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ニューギニア高地のクマ族と体の中の水の話4

本日のBGM Oumou Sangaré - Ah Ndiya


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だいぶ間が空いたんですけど、ニューギニア島の民族学の話で、ニューギニア島はオーストラリアの北にあるでっかい島で、半分がインドネシア、半分がパプアニューギニアという国になっておりまして、2つの国ができるずっと前からそこに住んでいた少数部族の保健体育のお話です。

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ニューギニアの多くの社会(各部族のことです)において、妊娠とは男性の水(精液)が女性の血と結合することによって発生すると考えられているそうで、

さらに、妊娠と胎児の順調な成長を得るためには多量の水が必要であり、妊娠の兆候が明確になるまで繰り返し性交を行って、水を女性の体内に注ぎ続けなければならない と考えられているそうです。もうタイミング法とか関係ねえってくらい とにかく新婚さんは物量責めでいくそうです。というかそれが義務なんだそうです。

つまりニューギニアの社会においては男性の精液自体が胎児を形作ると考えられているようで、科学的に言えば受精した後はそれ以上の精液はいらなくて、胎児の成長にはむしろ母体の栄養面が大事になるわけですけど、その一方で、妊娠がはっきり分かり出したら男性の関与はそこで中断されるそうです。

妊娠後期と授乳期間中の性交は、子供にとって有害であるということで、また出産と授乳期間中に男性が子に近づくことも 両者にとって極めて危険な行為であると、ニューギニアの社会ではみなされています。

そしてニューギニアの社会では授乳期間がかなり長くて、数年間に及ぶそうですが、その間 男性は子に近づかないよう生活を送るので 女性と子との間には極めて親密な関係が醸成されるのに対し、男性はその関係の外側に置かれることになり、その結果、子は絶えず女性との接触を保ち、女性に依存した形で人生の最初期を過ごします。


この母と子の関係は、子が女の子だった場合 その子が結婚するまで大きく変化せず、親密な関係を保ち続けるそうですが、男の子だった場合10歳前後で、女性の側から男性の側へ、帰属するグループの変更を強要されます。

これはやっぱりしんどいそうで、ずっと女性のグループで育ってきた男の子が10歳で筋骨隆々な男たちのグループに強制加入させられるわけで、いわば暴力的な引き離し、これを行う機能がイニシエーション(通過儀礼)であり、こういった儀礼には本人たちのグループなり社会なりの概念を より強固なものにする機能もあります。

つまり生物学的な男や女という分類以上に、その社会における男というもの、女というものの像を自分たちで作り上げて、それを強く信じるための機能として通過儀礼や各種のタブーが存在するわけですね。

これはどの社会にも言えることで、我々の属する社会でも同じ事ですが、自分たちで作った概念を自分たちで信じ込むことができるのは 今のところ人類、特にホモ・サピエンスだけだったと言われています。かつてはいろんなヒト科の人たちがいましたからね。

さて通過儀礼の内容に関してはちょいとえぐみが強いので詳しくは書かないと思うのですが、とりあえず次に続きます。


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高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目



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