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【メンバーインタビュー#2】卒業後の進路は閉鎖的。高専マガジン創立者が語る、「高専の枠を外して考える」重要性

高専マガジンメンバーインタビューでは、高専マガジンのメンバー同士でインタビューしていきます。
一体どんな人たちが高専マガジンで活動してるの?ということを少しでも伝えることができればなと思います!!

インタビュイー(語り手):大久保和樹(@kazuki_okb
インタビュアー(聞き手):成田琴美(@cotsu_over


高専4年春、それぞれの進路に向けて動き出す時期。
周囲が続々と将来を決めていく中、休学を決意した人がいました。高専マガジン共同代表、大久保和樹さんです。

彼はなぜ休学したのか?高専マガジンを立ち上げようと思ったきっかけは?そして、高専マガジンを通して、彼が目指す未来とは?

高専マガジンのことから、自分自身の過去と未来について、あらゆる疑問をぶつけてみました。


―高専マガジンの中で、現在大久保さんはどんなことをしていますか?

共同代表として、高専マガジン内外でのマネージメントを行っています。例えば、それぞれの記事の進捗チェックや、取材先と担当メンバーの決定などです。また、もう一人の代表である若林と、今後の方針を定期的に話し合い、メンバーに報告しています。他にも、高専に関する情報の中で僕自身が強く興味を持った場合は、インタビューやライティングにも参加しています。

写真5

高専マガジン共同代表の2人で、北海道のオホーツクへ合宿しに行った際の1枚。
一週間をかけ、「高専マガジンとは?」という根本的なところから考え直した。

―幅広くやっているんですね。そもそも、大久保さんは、どうして高専に興味を持ったのでしょうか?

中学生のときに頭のいい先輩が入学し、高専を知りました。もともと理系の大学に進学するつもりで高校を探していたので、高専はぴったりだと。あとは、実験をたくさんできておもしろそうだと思い、化学科への入学を決めました。

ーもともと実験や化学が好きだったんですか?

そうですね。中学校の理科の先生が、いつもおもしろい実験をさせてくれました。「授業で得た知識を使って、この実験を成功させて」というような。当時はとても難しかったのですが、協力して考え、こうすればいいんじゃないかと気づき、やってみたら成功して。このような成功体験を重ねていく中で、「実験ってたのしい!」と思うようになりました。


ー素敵な環境ですね!そのころの実験や化学への興味は、高専に入った後も変わらずにありましたか?

実はそうではなかったことに、最近気が付きました。僕が中学生のときに楽しかったのは、「知らないことに対してみんなで挑戦したり、答えを導くこと」。つまり、化学や実験という対象ではなく、その取り組み方が好きだったんです。
もちろん今でも実験や化学などが嫌いというわけではないのですが、もっとやりたい別のことができました。
最近、IT関係や企画の立ち上げも行うようになったのは、「みんなで考えて成し遂げる」という化学と同様の取り組みを短いスパンでできるという理由からかもしれません。

ー確かに、高専マガジンもみんなで作り上げるという側面がありますね!
他にも、高専にいて気づいたことがあれば教えてください。

自由でおもしろい人が多いところが高専の良さだと考えています。変わったことをする人が多い。そして、それを認める雰囲気が周りにあるんです。
また、4年間クラス替えがなく同じクラスだったからこそ、そのようなおもしろい面を知れ、仲も深められたのかなと。

―逆に高専の良くないところはありましたか?

進路に関して閉鎖的なところですね。少し変わった進路を選んだ人に対して、まったく関心がなかったり、「なぜそちらを選ぶの?」といった疑問を持つ人が多いんです。「自由応募より推薦応募の方がいいでしょ」や、「進学するならやっぱり理系の工学部」といった決められた価値観などもあります。完全に悪いとは言いきれないですが、与えられた以外の進路を考えないことに違和感を感じたんです。

ーそのように違和感を抱き始めたのはいつでしたか?

4年生の6月です。春休み頃から、受験対策をしている人にあやかろうとしたのですが、まず進路が決まらずやる気が起こらなかった。
もともと、進みたい分野での就職が難しかったんです。高専の研究分野が物理系で、働く先が少ないから別のものを考えろと言われたりしました。
「コーヒーが好きだし、農学部でコーヒーの研究をしようか」、「いやいや、もう少し頑張って理学物理を極めるか」などと迷い、結論が出ませんでした。ですので、視野を広げてから進路を決めるために、休学して、海外留学をしようと決めました。それを周りに伝えたら、「それは遅いぞ」「今じゃなくていい」としか言われなかった。これが僕の違和感のきっかけでした。
多様性を認め合い自由にやれていたのに、異色な進路に関しては拒否感があるんだなと。

ー高専を休学しようと思ったときは、高専マガジンのことは考えていなかったんですね。そこからどうして、高専マガジンを立ち上げようと思ったのですか?

