ゾーニングVSブックストア

「言いたいことがあるんだけど」
レジに立っていると、突然に声をかけられた。
「このお店は、なんでこんな本を売ってるの?」
オバサンが叩きつけるように置いた本は、少し表紙が過激なラノベだ。
またか…と俺は呆れる。最近はこんな客が多い。
子供のためだとか有害図書だとか言って、表現の自由を廃そうとする、自称・正義の使者。
正直、営業妨害だ。俺はレジ下のショットガンに手を置く。
「はい、それは青空ミソラ先生の最新作で…」
「こんなの、子供が見て変な影響を受けたらどうするのよ!撤去よ!撤去!」
「ですが、そうしたら他の本も全撤去ですよ。BLとか」
「BLはいいのよ!綺麗なんだから!」
支離滅裂だ。俺は静かにあの言葉が発せられるのを待つ。
「なんていうのかしら…そうよ!ゾーニング!ゾーニングが必要よ!」
俺はオバサンの頭にショットガンをぶっ放した。
二日前、ゾーニング自衛法が可決された事で、本屋の店員は狩人になったのだ。

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