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はなときず 感想 (温度差グッピー死注意)



「君は俺にとって花だった」



観て言葉にするなら、一人一人の声でこのセリフを言わせたくなるような、そんな話だった。
誰もが誰かを愛し、誰かの為にと思い詰めた結果の悲劇。

泣けたのは最後の二人。
探して探して、やっと見つけた相手と視線が絡み、微笑みあった瞬間のあの表情だけが救いだった。
残された梗丞、春彦、深月、双樹、葉には、深すぎる傷を残して3人は去った。せめて願わくばあとに残された人たちに救いがありますようよう、そう祈りたくなるような切ない物語。


霧矢創という男。
この物語において中心にいながら人となりの読めない男である。まるでブラックホールのごとくに周囲の情を引き寄せるにも関わらず、この男自身は水のよう。ただ自然に流されているだけに見えてしまう。
大切な人を守るために傷を負う。殺人の罪を代わって負って12年も拘留される。施設に育ち、暴力団に籍を置くこの男の無私とも思える自己犠牲はいったい何なのか。
描かれていないからこそ、そこが引っ掛かってしかたがない。それこそがこの物語を描いた側の狙いですらあるかのようだ。なぜなら「見て」しまうから。この「写真集」の中で霧矢の姿を探るように眼差しの先を追ってしまうから。
写真の霧矢はその場に確かに「在る」。
おそらくは憐次朗への思慕も、壱華への舎弟愛も、深月への情も、きちんと湛えて凛とただその場に「居る」。
その場、その場で自分の感情にまっすぐに向き合うしかできなかった、不器用なまま出来る限り誠実であろうとした男。
彼にとっての憐次朗とはいったいどんな存在だったんだろう。唯一無二と信じて、約束のために自ら命を絶つほどの重い存在であったのだろうとは、想像するしかできない。
施設に育ち両親を知らないと彼は語った。高校で二人は出会い「仲が良かった」と記憶のない霧矢は憐次朗から聞かされる。華道の家に、学友とはいえ強面の施設育ちの霧矢が出入りしていたのも不思議だが、二人の姿が写真にも残っている。第三者が二人を写真におさめていた。周囲に認められるほど彼らは親密だったということだろう。


ここで浅香憐次朗という青年に想像を巡らせてみよう。
麗人、と言われるにふさわしい美貌。華道家の家元に生まれ、跡継ぎとして逃れようのない道を敷かれている。繊細で虚弱体質に見える彼は、その繊細さ故に花に対して十分過ぎるほどの才能を開花させたのだろう。十代で既に作品を世に認められ、祝賀会に飾る花の依頼を受ける程に。どんな事情でかはわからないが、霧矢と同じ高校、近い住所に転入してきたときには、彼はもう「彼」だっただろう。美女と見紛うほどの美しさ、穏やかさ、たおやかな所作。花に対する輝かしい才能を持った若者であったろう。そんな彼は自身と正反対の個性に出会う。彼の縛られる家もなく、天涯孤独でしがらみを持たず、人の嫌な面を見続けて来たからこその潔癖さ、育ちからは意外なほどの純粋さを持つ、真っ白な花のような青年。自分の腹違いの兄よりも強く、助けたことすら当然として振る舞い何の見返りも求めない。彼の周囲にそんな人間は初めて見たのではなかろうか。


そして、同じく霧矢創にとって浅香憐次朗は未知の存在だっただろう。
性別も超越した「浮世離れした存在」とでも言おうか。10代の女子達は恋や身体の成長や進路に悩む生々しい存在だ。ともすれば彼女たちは男以上に荒々しい。では男子は?霧矢と同い年の同性には未知などない。クラスメイトは多少の差はあれ自分と同じか、同じでなくとも想像の範囲での誤差しかない。

