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#140字小説『川を渡るとき』

冷たくなった朝。

それでも朝日は昇る。

よせては返す波に運ばれて魂はカロンの渡し賃を払えるのか?

地獄の沙汰も金次第という。

生前貧乏だった私はレーテの川を渡るとき、誰を思い出すのだろう。

何も生み出さずただ死んでいくだけの生。

自分は運命に対して不誠実だったのだろうか。

誰か答えて、神よ。