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ニューギニア高地のクマ族と体の中の水の話2

本日のBGM  The Impressions - We Go Back a Ways


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ニューギニア高地というのはニューギニア島中央部を東西に走る山岳地帯のことでして、ニューギニア島ってのはインドネシアの東、オーストラリアの北に位置する島で、この島には2つの国がありまして、真ん中ですっぱり国境が引かれているのは地理の教科書でも目立っていて良く覚えているんですけど、

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西側がインドネシア領、東側がパプアニューギニアとなっていて、その原因はかつてヨーロッパ諸国が植民地政策をとっていたときの線引きなんですけど、今ではニューギニア島サイドとインドネシアとで争っていて、もう50年以上 紛争状態が続いていて 今だに終結していないという状況です。


そんなニューギニア島は結構でかいみたいで、面積で言えば日本2つ分くらい、島の中ではグリーンランドに次ぐ世界2位の広さなんだそうです。大陸を含めても8番目の大きさ。これはでかいですよー、北海道でさえあんなにでかいのに。知床どころじゃねえ自然の規模です。面積で比べるもんでもないでしょうけど。

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そして山岳地帯には 独立した言語、文化を持つ少数部族が800以上暮らしているそうで、この多様性は凄まじく、これほど多くの部族が独立して存在してきたのは険しい山々という環境がそれを可能にしたとのことです。

また その中にはいまだに昔と変わらない生活を続けているグループもあるというわけで、ニューギニア高地の少数民族たちは民俗学の研究サンプルの宝庫なんですね。今でも人口の40%が高地で暮らしているそうです。

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というわけでこの本↑に戻りまして、この本の中の「精液の容器としての男性身体」というレポートは 1953年のニューギニア高地の少数部族の一つ クマ族の調査記録から始まるんですけど、

その内容は通過儀礼を控えた少年たちに クマ族の老人二人が 保健体育の授業をしているところからでして、老人たちが言うのは 「とにかく自分の中の水を不用意に使うな」ということなのです。ここでいう体の中の水とは精液のことですね。そして結婚前に女と交わるな、と彼らは言います。

老人たちの言葉をざっくり言うと、「我々男は結婚前に女と交わってはならない、それは自分の中の水をいたずらに失うことになるからだ。体の中の水に注意を払わなければ大地からも水は失われる。なのに今の若いもんときたら わしらの忠告を聞こうともせんで節操なしに女友達と遊んでけつかる。だから今の若いもんたちの体は虚弱で、生まれてくる子供も小さく、大地は乾いて 収穫物も乏しい。わしらはこの言いつけを守っていたから今でも体は大きく 力強い。畑もたくさんの収穫物を届けてくれた。ところが今時の奴らは、、、」という感じなんですけど、

この部分を最初に読んで思ったのは「これって人口抑制のためかな?」という事でして、狩猟民族と農耕民族の違いで、農耕民族は畑の広さに応じて養える人数が決まるのに対し、狩猟民族では自分たちの持っているテリトリーの広さに応じて人口が決まるわけですね。畑仕事というのは努力すれば畑を広げられるし、子供でも手伝える仕事がいくらもあるから、人数がどんどん増えていっても その分生産性も上がるので 結果的に人口が拡大するんですけど、

狩猟民族の場合は その部族における人口の上限というのは既に決まっちゃっているんですね。テリトリーの中の食べ物を食い尽くしてしまわないように。食べ物というのは自分たちで作るものではなく 自然から与えられるもの、という考え方がベースにあります。

そして狩猟ができる人間というのは 体力があって 記憶力が良くて 瞬時の状況判断も的確な人になりますから お荷物になる人間というのは必要ない。だから無闇に人口を増やすことはご法度で、虚弱な子供や役に立たなくなった老人は間引かれたりさえするので、そういった人口抑制のための遠回しな教えなのかしら、と思ったんですけど 読み進めてみると どうもそれとは少し違うみたいで、そのことはまた長くなりそうなので次に続きます。



高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目







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