そんな霧矢の視界の中で憐次朗は明らかに「異質」だっただろう。
華道家として既に知られ未来は確定していて悩みを持つ余地もなく、女子のように性欲を掻き立てるような生々しい肉体もない。花に生き、花に悩む、同性というにはあまりに美しい憐次朗。
二人でムクの散歩をしているような高校生二人が関係を変化させたのは、憐次前からのアプローチだった。その事から憐次朗は男性相手の経験があったのではないかと邪推する。想定される相手はパトロンか。金絡みの相手では憐次朗には断れまい。受け身で仕方なく経験した性愛だったならそれまでの憐次朗は触れられても反応しない人形のようだったろう。恋をして人形は目覚める。憐次朗にとって霧矢は恐らく初恋の相手だ。霧矢がそうだったかはわからないが、憐次朗は最初から霧矢に恋をしていただろうと思う。

「ムクが死んだ」から「そばに居て欲しい」。

その日、二人は一線を越えたのではなかろうか。霧矢は乞われるままに導かれて腕に抱いた憐次朗に「ずっとそばにいる」と約束したのではないだろうか?
そして、その日は嵐山穣太郎の祝賀会だった。
地元に越してきた、息子と然程年齢の変わらない「話題の華道家」に花を依頼してみよう、とヤクザの組長が思っても不思議ではない。仮に穣太郎が元々バイセクシュアル(子供がいるならそうだろう)だとして、憐次朗を見たらどうだろうか。若く美しく、恋が叶い喜びを知った後の輝くような笑顔。瑞々しい才気溢れる美貌が容易く手折ることができる距離にある。祝賀会は恐らく組関係者で傘下の男ばかり。主役が少しばかり羽目をはずしたとしても文句の出ようはずもない。
結果。
「ずっとそばにいる」はずの霧矢の目が離れた隙に憐次朗は穣太郎に襲われた。
未遂であったのか暴行されたかまでは定かではないが、霧矢の攻撃の激烈さ、更にその後の憐次朗の精神不安定から考えると最悪の想定も有り得たのではなかろうか。
結局、霧矢は額に傷を負い記憶を失い、憐次朗は一人取り残されて恋人の失踪と暴行のトラウマに苦しむことになる。


ここでさらに一人。
雪村深月。霧矢に恋していた年下の幼馴染みである。
天涯孤独の霧矢を家族のようなもの、という深月。僧侶だというがその僧侶らしくない立ち居振舞いと、霧矢と「幼馴染み」だという関係から深月も孤児院出身なのではと想像した。腕力で勝てない苛めを受けていた時に霧矢に助けられて恋に落ちるというのは非常に自然に思える成り行きである。その後地元の寺院に養子縁組が決まり僧侶になる事が決定されても霧矢と離れた土地に行くのでないなら彼は受け入れる気がする。
決して元々男性が好きだという嗜好ではなかったと思う。が、そうならざるを得ないようなトラウマがありそうな、そんな影を感じる人である。斜に構えた憂いを湛えながら、霧矢に対してだけは素直で可愛らしい笑顔を向ける深月。憐次朗が霧矢の前に現れたとき、彼らが惹かれ合って霧矢が自分から離れても最初は黙っていた。「霧矢が求めるのは自分であるべきではない」とその時は思っていたのではないか。深月が過去に性的虐待を受けた被害者だとしたら「自分は霧矢には相応しくない」と考えるのではないか。それでも恋心は募り、嫉妬は募る。いつしか憐次朗をなぞるように花を好み、たおやかに振る舞うようになった深月が記憶のなくなった霧矢の前で「俺を守ったんだ!」と口走ったところでなんの不思議があるだろう。
紛い物であることを自ら知りつつも、後戻りも出来ない。嘘の上に作られた砂上の楼閣がいつ崩れるのだろうと不安をかかえながらも、霧矢と共にいたい。故に嘘をつき続けなければならない。
憐次朗が性別を越えた何か、だとしたら、深月は女性的な人であったと思う。業が深い。
そんな深月だからこそ、12年を待つ間に春彦と関係を持ち、春彦からせしめた毒を使い恋人を守ろうとした。
春彦は驚いたのではないだろうか。想い人と似もつかぬ個性が、想い人に見紛うほどにその佇まいを似せていたのだから。だからこそ、深月と春彦は手を取り合った。深月にとっては憐次朗のモノを奪い、憐次朗になり変わることが出来た瞬間であり、春彦にとっては汚せぬ偶像の代役と成りうる唯一の存在だった。彼らは成るべくしてそうなったのだ。不実で不倫であろうとも、それは深月のなかでは矛盾しない。何故なら最初から、この恋は真実ではないのだから。深月の気持ちがどんなに真摯であったとしても、霧矢の気持ちがどんなに誠実であったとしても。彼は微笑む。

