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【高専人会理事からのメッセージ】「恩送り」で紡ぐ高専の未来

高専人会理事の横山和輝です。

高専を卒業してから5年。私、横山は今、株式会社プロッセルの代表取締役CEOとして、高専生たちの未来を支える新たな挑戦の只中にいます。長岡高専電子制御工学科での5年間、そして専攻科での2年間。この7年間で培った知識と経験、そして何よりも「高専魂」が、今の私を形作っています。

高専時代、あなたにもこんな経験はありませんでしたか? 全く知らない人と出会ったのに、「高専出身」という共通点を知った途端に、まるで旧知の仲のように打ち解けてしまう。この不思議な親近感。それこそが、高専が育んだ最大の財産なのです。

私自身、数え切れないほどのこうした出会いを経験してきました。東京の IT 企業で偶然出会った先輩、海外出張先で思いがけず遭遇した後輩。そして最も印象的だったのは、シリコンバレーのスタートアップイベントで出会った、まったく別の高専卒業生でした。言葉の壁を越えて奮闘する彼を見て思わず声をかけ、何か力になれないかと考えてその場でメンタリングを引き受けました。

私がプロッセルを立ち上げ、高専生支援に邁進してきた理由は明確です。かつて私が受けた数え切れない恩を、次の世代に「送る」こと。それが、高専の絆を未来へと繋ぐ唯一の道だと信じているからです。

起業の道を選んだ時、多くの人が「無謀だ」と言いました。しかし、高専の先輩たちは違いました。「やれるさ」「応援するよ」という温かい言葉とともに、具体的なアドバイスや、時には資金面でのサポートまでしてくれたのです。

中でも、ある先輩の言葉は今でも鮮明に覚えています。

「横山、俺に返すな。後輩を助けてやれ。」

この一言が、私の人生観を大きく変えました。直接恩を返すのではなく、次の世代へと恩を送る。この「恩送り」の概念こそ、プロッセルの根幹を成すものです。

和歌山高専や鈴鹿高専でのインキュベーション施設の運営。全国、そして海外にまで及ぶ高専生の就職支援。技術指導と有給インターンシップの提供。高専出身CXOの企業のM&Aや事業買収のサポート。これらはすべて、未来の高専生たちへの「恩送り」の形なのです。

プロッセルの事業を通じて、私は多くの高専生と出会ってきました。彼らの目の輝き、アイデアの斬新さ、そして何より「やってやる」という強い意志。それらに触れるたびに、高専教育の素晴らしさを再確認し、同時に彼らをサポートすることの重要性を痛感するのです。

そして今、私たちは新たな挑戦を始めます。2024年9月15日、沖縄で開催される「第2回高専人会交流会」。プロッセルは、このイベントのトップスポンサー(プラチナスポンサー)を務めます。さらに、一般財団法人高専人会の年間スポンサー第一号にもなりました。

なぜ、このような大きな決断をしたのでしょうか? それは、今の高専生たちの可能性を、誰よりも信じているからです。彼らは、急速に進化するAI技術を柔軟に吸収し、日本のものづくりの未来を担う存在です。

高専生たちは、すでに驚くべき成果を上げ始めています。AI を活用した新しい製造プロセスの開発、環境に配慮したサステナブルな製品設計、さらにはグローバル市場を視野に入れたベンチャー企業の立ち上げまで。彼らの挑戦は、日本の未来そのものを切り拓いていくと確信しています。

しかし、彼らの道のりは決して平坦ではありません。技術の急速な進化、グローバル競争の激化、そして予測不可能な社会変化。これらの課題に立ち向かうには、私たち先輩世代の経験と知恵が必要です。それこそが、「恩送り」の真髄なのです。

ここで、皆さんに問いかけたいのです。高専の絆を、共に未来へ繋いでいきませんか?

高専人会は、全国50万人の高専OBOGを束ねる、新しい形の同窓会組織です。将来的には、慶応の三田会や早稲田の稲門会のような影響力を持つことを目指しています。その実現には、皆さん一人一人の力が必要なのです。

具体的には、高専への寄付や各種支援活動、イベントの開催、そして高専生支援プロジェクトの立ち上げなどを計画しています。これらの活動を通じて、高専のネットワークをさらに強固なものにし、社会における高専の存在感を高めていきたいと考えています。

2023年に開催された第一回高専人会交流会では500名もの参加者が集い、高専魂を熱く燃やしました。年齢も、出身高専も、現在の職業も異なる500人が、「高専」という共通点だけで一つになる。その光景は、まさに感動そのものでした。

そして今年は、9月15日沖縄で開催されます。高専時代の思い出を語り合い、現在の挑戦について意見を交換し、そして未来の高専生たちへの支援の形を共に考える。そんな素晴らしい機会になることでしょう。この記事を読んでいるあなたのご参加も、心待ちにしています。

高専出身者は、日本の総人口の約1%。「田中さん」と同じくらいの割合です。つまり、あなたの周りにも、きっと「隠れ高専人」がいるはずです。その潜在的なネットワークを活かし、高専の輪を広げていきましょう。

私の経験では、「実は高専出身なんです」と、初対面で打ち明けてくれる人が驚くほど多いのです。その瞬間、会話が一気に弾み、ビジネスチャンスが生まれることもしばしば。この縁を活かし、「恩送り」の輪を広げていけば、その影響力は計り知れません。

私たちプロッセルも、全力でこの動きをサポートします。高専生向けの起業支援プログラムの拡充、OBOGと現役生をつなぐメンタリングシステムの構築、さらには高専発のイノベーションを世界に発信するためのプラットフォーム作りなど。様々な形で、高専ネットワークの強化に貢献していきます。

沖縄でお会いできるのを、心から楽しみにしています。会場で見かけたら、「noteで記事読んだよ」と、気軽に声をかけてください。きっと素晴らしい出会いと、新たな可能性が待っているはずです。

高専人の絆で、未来の高専生を、そして日本のものづくりを支える。その大きな一歩を、共に踏み出しましょう。「恩送り」が生み出す連鎖が、日本の、いや、世界の未来を変えていく。私は、そう確信しています。


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