた。TVにはNHKの教育テレビが漫然と流れていた。
「おいーっす!」と言いながら青い椅子のキャラクターが登場したその時だった。

それまで何の興味も示してなかった息子が声の方に顔を向ける。
「ライス上手いっス~!」青い椅子が続けて喋る。
息子はスクっと立ち上がりTVの方へヨタヨタと歩いていくと、ジッと画面を見つめた。

これまでTVに全く興味を示してなかった息子の行動に僕は驚いた。慌てて洗い物をしていた奥さんに声をかけた。
画面から目を離さない息子の姿に奥さんも驚いていた。

息子はその番組が終わるまでTVから目を離すことはなかった。
「まったねー!」青い椅子がサボテンのおじさんや女の子と一緒にサヨナラをして番組が終わると、珍しく息子が僕の方を見てTVを一生懸命指したり画面を叩いたりして何かをアピールしている。
その仕草はまるで「もう1回今の番組を見せて!」と言っているようだった。

「YOUTUBEで流してみたら?」

奥さんからの提案でYOUTUBEに【コッシー】と検索して適当な動画を流した。
息子は僕からiPadを奪い取ると食い入るように画面を見つめていた。動画が終わると僕にリピートするように催促する。
結局その日はずっと動画を見ていた。

今までどのキャラクターにも見向きもしなかった息子が初めて興味を示したのが【コッシー】だった。
僕らはそれが本当に嬉しかった。まもなくうちの家からはアンパンマンやディズニーのぬいぐるみは消えて、コッシーグッズで部屋が埋まった。
飽きることなくDVDを毎日のように観ていた。


2歳になると周囲の同じ年の子供たちは言葉を話し始めていた。中には普通に会話が成り立つ子もいた。
けれど息子から言葉が発せられることは無かった。


「パパに似ておっとりしてるのかもね」

「大器晩成型だね、きっと」


もちろん不安がないわけじゃなかったけど、成長には個人差があると思っていたし、きっといつか話せる日が来るだろうと僕らは信じていた。

でも息子は3歳を過ぎても一向に言葉を話すことは無かった。
さすがに焦りを感じた僕らは通っていた療育施設の先生に何度も相談をした。

「言葉の遅れがある子はたくさんいますから心配ないですよ」
「何かのきっかけできっと話し始めますよ」

先生に悪気はないことは分かっていたけど、根拠のない励ましが逆に辛かった。


息子の前で毎日歌を唄ったり、お風呂で五十音を大きい声で聞かせたり、暇さえあれば児童館に足を運びおしゃべりが出来る子供たちと一緒に触れ合ったりと、発語に良いと言われることはとにかくいろいろと試した。

でも息子が話すことはなかった。


来年度から通う予定の保育園から障がい者の申請をした方が良いと言われた。市役所に申請をし指定された場所で規定の診断を行った。
ほどなくして市役所から障がい者手帳が交付された。
判定は最も重い【A】だった。

息子が保育園に上がる頃には息子が障がい者だという事を僕ら夫婦は自然体に受け入れることができていた。
同年代の子たちが出来る事を出来なかったり、こちらの言う事を理解してくれなかったり、そして言葉を話さないこと、それら全てを本当に自然に受け入れていた。

息子は何がどうあろうと可愛い息子だ。それ以上でもそれ以下でもない。そんな風に思っていた。


そんなある日。仕事をしていると奥さんから一通のLINEがきた。
LINEにはメッセージは一切なく動画が一つだけ貼られていた。
仕事の手を止めて動画を開いた。

動画にはTVでコミカルに歌うコッシーを息子が真剣に見つめている姿が映っていた。いつも見る馴染みの光景だと思った。

コッコ コッコ
ココッコ コッココ コココッシー
ぼくはコッシー
ナイスなイスだよ
ココッコ コッココ コココッシー 

音が漏れないようにイヤホンをする。
歌うコッシーの声に混じって何かが聴こえた気がした。巻き戻してもう1度耳をすまして聴く。
「コッコ コッコ」と同時に明らかにコッシーとは違う声で「こっ!」と聴こえる。


息子だった。確かに息子の声だった。


音量を上げてもう1度聴いた。同時に動画の息子の口元を見る。
大きく口を開けて「こっ!」と言っていた。
その声をとてもたどたどしく、人によっては喃語のように聞こえてしまうかもしれない。
でも動画の息子はコッシーの唄い出しと合わせるように声を発していた。
息子は話そうとしている、歌を唄おうとしている、僕にはそうとしか思えなかった。

僕は慌てて動画の停止ボタンを押した。これ以上見続けたら涙が溢れてしまいそうだった。

僕が動画を停めるのと同時の一通のLINEが届く。奥さんからだった。


「感動した?(笑)」


まるで図ったかのようなタイミングに間違いなく奥さんは僕を泣かせにきたんだなと分かった。
まんまとしてやられて悔しい気持ちになったけど、それ以上に感謝の気持ちでいっぱいだった。

ありがとう奥さん。

そしてありがとうコッシー!


それから月日は流れて、僕はふとしたことからnoteを始めることにした。
ハンドルネームの設定画面で少し考える。
すぐにこれしかないと思いつきキーボードを叩いた。


【コッシー】


あの日、息子の声を聞かせてくれたコッシー。
感謝と敬意を込めてお名前を拝借します。

今日から「ぼくはコッシー」です。


*************


というわけで、改めましてnoteのコッシーです。#ややこしい

以前の記事のコメントでくまさんよりハンドルネームの由来を聞かれました。そう言えば詳しく話したことはなかったなと思いまして、今回記事にさせてもらいました。

思いのほか熱が入り長くなってしまいましたが、一言で言うのなら「息子がコッシーが好きだった」です。#読者の時間を返せ


まぁ僕の話は置いといて、皆さんのハンドルネームの由来って確かに気になりますね。

特に企画とかにはしませんが、もし気が向いたら教えてくれると嬉しいです。


長くなってしまいましたが最後までお読みいただきありがとうございました。
最後にもう一度だけコッシーサイン入りロービーブロマイドを貼っておきますね。保存して使ってくださいね☆

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それではまた。

コッシー


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