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#140字小説『朝日よ消えろ』

 命の選択は押し迫っていた。

 今日という日は終わりその使い道すら分からぬまま惰性で過ぎてゆく人生。

 スーツを着たままシンクに嘔吐する勤め人。
 
 もう何もかも捨てて良い。

 それでも明日は来る。

 絶望的な美を讃えた朝日が、明日も明後日も。

 もう良い。

 もう良いんだ。

 片道切符の錠剤を握りしめて男は頷いた。