「どうせ鍋の底で忘れ去られた存在だよ」
「でも待たされた分、宝石のように綺麗です」

宝石のように、じゃなくて宝石になりたかったんだよ、という声が聞こえた気がした。


今一人、命を落とした男がいる。
御影壱華。
壱の字。華の字。
華道家の父は彼を跡継ぎに望んでいたことだろう。長男として名前を与えていたことがそれを物語る。それが叶わなかったのは憐次朗と梗丞の母が許さなかったのだろう。次男である憐次朗は見た目も花のように麗しく、華道家としての才能もあった。壱華は家に迎えられなかったことを恨み、弟の立場を、才能を、容姿を羨んだことだろう。それと同時に華道に関しては彼にかなわない事を自覚しており、弟が成功していることを誇り喜んでいたのかもしれない。高校生である弟に絡みにいき、霧矢に諫められ、霧矢から憐次朗の様子を聞いて初めて弟への情が沸いたかもしれない。そしてそれをもたらしてくれた霧矢を慕った。霧矢が憐次朗を守り傷を負ったこと、記憶を失ったこと、さらにその数年後に、憐次朗を歯牙にかけていたケダモノを殺した罪すら身代わりになってくれたこと。それらを全て償い、尽くそうとした。妻を捨て、わが子を捨て、恩ある男に居場所を作って待った。霧矢を殺そうとする男が霧矢と自分を間違えているなら、霧矢として身代わりになろうとするほどに。霧矢が望まないにかかわらず全てをかけて尽くそうとした。
その動機は恩返しだけだろうか。壱華もまた、憐次朗と同じく霧矢に魅せられていたのだろう。抱かれたいと思うことはなかったとしても、だからこその強い感情ですべてをささげようと誓うほどに霧矢に惚れ込んでいた。
何故そこまで惚れ込んだのか。そこまでは描かれていない。壱華と創、二人の物語が欲しい。恋でも愛でも血でもない。義兄弟の絆の物語があるはずなのだ。
…実の弟に殺された壱華は、霧矢に殉じて満足だったのだろうか。


記憶を失った霧矢を憐次朗に会わせなかったのは誰だったのだろう。私は穣太郎だと思っている。それもおそらく深月を利用していたのではと考えた。
二つの疑問がある。

一、霧矢が額に傷を負う原因になった組長の組に入るだろうか?

二、記憶が無かったとはいえ、高校に復学すれば憐次朗と再会したはず。何故しなかったのか。

自分に傷を負わせた高校生を組長が放置するとは思えない。どうなったのか調べ、双樹が手配した医者の場所をつきとめるだろう。そこでぴったりと霧矢に付き添う深月が憐次朗に雰囲気が似ていること、深月が霧矢に惚れていること、霧矢(と、もしかしたら深月も)が孤児院にいたことなど穣太郎にはすぐに情報が入ったのではないだろうか。その上で穣太郎が深月に接触したとしたらどうだろう。

