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#140字小説『夢の墓場』

 歳をとった男は少年のような目をして語る。

 …俺にとって人生は戦いなんでね。

 描くなら大作を残したいんですよ。

 クリムトやルノワールのような。

 昼寝から起きたとき男はアトリエでなくいつもの小さくて暗い部屋の中にいた。

 現実には病気で休みがちな男は絵描きにも相手にされず社会に居場所がなかった。