USELESS MEMORANDUM Christian Dior Monsieur⑦「あとがき〜トリビアを添えて〜」
元々筆不精というか
そもそも面倒くさがりな私が
この度一連のnoteを書こうと思い立ったのは
Twitterが切っ掛けでした。
所有しているChristian Dior Monsieurの
ジャケットを
Twitterで紹介していた折
ふと
「ネットではChristian Dior Monsieurについて
情報が少なく、間違いも多いので
自分が知っている事をまとめてみようかな」
(意訳)
と呟いた事に
相互のフォロワー様が興味を持って下さり
その方々から温かいリプライを頂戴した事で
すっかりその気になってしまったのでした。
その節は良い切っ掛けをを与えて頂き
本当にありがとうございました。
この場をお借りして御礼申し上げます。
執筆と並行しながら
追加調査も行ったりで
なんだかんだ新発見もございました。
あとがきでは
話の腰を折ってしまいそうで
本編で敢えて披露しなかった
新発見のお話でも致しましょう。
其の一
「嫌々始めたメンズライン?」
2007年2月27日のWWDの記事中で
Christian Dior Monsieurの初代デザイナー
Marc Bohanの
「I hated going into the men's department,」
という発言を引用し
彼がメンズの展開に乗り気では無かったと
記述があったのですが
それがどういう文脈で語られた言葉なのかは
一切言及が無く
何故唐突にdepartment?
などとモヤモヤしておりました。
最近知ったのですが
1970年頃のDiorは
事業の多角化(レディースプレタ、キッズ、メンズetc…現代のハイブランドでは一般的な商品展開)について
「クチュールメゾンなのにまるで百貨店だ」と
揶揄されていたそうです。
なるほど!
そこで先の発言ですね!
しかし
Marc Bohanは皮肉に対し普通に返しただけで
あまり他意はない様な…
真面目で控えめな人柄として
語られる事が多い彼ですが
実際インタビューを拝見していても
「真面目で控えめな人」を
地でいってるなぁという印象です。
マスコミから
意地悪な質問をされて困り顔をしている彼が
目に浮かびます。
其のニ
「3年目の和解」
そんなMarc Bohanにまつわるエピソードを
もう一本。
彼はChristian Diorの3代目デザイナーとしても
長きに渡り活躍したのですが
彼の先代、つまり創業者公認の後継者
Yves Saint Laurentとの間に確執がありました。
Yves Saint LaurentはDiorの死後
わずか21歳の若さで後継者となりますが
このメゾンで彼の栄光は長くは続きませんでした。
右派だったChristian Diorオーナー
Marcel Boussacの意向もあり
アルジェリア独立戦争に徴兵されてしまいます。
徴兵されたYvesは戦場にこそ
配属されませんでしたが
それが有名人への優遇だと世間からバッシング
更に軍内のイジメ、精神病院への入院と
心に深い傷を負います。
1960年退任したYvesに代わりMarc Bohanが
Christian Diorの3代目デザイナーに就任。
一方
失意の底から何とか立ち直ったYvesは1962年に自身のメゾンを立ち上げます。
そこで問題が発生。
Christian Diorのスタッフ十数名が
Yves Saint Laurentに移籍した事で
Dior側から引き抜きを疑われ
訴えられてしまいます。
Yvesは引き抜きは事実無根であると全面否定。
Marc BohanらDior側と険悪な関係に
陥ります。
そこから時は流れ10年後…
フランス編で紹介した映画
「リスボン特急」でMarc Bohanが手掛ける
Christian Dior Monsieurを着用した
Alain Delonですが…
共演者のCatherine Deneuveのドレスを
デザインしたのは
何とYves Saint Laurentでした!
この事実を知った時
一体二人のデザイナーはどんな気持ちで
この仕事を引き受けたのだろう?
と思いを巡らせたのですが…
その後も調査を進めると
彼らは1965年に
既に和解していたとの事でした!
切っ掛けとなったのは
この人物…
デザイナーのMaurice Renoma。
彼の結婚式に立ち合った事が切っ掛けで
二人は無事に和解したのでした。
因みにYvesは
Renomaブティックの顧客でした。
(Yves Saint Laurentのメンズは1969年スタートなので当時はまだ自分のブランドを着ていなかったんですね)
以上
あとがきのつもりが
殆どゴシップ記事みたいな内容になり
蛇足感マシマシですが
これでひとまず終わります。
最後までお付き合い頂き
ありがとうございました!
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