電力不足と位置エネルギーの話
本日のBGM Oasis - She's Electric
ここ数日の寒さで全国的に暖房機器がかなり使われているようで、その結果例年よりも電気使用量がかなり増えて 電力需給が逼迫、発電所フル稼働してバランスとってるけどもう限界っす ってなことで電力会社では節電を呼びかけているそうなんですけど、
こんな時のために電力を位置エネルギーとして保存する仕組みを開発している会社がスイスとイギリスにあるそうで、位置エネルギーというのは要するに重力のことで、高いところにあるものはそれだけでエネルギーを持っているということですね。
例えるなら地面に置いてあるボーリングの球は位置エネルギーゼロですけど、ビルの屋上にあるボーリングの球は結構な値の位置エネルギーを持っていることになります。ビルから落ちてきたボーリングの球はコンクリートを粉砕しますものね。
つまり位置エネルギーを保存するというのは、重いものを高いところに置いとく、という大変シンプルなものになります。
しかし位置エネルギーを得るには誰かがボーリングの球を屋上まで持っていかなきゃいけないわけで、その時点ですでにエネルギーを使うわけですよね。それどうすんねん、と思うわけですが、
発電の種類によっては細かい調整ができないものもあって、その最たるものが原子力発電で、一旦発電を始めたら一定の出力を保たないと原子炉の状態が不安定になってしまうから、昼間と同じ出力で夜間も電気を作り続けることになるんですね。
でも夜間は昼間に比べて電気使用量が下がるから夜の間の電気というのは完全に余ってしまって、ほんじゃあそれをどっかに充電しておけばいいじゃんと思うものの、そんな大容量の電気を保存するバッテリーを作るのは めちゃくちゃ金がかかりますし、
バッテリーに電気を保存したところで保存効率も良くないというダブルパンチでございまして、電気はやっぱり生まれたてが一番、時間と共にどんどん元気がなくなっていって使い物にならなくなります。
そんな余った電気を 位置エネルギーとして保存をしてきたのが揚水発電というやつで、これは高い位置の池Aと 低い位置の池Bを利用して、夜間の余った電力で下の池Bから上の池Aにポンプで水を送るというもので、
ほんで電気が必要な時になったらAからBに水を流して発電するってやつなんですけど、この地形の条件がなかなか厳しくて、そんな都合よく池が二つもあるかい ってことで、導入コストがむちゃくちゃ高いのですが、今のところ これが一番実用的な大容量の電力保存システムです。
っていうことを踏まえて現在、地理的な条件に関係なく導入できる位置エネルギー保存システムが開発されている真っ最中だそうで、スイスの会社ではクレーンとブロックでできたタワーを作ってて、余った電気でクレーンを動かしてブロックをどんどこ積み上げておいて、
発電するときは逆の手順でブロックを下ろして、その重さでモーターを回すってやつで、揚水発電の水をブロックに置き換えたわけですね。ブロックは一つ35トンだそうです。てことは実物はめちゃくちゃでかいでしょうね。ブロックごとだから細かい調整ができる上に、運用コストも低いので そのうち日本のどこかで見れるかもしれません。いやーこんなのあったら見に行きたいですよね。
イギリスの方はもっとダイナミックなやり方で、深さ1キロの穴に500〜5000トンのバームクーヘンみてえなやつを落とすってやり方で、原理は上のタワーと同じですけど、こちらは一気に大量の電力を取り出せるから それぞれで一長一短がありますね。ちなみに穴は廃坑などを利用するそうです。
あとビルの非常用電力としての計画もあるそうです。ビルの下に1キロも穴が空いてたら怖いけどなあ。
深さ1キロというのはスケールがデカくて好きなのですが、外から見てもわかんないからタワーの方ができてくれたら なんかSFチックで素敵ですよね。いずれも新しいエネルギー保存システムとして大変注目されているみたいです。
ちなみに私が今日一番注目したのは 夜間外出禁止令が出されているカナダにおいて、カナダ人の女性が 男性に首輪とリードをつけて散歩していて、呼び止めた警官に対して「これは犬です」と言って罰金を逃れようとしたってやつで(近所の犬の散歩は許可されていたため)、これは大変にいいニュースですよね。心が癒されますね。
高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目
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