4年生の春休みに、あるライターの方のイベントに参加しました。それをきっかけに、文章を書いている団体に興味を持ち、なにかメディアを作りたいと考えました。世の中で高専生の立場はなかなか少ないと思い、「高専」を軸にインターネットで発信しました。それまで文章を書いて公開するなんてやったことがなかったので、ものすごく勇気が必要だったんですけど。それが続いて、「高専マガジン」という形になりました。その活動の中で、さまざまな人と出会い、多くの価値観を知ることができました。

―休学期間中は、留学にはいかれなかったんですね。

はい。最終的には、フラーという会社で約一年間インターンをすることになりました。これがとてもいい経験になりました。僕は、化学科に在籍しており、まったくプログラミングはできなかったのですが、お願いしてエンジニアとして働かせていただきました。その中で、リーダーの方に、開発の技術や仕事の進め方に加え、マネージメントも教えていただきました。ここでの知識が、現在高専マガジンで非常に役立っていると感じています。

―社会に出てみたことで、どんな変化がありましたか?

価値観は圧倒的に広がりましたね。フラーの先輩方の経験談や考え方を聞いたり、興味を持っているメディアに関するイベントで、さまざまな方に相談に乗ってもらいました。高専の中にいると、同世代の友達と遊ぶことが多く、全く出会いがありませんでした。しかし、休学すると、平日でも関東にいられるので、幅広い年代の方たちと話せるんです。学生の間に、長期的にフルタイムで働くことはとてもいい経験だなと思います。

ーそうだったんですね。高専マガジンが、高専生にとってどのような存在になればいいと思いますか?

「高専について調べるなら、高専マガジン」というように、なんでも調べられる存在を目指しています。理由は、多様な進路、他の高専について知ってほしいから。そして、高専の枠を外して考え、なにかに気づき、自分からアクションを起こしてほしい。
現状維持を目指すと、後退します。高校や大学が変化していく中で、高専は世界にもあまりないシステムで、外部からの刺激は期待できないと思います。ですので、当事者の高専生が変えていかないと。

ー「高専生が、高専生のためにアクションを起こす」素敵ですね。大久保さん自身は、どのような進路に進まれるのでしょうか?

僕は、今年(2020年度)から、経済工学科という、経済と工学を足し合わせたところにいくんですね。まったく新しい分野なので、学生として経済について正しく学び直したいです。そのあとも、フットワークを軽く、楽しいかつ刺激的なものをみんなとチャレンジしていきたいなと思っています。

ー現役高専生へのメッセージをお願いします!

自分の現在の成績とか学力よりも、自分の夢とか何がやりたいかを、高専の枠を外して考えてほしいです。「高専生だし、推薦就職できるところにしよう」「先輩がみんなこの大学いってるから、ここにしよう」よりも、自分がなにがやりたいか。その気持ちがあれば、工学以外の道だって選ぶことができると思います。逆に、高専生だからこそ、なにかできることがあるかもしれないという風にとらえて、自分の進路や人生について考えてみてください。

また、自分のやりたいことが見つかったら、ぜひ周りの人に言ったり、相談してみるといいですよ。自分が考えたことの本質は変わりませんが、いろんな人と話すことで考えがアップデートされます。僕はnoteなどで自分をさらけ出した途端に、おもしろい人が集まってきて、楽しくなりました。

ー大久保さんは、本当に多くのことを発信されてきたんですね!さらけ出すことに対しての、恥ずかしさや怖さはどのように乗り越えていけばいいのでしょうか?

実は僕も、発信することが苦手で、初めはとても緊張していました。発信をすればするほど、否定する人も多くなるんですね。でも、それを乗り超えて意見を言ってくれたり、肯定してアドバイスをくれる人は必ずいます。そんな先輩や後輩、仲間をぜひ見つけてください。

ー「高専の枠を外して、自分のやりたいことに向き合う」そんな大久保さんの前向きな姿勢を、取り入れていきたいです。ありがとうございました!


高専5年次に休学。さまざまな世界と触れることで、視野を広げた大久保さん。その選択は周りからみたら、疑問でいっぱいのものだったかもしれません。それでも、その道を突き進み発信する中で、高専マガジンが誕生し、新たな仲間も増えました。

高専生は、安定的な進路を与えられることが多いといわれます。だからこそ、大久保さんのような「自分が何がやりたいか。その中で高専生だからこそ何ができるか。」という考え方は、非常に重要ではないでしょうか?私も、高専の枠を外して、やりたいことと向きあってみようと思います。

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執筆:成田琴美

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