ニューギニア高地のクマ族と体の中の水の話3
本日のBGM Elton John - Crocodile Rock
ニューギニア島の写真↑
ニューギニア島で調べたら出てきたワニの写真↓
南国ですからワニも多いんでしょうね。ワニというと実は2億年前からほとんど変化していないという生きた化石でございまして、恐竜の絶滅が6000万年前くらいだから、恐竜時代も その後の氷河期もずっとこのスタイルのまま生き抜いてきたというすごいやつでして、
これだけ大型の生き物でこんな永い時間 進化を必要としなかったというのは それだけ生物デザインとして完成してるってことですよね。今まで私は変温動物よりも恒温動物の方が優れてると、観測者の選択効果で思い込んでいたんですけど(人間が恒温動物なので)、
変温動物というのは言い方を変えれば太陽からエネルギーを取り出すことができるということを読んで、確かにそう言われればそうだと思いまして、だから変温動物たちって自分たちで熱を作り出す必要がないから あんまり飯食わなくても大丈夫で、それでマムシが酒の中につけられても しばらく生きてやがんのかと納得したりして、そうやってマムシがタフなもんだから、マムシをつけた酒を飲んだら滋養強壮に良いという奥ゆかしい信仰が生まれたりして、
そんで恒温動物の場合 摂取したカロリーのほとんどを体温維持に使っているわけだから、そこそこ運動してもそんなに消費カロリーは変わらないというか、痩せたいんだったら筋肉量を増やして基礎代謝を高めた方が効果的だと思うけど、まあ精神衛生的には運動は良いですものね。
ところでニューギニアの男性の間ではスカリフィケーション(一度傷をつけることでその部分の皮膚を隆起させて模様を描くやつ)でワニのモチーフを彫ることが結構あるみたいで、ニューギニアにとってワニというのは強者の象徴みたいなものなのかしら。しかしまあ痛そうですよね。でもこう言った身体装飾は 人為的に小さな傷を作ることで免疫を発達させるといった側面もあるそうです。
さて本に戻りまして、
この図↑の7番がクマ族の集落の位置になります。番号はそれぞれ別の集落の位置を記していて、先で出てくる そのほかの部族との共通点、及び違いを検討する際に「サンプルはちゃんとばらけていますよ」 という目配せのための地図ですね。Googleマップで言うと、若干ずれてますけど このへん↓ のあたりです。
さてクマ族の老人二人は 通過儀礼を控えた少年たちに「体の中の水(精液)を失うな」と繰り返し伝えていましたが、なんでそんなことを言うのかというと、クマ族だけではなく ニューギニアの人々の間では男性身体の成長と、女性身体の成長とでは全く別のものだという常識が関わってきます。
上↑の地図の 番号がふられた部族(以下この本に倣って社会と記載します)の人たちにアンケートを取りましたところ、「女性の体は自然に成長すると思いますか?」と言う質問には どの社会も「その通りです」と答えていますが、一方で「男性の体は自然に成長すると思いますか?」と言う質問に対しては どの社会も軒並み「そうではありません」と答えています。
どうしてこう思われているのかというと、一般的に女性の体は男性に比べ成長が早く、第二次性徴もはっきりしているのに比べ、男性の方は 染色体に欠陥があるようなもんですから幼少期は病弱で、医学が発達していない環境では男性の方が乳児死亡率が高いし、第二次性徴と その後の身体の成長も女性に比べて遅くなりがちです。
そんなわけでニューギニアの社会において、「女性身体の成長は自然に進むもの」 と捉えられているので ジジイどもからあーやこーや言われずに済むのですが、男性身体は自然に成長するものではなく、周りの人間による手助けや、本人の努力が必要だと思われていて、いくつかの禁忌、タブー、ダメ絶対な項目と、通過儀礼が存在しており、その面倒を見る義務は年長の男性に課せられています。
さらに本を読み進めまして 次は子供ができるメカニズムについての概念に続きます。
高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目
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