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#140字小説『怨嗟と復讐』

 女は死んだ。

 もう帰ってはこない。

 待つのが無駄だと分かっていながら止めどない涙を流す。

 それもやがて枯れてしまった。

 まだ動ける内にやり遂げねば。

 意を決した彼は受話器を手に取る。

 温もりを喪った代価をあいつに払わせてやる。

 私達の疑問は彼の最期に笑える瞬間が訪れるのか?

 それだけだった。