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川柳で若い世代にエールを送りたい 23/6/18

1.川柳の一言コメント

「口説いてもいいわ落ちたりしないけど」

 この川柳は、女性が男性に発した言葉です。男女の仲とはどういうものか熟知している恋愛経験豊富な女性が、自分に言い寄ってきた経験の浅い年下の男性に余裕しゃくしゃくで言っています。女性は、やや上から目線です。

 私は恋愛下手で、女性を口説くのが下手です。特に若い頃は、好意を持った女性に面と向かうと急に心拍数が上がり、身体中の筋肉が硬直して昔のおもちゃのロボットのようなぎこちない動きになりました。

2.私の経験で思う事

 高齢になった私は今、自分より若い女性が好きです。大概の男は若い女性が好きだと思います。しかし、私が中高生の頃に年上の女性に魅力を感じた時期がありました。年上と言っても上級生の女子生徒ですが、大人の雰囲気と優しさを感じました。

 一方、同級生や下級生の女子に対しては「守ってあげたい」という気持ちになりました。でも私はそれほど強くなくて、周りには私よりずっと逞しくて男らしい男子が多くいましたから、何となく気後れしていました。

 私は、ひとたび女性を好きになったら冷静で居られません。そわそわ落ち着かず、気持ちを伝えたいと想いが募ります。
――でも、振られたらどうしよう。いや、今伝えないと他の男に奪われるかもしれない。

 一人でいろいろな空想をして、頭が破裂しそうになって、やっとの思いで告白できた。と、しても・・・。うまくいかなくて落ち込んでしまう。そんな経験があります。

 私は結婚できていませんし、恋人と思っていた女性も数人しかいません。その恋人も、相手は私を恋人と思っていなかったようで、一時的なお付き合いで終わりました。ですから、私が恋愛に関して若い人達にアドバイス出来る事はなさそうです。

 見出しの川柳はフィクションで、私の願望が入っています。年上の魅力的な女性に恋をして言い寄ろうとしたときに、その女性が微妙な笑みを浮かべてこのように言って欲しいという空想です。

 軽くあしらわれそうですが、恋愛は障害があると燃え上がると言います。ですから、燃え上がってみたいのです。でも、空想です。私に年上の女性を口説く度胸なんてありませんから。そんな恐ろしい事。

 若い人達には、私の失敗例を「他山の石」として参考にして頂けるかもしれませんが、私の青春時代と今とでは世の中が変わってしまいましたし、ちょっと話すのが恥ずかしいです。私は初歩的ミスで挫折していますから。

 普遍的な事としては、まず、自分がどういう人間か知る事が大前提と思います。でも、自分で自分を冷静に評価するのは難しいですね。そして、相手を常に思いやる事が大切と思います。

 大人になると問題は複雑になります。恋愛感情を抱く前に様々な条件で対象相手が絞られます。私の若い頃は「3高」などと言われました。女性は、高学歴、高収入、高身長の男性を好んで選んだようでした。

 今は条件の中身が変わっていると思いますが、更に細かい条件設定があって、恋愛前選別が無意識に行われていると思います。

 私には、軽い気持ちも含めて「結婚しよう」と100回言った女性が一人居ます。でも、その女性から120回断られました。20回は言う前に断られたものです。

 その女性が私に言った、生涯忘れることができない名言があります。
「私、40年生きて来たけど、あなたみたいな変な人初めて」

 口喧嘩になったときに彼女が口走りました。なんてひどい言葉でしょう。私はあっけに取られました。ここまでひどい言葉を浴びせられたのは生まれて初めてでした。

 しかし、後で冷静になると「もしかして、俺は凄い男かも・・・」と考え直しました。今の日本で一人の女性が40年間にどれだけの人と出会うでしょうか。

 生まれてすぐ家族と出会います。その後、親戚、近所の人達、義務教育で9年間は学生の立場で人と出会います。この女性は高校を出て就職していますので、その後の出会いは高校で3年間、社会人として22年間です。

 彼女が生涯で出会った人は、何万人、もしかしたら10万人程になるかもしれません。私はその中でナンバーワンの「変な人」なのです。凄いと思いました。

 蛇足ですが、この言葉を私に浴びせたときの彼女の年齢は40歳ではありません。42歳か43歳だったと記憶しています。私の経験から、女性の多くは如何なる場面でも、とっさに自分の年齢のサバを読む能力を身に付けています。ですから私は、最大11万人程度の人の中で最も変な人の可能性があります。

 平成28年に亡くなったタレントで元参議院議員の大橋巨泉さんが、こんな事を言ったそうです。
「集団の真ん中にいたら絶対にダメだ。どうせなら、ビリを走れ。時代の風が逆から吹いたら、自分がトップに立てる」

 変な人ナンバーワンの私が、世間からもてはやされる日が来るでしょうか。少し期待して変な人を続けようと思います。余談ですが、不思議な事に名言を吐いた彼女との関係は、今も細々と繋がっています。あんな事言われたのに・・・。

 彼女とは、年に数回二人で食事する機会があります。その時の主導権は彼女で、食事代の支払いは私と決まっています。まあ、年数回ですし、私も支払時にミエを張りたいので納得しています。

 全く会わなかった期間が何年もありますが、最初から数えて、もう20年余り続いているルールです。ある程度、自分の感情を抑える事が長く付き合える秘訣と思います。

 極端に友達の少ない私にとって、彼女は二人で食事ができる唯一の女性で、ありがたい話です。性格も好みも違いますので、彼女の気分を損ねないか気を配りながら会っていますが、もう長い付き合いですので私も学習しました。

 そう言えば、川柳の句会で「学ぶ」という題が出て、私が詠んだ川柳を思い出したので紹介しておきます。

川柳のお題「学ぶ」 : 失恋で学ぶ乙女の恐ろしさ

 この句は入選句に選ばれましたが、句会に出席されていた女性の皆さんから笑いが漏れました。句が面白かったのか、私を笑ったのかは不明です。

 若い女性(乙女)は時として豹変します。嫌なものは嫌と容赦ない厳しさで、純真な男子の心をズタズタにする事があります。今はストーカー事件が時々報道されますから、そんな厳しさも必要かもしれませんが・・・。

 真面目で気の弱い男子に対して、神様のご加護がある事を願います。まあ、私に関しては、高齢者の仲間入りをしていますので、今さらご加護があっても手遅れですけど。 

3.瀬川さんの絵

 漫画家の瀬川 環さんが、この川柳からイメージした絵を描いてくれました。

口説いてもいいわ落ちたりしないけど

 当初、瀬川さんは、「蠱惑的な女性が男女を見下ろしながらセクシーなポーズで微笑みを称える画」が浮かんだそうですが、ややセクシャルすぎる感があったので、万人受けする猫ちゃんにしたそうです。

 実は、この絵と川柳は、とある都心の喫茶店で展示させて頂きました。展示の話が出たとき、喫茶店の雰囲気が「女性のセクシーポーズ」と合いそうになかった点も猫に変えた要因だと思います。

 でも、私は個人的に猫より蠱惑的な女性のセクシーポーズの方が好きです。その女性が若くて、グラマーで、スタイルが良くて、肌の露出が多かったりしたらもう・・・、昭和の古い言葉で言うと、「鼻血ブー」ですね。

 


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