「記憶がない?そうか…。お前はコイツに二度と浅香憐次朗を思い出させるな。憐次朗はいずれ絶対に俺のものにする。お前はその男をモノにしろ。欲しいのなら色仕掛けでも脅しでもなんでもやれ。うまくいかなけりゃ孤児院の援助は打ち切りだ。うまくやれよ。記憶がないなら霧矢はうちの組で使う。なぁに殺しやしねえ、心配するな。目の届かないところでこんなヤバイ奴に対抗勢力に入られたりしても厄介だからな。高校?どうせ忘れてる。行かせる必要もねぇ。お前だってコイツを浅香の二代目に二度と会わせたくないだろうが?」

深月が穣太郎に無理矢理抱かれ脅されていたとしても不思議とは思わない。
霧矢の不自然な組への参入、憐次朗との関係の隔絶はこの二人が行った工作ではないかとずっと思っていた。霧矢が穣太郎を殺して拘留されたと聞いたとき、穣太郎から解放された深月はさらに霧矢への愛情を深めたことだろう。…もし、私の妄想したような裏話があれば、だが。


浅香梗丞。憐次朗の弟、
高校時代の霧矢のことはほとんど覚えてはいないが家に来るのを嫌がっていたということからも、幼い弟は霧矢に兄を取られると思っていたのだろうか。
祝賀会の事件のときにはわずか9歳。兄を守ろうにも幼く、兄の身に何が起きたかを理解することも難しい。だが近く生活していて憐次朗の12年間の苦悩を間近で見ていたのは彼だけだ。なんでも出来て美しくて才能に溢れていた兄が、泣き崩れ、制止しても聞かずに霧矢を探そうと狂乱したのなら、霧矢を恨むのは当然に思える。
兄を守ろうとボクシングを始め強くなっても、過去に戻ることはできない。守れなかった兄は不安定なままだ。ボクシングを通じて知り合った双樹は家業とも付き合いの深いヤクザの息子だった。
双樹が堅気になって家業から離れようとしたことは、家と兄に縛られた梗丞にはきっと共感できたことだろう。羨ましかったかもしれない。
特殊な家業、金としがらみと重い事情を抱えた家族。自由になりたいと望みながらも助けたい、逃れたい、その鬱屈を拳を振るうことで晴らそうとした。梗丞と双樹は最もわかりあえた同士だった。

梗丞にとって、憐次朗と霧矢の関係がどんなものだったかは未知だったはずだ。霧矢とは兄の過去の綻び。兄は落ち着いてきたとはいえ、ずっと霧矢、霧矢、霧矢、あの男さえ存在しなければ、兄は、家はこんなことにはなっていない。奴が元凶だ。奴のせいで兄は、俺は、どれだけ苦しんだと思う。そんな感情がひしひしと伝わってきた。
そうであるのに出所してきた霧矢創は、出てきたその日に兄に会いに来た。…梗丞の中で霧矢の行動はそのように見えたのではないだろうか。
深月というものがありながら、ようやく落ち着いてくれた精神を病んだ兄を再び乱そうとする男。彼にとって9歳を境に人生は明と暗にわかれ、その原因は「霧矢創」というヤクザ一人が原因だった。脅し、懲らしめて追い払おうとした。だが、逆に追い詰められ危機を感じて相手を殺してしまうほどに、梗丞にとって「霧矢創」という存在は…彼と兄の不幸な人生の元凶だった。実際に殺した相手は実兄、壱華だったのだが。
事件のあと、精神を病み、二人の兄と霧矢の死の記憶と己の罪に苦しんだ彼に牧野葉の「赦し」は、はたして救いになったのだろうか?


