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川柳で若い世代にエールを送りたい 23/4/30

1.川柳の一言コメント

「鵺になり唯ひっそりと生きてゆく」

 この「鵺(ぬえ)」というのは、平安時代末期に現れた、頭は猿、胴体は狸、四肢は虎、尾は蛇の化け物です。源頼政が退治した故事があるそうで、伊豆の国市では、この故事に基づいて「鵺ばらい祭り」が行われているそうです。

 当時、毎夜、天皇の御殿に黒雲が立ち込め、周囲に不気味な鳴き声が響き、天皇が恐怖と心労から病床に伏せってしまい、この現象が鵺のせいだとして退治されたそうです。但し鵺は、当時の人々に何か大きな危害を加えた化け物ではなさそうです。

 この川柳は、アクがあってクセの強い自分が社会の中で生きづらく、どうやって生きていけばいいのか悩んだとき、「いっそのこと化け物になってどこかで隠れて暮らせばいいじゃないか」と、発想したことから生まれました。

2.私の経験で思う事

 人間社会は、結構生きづらい所があると思います。法律、規則、ルール、しきたり等々、自分の好き勝手にしたくても守らなくてはいけない事が山ほどあって、結構、がんじがらめです。

 会社組織でも、地域のコミュニティーでも、大勢の人が関わり合って生きていく為にはルールが無いと収拾つかなくなるのは分かります。みんなが決まりを守って協力する事で、難問を解決できたり、一人ではできない大きな事を成し遂げたりもできます。それは分かります。

 また、日本は礼儀正しい国だとが、サービスの品質が世界一だとか、それは他国に誇れる素晴らしい事ですが、それって、国民一人一人が常にやるのって疲れませんか?

 日本人は真面目な人が多くて、みんな勤勉で、良い人ばかりです。まあ、人がオギャーと生まれて、生まれながらに悪人という人は居ないはずですから、周りの人が「良い人」に育てるのでしょう。不思議はないです。

 しかし、その「良い人」がいつの間にか、社会全体が「最高レベルの良い人」を求めるようになっているのではないかと感じる事があります。みんなが百点満点を取らないといけないみたいな。

 私は25年余り会社勤めをしました。一般の営利企業でしたから、常に高く設定された目標があって、しかも、目標の100%以上の達成率を求められました。常に全速力で走り続けて競争に勝ち抜ける人が「できる人」でした。

 でも私は、「できる人」にはなれませんでした。もしかして、別の会社で働いていたら、ある程度出来たかも知れません。でも、過去に戻ってやり直す事はできませんから分かりません。

 目標達成のためぎりぎりまで頑張って、その結果、自分の能力が伸びる事はよくあります。しかし、頑張り過ぎて身体や心が壊れる事もよくあります。壊れたとき、休んだり治療したりして元に戻ればいいですが、戻らない人も見かけました。

 頑張って頑張って、それでも限界を感じたら・・・、その状態を受け入れるか、更に方法を変えて頑張るか。その時の選択は人それぞれだと思います。

 我々はクローン人間ではありません。生まれながらにして別々のDNAを持った個々の人間ですから、個性があって当たり前。厳密に言うと他人と同じことは出来ないはずです。

 日本が国際競争で勝ち抜くためには、みんなが「最高のできる人」になれればいいのでしょうが、みんながなれる訳ではありません。だから、出来なかったら出来なかったでいいでしょう。

 まあ、法律や規則などの社会のルールは守らないといけませんけど、私は、頑張るだけ頑張って出来なかったら、身体を壊すより「俺は化け物にでもなってひっそり暮らすか」と、開き直ってもいいと思います。

 そんな生き方も、きっとありますよ。

3.瀬川さんの絵

 漫画家の瀬川 環さんが、この川柳からイメージした絵を描いてくれまし。

鵺になり唯ひっそりと生きてゆく

 瀬川さんの鵺には大きな翼があります。力強く空を飛ぶのでしょうね。この鵺はひっそりなんて生きていなくて、自己主張しながら堂々と生きているのでしょう。それはそれでいいと思います。

 むしろそんな生き方が出来るのであれば、鵺だってそうしていいはずです。何も人間の都合に合わせて生きていく必要は無いです。人は人、自分は自分です。

 瀬川さんの絵を基に私の川柳を変えるとしたら、「俺は俺 鵺になっても生きてやる」って所ですかね。 

 


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