2019年11月のエッセイ 「真実は細部に宿る」 連載15
Do you think it's really garbage that you're sucking with a vacuum cleaner? (掃除機で吸い取っているのは、本当にゴミだと思う?)
珍しくおととい日曜日の朝、僕とは昼夜逆転のつれあいが起きてきた。
朝食を食べながら、彼女は言った。
「掃除機の電源が入らないの。出かけるなら新しいの、見に行きたい」
おやおや。そんなこともあるんだね。僕は確かめもせずに、信じた。
何と言っても、掃除はつれあいの専権事項だから。
今の掃除機はいつ買ったんだろう?記憶にない。もしかして結婚当時から使ってたのかな。掃除機は自信がないが、冷蔵庫と洗濯機は結婚してから買い換えていない。つまり25年だ。よく持ってる、というか使い続けている。
掃除機をお店で決めるまで、実に2時間以上。店員とディスカッションしながら、
僕は彼女が心を決めるまで、待ち続けた。いつもそうだが、待つしかないのだ。
たとえハンカチ1枚であっても。
決めたのは、コードレスで軽い機種。1.5kgで確かに軽い。バッテリーも2個ついている。僕がこれかな、と思っていたのとは違っていた。彼女は決めるのに疲れたのか、家に帰っても新しい仲間に触りもしなかった。僕がバッテリーの充電を始め、セットアップした。
まあ、いい。本当に珍しい、つれあいのおねだりだから。おかげで、いつもと変わった景色が、見えた。ささいなことだけど、生きるのには大切なことだ、そう、思う。
2022年5月現在 当時を振り返って
あらゆるものは、いつかは壊れる。しかも、急にだ。洗濯と掃除はつれあいの生命線だから、それが故障すると彼女は途方に暮れてしまう。そこでこの件だ。
たいがい下調べしてからいくのだが、今回は急だったこともあり大して調べずに家電量販店に行った。2件目のビックカメラで結局買ったのだけど、つれあいがこれと決めるまで、やはり時間がかかった。もともと迷いだすとわけわかなくなってしまうタイプで、わかんなくなったからやめた!ということもよくある。この日は外堀を埋めながら退路を断たせて購入まで持って行った。ところがこの掃除機、バッテリー関係が調子悪く、しばらくたってから修理に出すことになってしまった。つれあいのひきが悪かったのか、使い方が悪かったのか。でも印象だと、もとより変だったっぽい。ひきが悪かったのだろう。
こんなんがあるから、長期補償に入るべきか迷う。代表的なものはプリンタで、ほんの少ししか使ってなくても律儀に故障してくれる。それが使命かのように。おかげで昨年は手書きで年賀状を書いたよ。やれやれだね。
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