嵐山双樹。
料理屋の主になったヤクザの跡取り。
ここに深月が出入りしていた理由が、深月が嵐山穣太郎と関係があったとすれば頷ける。
双樹と梗丞は互いの家のことは立ち入って話さなかっただろう。忘れていたいからこそボクシングを始め、そこで出会った二人だからこそ、そうだと知っても深くは聞かず、触れず、距離を保っていたからこその穏やかな友情だっただろう。
霧矢の出所によって、双樹と梗丞は自分の背負っている「家」を自覚させられてしまった。因縁がありすぎる両家の末席同士の二人。

物語の中に「嵐山双樹個人」 はあまり詳しく描かれてはいない。だがおそらく穣太郎より、壱華より、霧矢よりもはるかに器の大きな人間だったのではないだろうか。まだ十代であったにも関わらず、霧矢の額の傷がついた事件での判断と采配も見事だった。その後、料理屋を開いて堅気になったと言ってさえ、周囲が震え上がるというのは尋常ではなかろう。彼は壱華を赦し、梗丞に報復もせず、深月を責める事もしなかったのだ。華創会3代目、牧野葉に真実を導き4代目を襲名させる彼こそが、真実、器の大きさを感じさせる男であった。霧矢と似ていたかもしれない。人のために動ける男である。


芽吹春彦。
人畜無害そうでいながらしっかりと毒を持っていた…というより、朱に交われば赤くなる。毒に交わり毒になってしまったような、そんな男。

彼が浅香憐次朗の助手になったのはいつ頃のことなのだろう。
霧矢創が拘留された後であるのは間違いない。憐次朗に憧れ、憐次朗を至上とし、憐次朗を抱く代わりに深月を抱いた男。
誘ったのは深月だろう。双樹の店で酔った深月が、春彦が憐次朗の助手だと知り誘う。
その流れが一番しっくりくる。
深月は、憐次朗が不安定だと店で聞かされたかもしれない。だからこそ、支えとなっている春彦を奪おうとしたかもしれない。憐次朗に恋する男を自分のものにすることでまがい物から本物になり替わる夢を現実にしようと願をかけたのかもしれない。霧矢が居ない寂しさを誰でもいいから埋めようとしたかもしれない。この男はその深月の誘いに乗ったのだ。どのような理由があったとしても。

「死にたいのならこの毒を使ってください。これは死んだ気持ちになれる薬。これで死んで、生き返って、そのあとは…」

そう憐次朗に語った男であったはずなのに。
憐次朗を裏切っていたとまでは思わない。憐次朗は霧矢しか見ていなかったのだから。
報われぬ恋の傷を抱えるもの同士が「霧矢が出所するまで」という期限付きで寄り添っていたのだとしたら、それはそれで悲しい関係だったと思う。結果、憐次朗を生かすための毒は彼を永遠に帰らぬ人とした。
それも憐次朗は「春彦にだけわかる方法」で「すべてを知ったことを示した生花」を残して死んだのだ。
霧矢が深月に残した「お前のせいで…」という言葉といい、憐次朗が春彦に残した生花といい、呪いレベルの重さなのは似た者同士だなと思う。
春彦こそ、梗丞のように病んでおかしくはなかった。春彦と深月が持ちこたえたのは、罪と呪いを同じく背負う相手、深月が側にいたからかもしれない。


牧野葉。
御影壱華の息子であり、嵐山双樹に育てられた子であり、華創会4代目になる男である。

「浅香憐次朗の死の真相が知りたい」と最初に語ったのは真実だったのだろうか?とっちらかった生花、二度死んだ華道家に興味を持つ動機は見えなかったのだが。逆に父、御影壱華のことを知りたいのならまだわかる。嵐山双樹からは語ってもらえず、芽吹春彦から始め、ビデオ、そして雪村深月、浅香梗丞へと、彼は真実を辿っていく。彼の父が何故死んだのかを知り、浅香憐次朗と霧矢創の悲劇を知り、梗丞、深月、春彦の秘密を白日の下に明らかにしていく。
嵐山双樹が育てた子もまた龍の子だった。
まだ若くても彼は「組」を背負うために、自らを納得させるために過去へ旅した。

そこで梗丞に「許す」と伝えたのは…やはり彼は双樹の精神を受け継いだ子なのだ。怒りを飲み込み、理不尽を飲み込んで、集団の長として生きる道を選ぶ。おそらくは悲劇を繰り返さない、そのために。
悲劇の果てに長い時間を苦しみ抜いたひとがいたのなら、葉は許すのだろう。
それは「長としての慈愛」なのかもしれない。


