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臨採日記

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世の人すなる、から始まる、偽物古文。 文法学習用に使えたら良いな、程度で 「古文時代にそんな言い方ねぇだろ」 というのも多々ありますが、大目にみてくだされ
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記事一覧

臨採日記【努力の成果を】

葉月のつごもり 夜は長く、思ふこと多くあり。 努力は報ひありたきと思ふは 我が身にあらで …

遥夏
1年前
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臨採日記【気に入られやうとするは】

人に気に入られむがために事を為す人の 浅ましさは言ふべきにもあらず、 誉められむがために…

遥夏
1年前
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臨採日記【見えざる予定】

期間の決まりたる臨時の講師たるものは 次の現場に行くとて、 給与の支払い日がいくにちのちな…

遥夏
1年前

臨採日記【氷河期】

葉月のつごもりほど近く、 就職氷河期の人員とかや 経済活動に縁遠きなどと聞く。 さもありな…

遥夏
1年前
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臨採日記【土佐日記】

土佐日記を読み侍るに、 新たなる物の言ひあらはし様をせむとて 「男もすなる日記といふものを…

遥夏
1年前
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臨採日記【しにふぃえ】

これも葉月のつごもりほど近く 言語学の人々と語ることありき。 記号ありしとき、脳裏に思ひ…

遥夏
1年前

臨採日記【極熱の薬草】

葉月の二十五日、 机をきそひて仕るところ、 右の隣は酔ひの残り香あり 左の隣は汗臭く 正面より韮がごときにほひして なほ後ろは沓ぬぎて足の臭いありけり。 翁も匂い無きとは言わざるも あまりにあまりなるべし。 はいぱーせんしてぃぶやら 自閉すぺくとらむやら 障りなるあれこれの診断などを すり抜けてまいりしかど そこそこに鼻の効くに 目まひなど催す。 まして、 かれこれ臭いをなして 諸生の前にたつなるは なかなか恥づべきことと存ずるなり。

臨採日記【満防期中学生】

葉月のころ えすえぬえすに、 読解力に隔絶したる世代あるなりと聴く。 古く昭和の家電三神器…

遥夏
1年前
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臨採日記【讃はしきこと】

葉月二十日あまり、 どこそこの学校の副校長とやらより 国語科として雇ひいれたし との電話の…

遥夏
1年前
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臨採日記【ろーるぷれい】

葉月の二十日あまり、 友と集い、夜話に、 てーぶるとーくにて ろーるぷれいんぐのげぇむなど…

遥夏
1年前
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臨採日記【誰とはいはず】

葉月二十日あまり、 誰とはいはず、世の中の全てを敵とせば そは生くること難しからむと思ふな…

遥夏
1年前
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臨採日記【読解力】

葉月二十日あまり、 世はさかしら読解力なむ話題多かる。 『ごんぎつね』は、いふべきにもあ…

遥夏
1年前
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臨採日記【瓜】

葉月十五日、 年ごろこれはと思ふ人々の、 死にたまふこと、おほくなりぬ。 志村けん、さくら…

遥夏
1年前
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臨採日記【望郷】

葉月は十日あまり三日、 暑きこと身に耐へかねたり。 かつて、万葉に「瓜はめば」とありなむを アイスクリームなど購ひて、母を思ひにけり。 故郷は東の遥か、 翁は己の志果つるまでと 顧みるだにせずにありにければ時に心塞ぎて、 その声すらも聞くに七年ほども間のありき。 今年こそは帰り至らむと 誰にも知れず秘めたりしか。 世にコロナの災ひありたるに 年老ひたる母の身に恐れて 猶ほ近々は遠く思ひたればこそ。 田舎を裏切るやうなる我が身の長くしたれば 敷居と言ふが甚だ高かりけり