見出し画像

「私の物語」より、今日の一句㉓

こんにちは。
この投稿も、残り4日となりました。いまだに、バッジを獲得とか、マガジンの設定とか、よくわからないまま続けています。

さて、今日の一句

秋時雨返さぬままの男傘

句に合わせた左時枝さんの絵はバンクシアです。

一昨日の投稿で、処女句集「妬心」が出たあたりのことを書きました。書いていたら、いろいろ思い出したことがありました。
この句集は角川書店から出ています。当時の「俳句」の編集長はAさん。風貌も独特で、たいへん個性的な方でした。それでもどこか合うところがあったのか、編集長時代に小説の連載などもさせていただきました。

やがて編集長が交替し、Aさんは会社を辞め、別の俳句雑誌に移りました。
移ってからも、Aさんは私に俳句の依頼を送り続けてくれました。でも、私は俳句でなく、小説を書きたいと思っていた。最初のうちは依頼にこたえていたのですが、そのうちに重荷に感じるようになり、諾否のハガキすら返さなくなりました。それでもAさんは依頼を出すことをやめませんでした。
いつしかそれが途切れ、そうして届いたAさんの訃報。まだ66歳でした。

俳句というと、最期まで依頼を送り続けてくれたAさんのことが浮かびます。返事すら出さなかった、若い日のわたしとともに・・

来週8日(日)まで、神保町のギャラリー&カフェバー「クラインブルー」で俳句の展示をしています。よろしければ、どうぞ。