刃と哀しみの連鎖で紡がれた物語ではあったけれど、創と憐次朗が友情を深めていたその時間が一番に心に迫る。高校時代の二人が純粋に惹かれあい、二人で居るときだけは無邪気に立場も忘れて笑顔でいたのなら、時の経つことさえ望まぬほどの幸せな時間を二人がそうと自覚すらなく過ごしていたのなら。
そうであったからこそ、霧矢創は浅香憐次朗に殉ずる道を躊躇うことなく選んだのだ。

「ずっとそばにいる」
大切な人との約束を果たす、そのためだけに。

やはりこの花器に生けられた花の中で、霧矢創が一番、罪深いほどに無垢で激しく美しい。


────────────────────────



あーーーーーーーーーーーーーーー!!

疲れた!!こんな文章に付き合って下さるなんて酔狂ですね!大丈夫ですか?はい、水飲んで!!

温度差ギャップで風邪引かせるのが大好きなので、そのまま続けますけど、こっからぶっちゃけですのでね。覚悟してくださいね。

イメージ崩したくないならここでそっと閉じてください。警告しましたよ。いいですね。










じゃーいってみよう。

この度、BLヤクザ華道ロミジュリ「はなときず」を滅茶苦茶楽しませて頂きました。企画制作演出出演されました全てのスタッフキャスト様に五体投地して御礼申し上げます。

なんせ!!推しが!!史上最高の作画のの良さ!!最高!すき!ヤクザ!大好物です!(おちつけ)

色々、言いたいことが喉元までせり上がってきてますので、鵜飼の鵜みたいに1匹ずつ吐き出していこうと思います。
( ゚д゚)、カッ🐟


いや、事前に告知があって、写真や役名が公開されてドキドキワクワク、絶対好きじゃん、大好きじゃんワクワク!ってなってるとこに、イベントがありました。

え?なんすか?え?

『美人だと思ったら面白おじさんじゃーーーーーん!!!!』

という絶叫から入りました。すみません。霜月紫様のボケが果てしなさ過ぎて本当にあれで良かったんですか。可愛かったー。タイムキープ出来なさすぎてやきもきしたー。渡邊さんがまさか仕切ってくるとは思わなかったー。ってか、あの人が自ら「しゃーないやらねば」って出てくるの見るの、深大寺以来ーーーー!(ご本人しかわからんネタはやめなさい)

で!す!が!

セリフ読みになった途端「うわ!やべぇ!」ってなりました。プロだ。超上手い。超声良い。凄い!さっきまでの人どこ行った??

「これは本編楽しみ過ぎるな」とガッツポーズをして帰りました。会場のお花も素晴らしく綺麗で。あの設営、何時間かかったんだろう。花も照明もパネルも滅茶苦茶綺麗でした。ありがとうございます。



さて本編。

ストーリーの素晴らしさについては「◯が如く」と世界一の名作悲恋をベースだというのはわかります。

が、「現代」「登場人物は男性のみ」「極道」「華道」という、オリジナルのエッセンスと謎解き要素から、かなりのめり込むように見てました。


気になった「自決方法」。
憐次朗さんには申し訳ない。和服でその帯してたらドスは刺さらないぞ。絹は滑るし。で、腹突いただけだと死ぬまでにかなりかかるから、失血死する前に救急車呼ばれちゃうぞ。死ぬなら喉を突け喉を。

霧矢さんは極道だから腹3回も刺してましたね、以下同文。切腹だって介錯するのに…よく死ねたな?壱華さんは脳震盪、脳挫傷ですね。良かったです。(良かったです…とは?)

そんなこんなで「なんで腹?!」ってなってて、途中結構気にしてしまいました。いや、アレ、絶対死ねねーし!!ってなってしまいました。すみませんすみません。

ツボったのは春彦おじちゃんが笑わせて来るところですね。じわる。おじいちゃんなの?ねぇ!イケメンなのに!

