意思を繋ぐ家
店舗名 「Sound Vibes」 音響・楽器・電気に関わることを生業とした店舗。
先代が営んだその場所は昔、音楽好きが集う、年代を超えた交流の場だったと、懐かしさと、有り難さを滲ませるような話し方で数々の人から聞いていた。
震災被害を受けながらも、業務を再開し、町の復興と共にあろうとする意思を示していた。
東京から戻ったご子息夫妻と共に、前に進もうとする姿は、地域のイベントから、法要行事、学校行事など、様々な場所で目にしていた。
県も跨ぎながら、奮闘し、走り回るラスタ・カラーのハイエースは今でも鮮明に覚えている。
その後、病で亡くなられた先代の意思を受け継ぎ、再建された店舗兼住宅。
嵩上げされたが、以前とほぼ同じ場所に、ズッシリと構えて建つ。
「またあの頃のように、この場所で、小・中・高校生や、大人たちが交わって、店主おすすめのレコードを聴きに、ギターを教えてもらいに、音響PAの弟子入りなんてことになったらそりゃ最高ですね!」
こんなことを話しながらの打ち合わせの日々を思い出す。
施工中、塗装や、壁の漆喰塗り、足場に登っての工事まで、お手伝いして頂いた。
作業する自分の背中に誰かが声をかけてくる。
「お〜い! いや〜、ついに大工もやるのか!?」
「なんでもやるな〜、すげ〜な〜!!」
振り返って
「あ〜、どうも〜、こんちは〜」
「ん?・・・いや、確か13年くらい大工だったはず」
すると、
「あれー〜〜ー!?え〜〜??」
「じゃあ、上にいるのは誰よ!?」
「はぁ!!?」と声が聞こえてきた。
数年来の友達でも、間違うらしいことが判明。
建主さんと自分が激似な余談。
真夏の建て方から、寒い冬を越え、建主さんとこんなにも密に関わり、共に造り上げる現場は今までにない貴重な時間だった。
設計段階から、
「地域の人が散歩がてらお茶飲みに来て欲しいな〜。」と、お二人。
地域との関わりを大切にされていて、二人の人柄に滲み出るほど優しい。
震災後に一から作り上げた音楽フェス「ウミネコJAM」の発起者でもある。
運営する有志の方々の人柄に合う、素敵で優しい空気を生み続けている。
https://www.uminekojam.com
音響、機材のこと、イベント、楽器のこと、家電のことはもちろんだが、
この町にとって、なくてはならない場所の、再建に携わることができた事が本当に嬉しい。
隠れ家として、心置きなく趣味に没頭できるように設けられた屋根裏空間。
住み始めてからの話を聞くと、気心知れた仲間の中には、このロフトで寝るのが落ち着くと評判だということを聞いて、いつか、建主さんセレクトの曲を聞かせてもらいながら、自分もここで一泊してみたいなと、思いました。
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