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Kindleで本を出してみました

以前同人誌で出した本を編集したKindleで出したのでその報告。


もともと同人誌で出していた

『日高本線 車なし全駅巡り』という同人誌を11月に出しました。日高本線の全駅巡りしたときの芸人記録ですね。

これはこれでフォロワーさん中心に買っていただいて誠にありがたいのですが、購入していただいた層を人を見ていると、どうもフォロワー以外にあまり刺さっていないように思えたのです。

同人誌の抱える問題

この本A4・192Pのフルカラー印刷ですが、このクラスのフルカラー印刷はかなり大変です。印刷代もありますし、通販だとなかなか買ってもらいづらいというのも現実としてはあります。フォロワー中心だと「イベントで会うついでに買いたい」というプレミアムが予想以上に大きくて、通販に並べておいてもあんまり買ってもらえないなーというのはあったのです(個人的には通販で買ってイベントで冷やかしでくるでも全然いいんですが)

そう考えていくと、紙の同人誌はどうもイベントで合わせて刷ったほうがいいという時期的な制約が出てくるんですよね。「好きなタイミングで書いて、好きなタイミングでリリースできたらいいよな」と自分的には思っていたのですが、実は「イベント合わせで作らないといけない」という部分がネックになっていたりします。

同人誌を全部否定するつもりは毛頭もないですし、これからもとりあえずは作るつもりですが、そうはいっても印刷代がかかるからなんか別の方法を考えようと思ったのです。そこで出てきたのがKindleです。

Kindle出版の目的

自分の中でのKindle出版の目的は2つあります。1つ目はフォロワー外に訴求すること、2つ目は紙の本の印刷代の足しにすることです。

1つ目はKindleは天下のGAFAなので、同人よりも全然分母が大きいはずです。なので、フォロワー外でもある程度は見込めるのではないかという打算的な見込みがあります。

2つ目は、Kindleってそこまで儲かるものではないのですが、理想論を言えば例えばKindleで印刷代の1/3~1/2ぐらいカバーできればいいかなというのがあったりします(あくまで理想なので、実際はこんなにカバーできない)。これがあると、印刷代の回収時期を早められるんですよね。最終的に完売するとしても、1/3をKindleでカバーできていれば、印刷代の回収に必要な期間を2/3に短縮できます。もし回収が早くなっていけば、同人誌版の価格を原価ギリギリにして単価を下げるということも可能です。なので、Kindleと同人誌は自分の中では対立構造というよりも、共存・補完関係という位置づけです。

同人誌版からKindle版への変更点

同人誌版からKindle版には変更点いくつかあります。1つ目は同人誌版であったキャラの要素をすべて除外したこと、2つ目は分冊にしたこと、3つ目はレイアウトをA4→A6に変えたこと、4つ目はタイトルや表紙の変更です。

1. キャラの要素を外したこと

キャラを消したのは、主に手間を減らす意味が大きいです。キャラは3Dモデルで作っているのですが、その作成も手間かかりますし、キャラの挿入もある程度の工数が必要です。Kindle版のメリットとは「好きなときにさっと書いてさっと出せる」だと思っているので、さっと書けるの妨げとなるような要素は理想論的には外したいのです。「理想論で、キャラなくてそこそこ売れるのならKindleはむしろそれでいいよね。だからまずは理想論ベースで作ろう」という考えがあります。

2. 分冊

分冊は容量的な問題で、Kindleの電子書籍が650MB上限です。日本のKindleでは、10MB以上は配信コストが0になるという超優遇特例があるので、「ファイルサイズを大きくして画質で殴ったほうがいいよな」という仮説が自分の中であります。Kindleの公式ドキュメント読んでると「画質上げてください」って実は書いてあるんですよね。Kindleの商業漫画あたりを観察していたら、50~200MBとかいうかなり大きめのファイルサイズだったので、おそらくこの仮説はある程度意味があるのではないかと思います。

ただファイルサイズをあまりに大きくすると、「読み放題でもDLが終わらないから読むのやめた」という離脱率が上がっていくと思われるのでほどほどにという形にしました。結果的に大半の画像をFull HD以上にしたら、1冊300~360MBになってしまったので、スマホだとある程度離脱出るかもしれませんね。そこは今後の課題でしょう。分冊にすると1冊目の値段を抑えるみたいな戦略も取れますし、分割しちゃえば1冊あたりの値段が安く見えるだろう、というゲスい発想もなきにしもあらずという感じですね。

3. レイアウト変更

レイアウトをA6(文庫サイズ)にしたものスマホ想定です。明確なデータは確認していませんが、多分ユーザーの大半がスマホだと思います。

4. タイトルと表紙の変更

タイトルを長くしました。なろうでタイトルを長くするとクリックの当たり判定が大きくなって有利というのを目にしたので、それを参考にしました。同人誌版の表紙もおしゃれだったのですが、「フォロワー外にはあまり刺さっていないな」という印象があったのです。むしろ「マニアはこういうのに飛びつくだろう」という写真を入れたほうが、クリック率などのコンバージョンは良くなるのではないか? と思いました。あとはAmazonのサムネイル対策でやたらタイトルフォントを大きくした(視認性を上げた)などがあります。

結局紙の本(同人誌)とKindleどっちが売れると嬉しいの?

綺麗事を言えばどっちも売れると嬉しいのですが、選ぶとするのなら紙の本(同人誌版)のほうが売れると嬉しいです。特にBoothやイベント、とらやメロンのような委託書店で売れると嬉しいです。

自分の場合、同人誌版はだいたいどの販売方法でも手元に入る金額は同じになるように価格設定しています。イベントを除くと、Boothが一番手取りが多くて、1600円の紙の本に対して1450円以上手取りになります。

一方でKindleの場合ですが、3巻合計で1280円に対し、消費税分を除外して7掛けした800円強が手取りになります(ただし、これは電子版でKindleの専売契約を結ぶ場合です。これをしないとさらに手取りが半分になります)。この設定では、同人誌版が売れたほうが嬉しいということになるのです。

ただし、Kindleの場合1個だけ別に嬉しいことがあります。それはKindle Unlimited契約して無料で読める場合に、本に課金していないのに全ページ読むと別途作者に入るというシステムがあるのです。このレートは変わるのですが、見込みとしては1人の1~3巻読むとスタバのコーヒー分ぐらいは手取りになるので、もしKindle Unlimitedを契約している場合は、全ページ読んでいただけると作者に還元されます。ただし、自分の本のためだけにUnlimitedを契約するのは本末転倒で、それをするぐらいなら同人誌版を購入するときにBoothでBoost(追加投げ銭)をしていただいたほうが取り分は多いです。なので、読んだページの話はあくまでUnlimitedを持っている方向けです。

結局のところKindleもまだまだ実験段階

あくまで自分の見込みは机上の空論ですので、これがどうなるのかは全くわかりません。Kindleが全く売れないというのもあるかもしれません。そこは「やってみないとよくわからない」という感じでしょうかね。

技術書のAmazon展開も今後の方針としては考えているので、「とりあえずやってみてデータ取りましょう」という段階です。

駅巡りのほうはKindleを先に出して、後からイベントあわせで紙の本を出すとかやるかもしれません。「編集コストをかけなく、一本のマスターの原稿から紙とKindleで異なる2種類のレイアウトをどう作るか」というシステム構成の問題に今まさに直面していたりします。

もちろんKindleでキャラを外したからといって、同人誌版のキャラがなくなるというわけではないので、そこは異なる要素という感じでそれはそれ、これはこれというふうに見えていたければ幸いです。

読んだらぜひ高レビューよろしくお願いします

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