葉くんが良い子。とても良い子。おばちゃんお小遣いあげたい。かわいい。

深月さんと双樹さん相手にカウンターで飲みたい。
双樹さんと酒談義したい、深月ちゃんの恋愛相談とかしたい。なんならタロット占いしてあげたい。梗丞くんはなんか酒より街カフェめぐりしたい。ホント申し訳ない印象だけど梗丞くん、酒癖悪そう。

壱華さん、これは本当に言っちゃいけない事だけど言っちゃうね。元凶おまえやんけ?

なんで!!弟に!!にいちゃんだって!!言わないのよ!!!もう!ダメな子ね!!
霧矢も憐ちゃんも、君が死んで喜ぶとでも思ってたんかーーー!!自己陶酔もええ加減にせぇやぁーーーー!!

一番、心臓が痛かったのは梗丞さん。松田さんの演技上手すぎてヤバイ。ぞくぞくした。終始、どっか切れそうな物騒な気配があって、憐次朗さんと穏やかに話してても「コイツなんかある…」って思わされてた。髪の毛ほどいて荒んだ感じになったときの目付きやばぁ!!スゴかったです。好き!!

憐次朗さんは綺麗で綺麗で綺麗。

姫。マジ、かぐや姫。天女様。竜宮城のお姫様。いや、橋姫様かもなぁ。周囲がエラいことになってく感じからして、女神でもあり鬼女でもあり、かなぁ。(中身が面白おじさんなのを思い出さないようにがんばってました)

霧矢さん。

やーーーー。好き。見た目が最強に私好み。
推しが尊い。顔が良い、すごく良い。

演技については霧矢だなぁ。ほんと、霧矢だなぁー!って思わされてしまったので、もうダメです。降参します。語彙力などない。

強いて言うなら、えっちさの片鱗もなくてですね。聖人君子なのか、そうか。写真に滲んでた色気はアレですか。解釈違いでしたか。そうですか、すみません。妄想して我慢します、ごめんなさい。

深月ちゃんとも憐次朗くんともそういうことしてたんでしょ?え?してないの?淡白かよ?え?なのに死ぬの?ほんとに?なんで?マジで?やだー!ってなりました。

背中の彫り物は龍だそうですね!和彫りで検索しちゃいました。額ナシ背中で60万から100万くらいだそうです。18才で組入って、22才でムショ入ってますよね。4年で墨入れたのいつだろー?結構時間も金もかかるから、ハタチ過ぎくらい?霧矢さん、ガチでヤクザで出世する気満々じゃん?なのに壱華ちゃんの為に12年も棒に振ったの?

いいひとかよぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

ヤクザの癖に、焼きそばパン食べて可愛いし、シガーキスしちゃうし、壱華ちゃんときゃっきゃしてるし、このヤロー超可愛い。

個人的には、霜月さんのUPしたネタ写が滅茶苦茶ツボでして…。霧矢さん滅茶苦茶シリアスだからコメディな部分も見たいなー。あと、憐次朗さんとラブラブなとこも深月ちゃんとラブラブなとこも見たいなー!
あ、続編?続編ですね!!
スピンオフ?!待ってます!!!!
っていうか写真集の撮れ高、アレだけのはずないですよね?!?ちょっとそこで飛んでみなさい。チャリンチャリンいってますよ!!出して良いですよ出しなさいほら早く!!!!


はぁ。

ガツガツ書いてきましたがさすがに常軌を逸し過ぎててちょっと痛い。
このへんで締めさせて頂きます。
本当にここまでハマり込める作品を作ってくださりありがとうございました。まだ、まだ、可能性がたくさんあると信じてお待ちしております。
お花の美しさも、俳優さんの輝くところももっと観たいです!
こんなひどい文章をお付き合い頂きありがとうございました。ここまで書き終えて今とても幸せです。



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