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M29と呼ばれた男

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地雷を踏みぬいた兵士が目を覚ました時、その手足は無くなっていた。IOP社の実験計画により自律人形の体になった男は、謎の傭兵部隊『404部隊』に配属されることになり、非公式の機密任… もっと読む
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記事一覧

M29と呼ばれた男 15話

目を覚ますと、隣にM923はいなかった。 寝袋から這い出ると、冷え切った荷台の冷気が裸の上半…

M29と呼ばれた男 14話

キャデラックを走らせてきたルートをそのまま逆走して、軍用トラックは研究施設へと向かった。…

M29と呼ばれた男 13話

町の名前は聞いていたはずなのだが、とうに忘れてしまっていた。 予想よりは大きい、しかし空…

M29と呼ばれた男 第12話

ベットに寝転がって本を読んでいると、外からクラクションが聞こえてきた。 外に出てみると、…

M29と呼ばれた男 第11話

その機械はテレビのリモコンに似ていた。 いや、ガワそのものはテレビのリモコンそのものだっ…

M29と呼ばれた男 第10話

目の前で縛られているのは、不幸な男だった。 今から今世紀で最悪な目に遭う予定の男で、地獄…

M29と呼ばれた男 第9話

「位置に着いた」 無線でUMP45に報告する。枝の上に到達するのは思っていたよりも簡単だった。 自律人形の義体で強化された脚力と腕力があれば、木登りなんて朝飯前だ。 心配事だった枝の強度は、よほど揺らさない限り折れる心配はなさそうだ。 「分かった。カウントと共に突入して」 「了解」 「5」カウントが始まる。俺は自身の分身であるマグナムと、新品の高周波ナイフを抜く。 「4」突入口である窓を見据え、どのように突入すればより素早く敵を無力化できるか頭の中で計算する。 「3」ふと疑問

M29と呼ばれた男 第8話

自律人形の義体になってから、初めての行軍だ。 針葉樹の森の中を、およそ30㎞。星と月がきれ…

M29と呼ばれた男 第7話

「あなた、元正規軍ってほんと?」 ヘリコプターの最低な乗り心地を楽しんでいると、UMP45が聞…

M29と呼ばれた男 第6話

それから三日間。仕事が無い日が続いた。 404部隊の面々は相変わらずの日常を過ごしていたが、…

M29と呼ばれた男 第5話

新しい職場と、買ったばかりの靴はよく似ている。 つまりは、しばらくの間だけ違和感があると…

M29と呼ばれた男 第4話

つい先ほど修羅場を潜った身としては、早くベッドに横になりたかった。 404部隊が俺を歓迎して…

M29と呼ばれた男 第3.5話

雪の中、愚痴を言いながら歩く。 膝まで積もった雪のせいで、歩きにくいことこの上ない。 ひた…

M29と呼ばれた男 第3話

3日間の性能テストを終えた後、技師をカフェに誘う間もなく部隊に配属された。 404部隊。聞いたこともない部隊だ。 配属先の寮舎に向かうまで乗っけてもらった、輸送トラックの運転手(驚いたことに少女型の戦術人形だ)に話を聞いたところ、404部隊というのは非公式の部隊で、戦術人形の部隊に不可欠な、人間の指揮官を必要としない特別な部隊ということだった。 「なんか、頭の中身からして違うんだってさ」 ガタガタと揺れるトラックの助手席で、俺は戦術人形の少女の話を聞いた。 「作戦考案から実行