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「愛の讃歌」

  "Hymne à l’amour"
        ─ Édith Piaf ─

  Le ciel bleu sur nous peut s’effondrer
  Et la terre peut bien s’écrouler
  Peu m’importe si tu m’aimes
  Je me fous du monde entier

  Tant qu’ l’amour inondra mes matins
  Tant que mon corps frémira sous tes mains
  Peu m’importe les problèmes
  Mon amour puisque tu m’aimes...

  J’irais jusqu’au bout du monde
  Je me ferais teindre en blonde
  Si tu me le demandais...
  J’irais décrocher la lune
  J’irais voler la fortune
  Si tu me le demandais...

  Je renierais ma patrie
  Je renierais mes amis
  Si tu me le demandais...
  On peut bien rire de moi
  Je ferais n’importe quoi
  Si tu me le demandais...

  Si un jour la vie t’arrache à moi
  Si tu meurs, que tu sois loin de moi
  Peu m’importe si tu m’aimes
  Car moi je mourrai aussi

  Nous aurons pour nous l’éternité
  Dans le bleu de toute l’immensité
  Dans le ciel plus de problèmes
  Mon amour crois-tu qu’on s’aime...

  ...Dieu réunit ceux qui s’aiment!


 「愛の讃歌」
   ― エディット・ピアフ ―

  あの青い空が落ちてこようと、
  たとえ地が裂けようと、
  そんな世の中のことなどどうでもいい
  君の愛さえあれば

  朝、君の愛に満たされる
  君の腕の中で私の体が震える
  何の問題もないのだ、愛する人よ
  君が私を愛してくれるのだから

  世のどこまでも行こう、髪も染めよう
  君がそれを望むなら
  月も取ってこよう、財も盗んでこよう
  君がそれを望むなら

  国も捨てよう、友だって裏切ろう
  君が望むなら
  何だってやるさ、どれだけ人に嗤われようと
  君がそれを望むならば

  ある日、人生が二人を裂き
  死が、君を遠くに離そうとも
  君の愛さえあれば何の問題もない
  なぜなら、私もまた死ぬのだから

  私達は永遠を得るのだ
  どこまでも広がる青い空の中
  何の憂いもない天界で、愛する人よ
  私達は愛し合うのだ

  神が二人を結ぶのだ
            (訳:小迫良成)

※ ※ ※ ※ ※

もう、15年も前のことになるだろうか、
「ステージのアンコール用に
 何かポピュラーなレパートリーがないか」
と、曲をあれこれ探していた頃の話である。

当時、
定期的に出演していたサロンコンサートでは
終盤、皆がそれぞれのアンコール曲を持ち寄り
フィナーレを飾るというしきたりだったのだが、
その手の曲を持っていなかった私は
最後までアリアばかりを歌っていて
正直、肩身が狭かったという事情もあった。

良く歌われていたのは
「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」とか
「アメージング・グレイス」とか
・・・「千の風になって」を
やたらと歌っていた奴もいたなあ・・・

他人と同じものをやっても仕方がないので
(曲がバッティングする危険もあるので)
そのサロンコンサートの出演者たちが
あまりステージで歌っておらず、
なおかつ、巷で良く知られている曲がないか
あれこれ考えてみた。

折しもフランス物に手を出し始めていた頃で
「どうせなら」と手にしたのが
この「愛の讃歌」だった。

有名なシャンソンだし、
越路吹雪や美輪明宏の歌唱でも知られているしね。


そして
この曲をレパートリーにしようと
練習を始めて一ヶ月もたたぬ頃・・・

なんと「美輪明宏演奏会」のチケットが
偶然にも手に入ったのだ。
(当時は、そう簡単に取れるチケットではなかった)

「むむ、これは何か縁があるな」

もちろん、観に行きました。
(思わず丁寧語)

「はやりTVの画面で見るのと、
 生で観るのとでは全然違うな」と、
感銘を受けた記憶が残っている。

私が「愛の讃歌」に目を止めたことと
美輪明宏の生の歌唱を観る機会を得たこと、
その偶然に驚いたものであったが、
偶然はそれだけでは終わらなかった。

私の全く知らなかったことだったが、
私が最初にこの曲を披露した頃、
ちょうどエディット・ピアフを扱った
映画『愛の讃歌』が封切られていたらしい。

これにはさすがに驚いた。

どちらかというと気まぐれに
「これ面白そうだな」と手を出しただけなのに、
生の美輪明宏を観ることになるわ、
映画の封切で一気に曲の人気が再燃するわ・・・

おかげで私がステージで歌った曲の中で
一番拍手を貰った曲になってしまった。
(オペラ歌手として喜んでよいのか?)

なかなかに不思議な経験だったが、
国分太一に言わせると
「偶然ではありません。必然です!」
ということなのかも。(ワハハ)


あくまでアンコール用の曲ではあるけれど
この「愛の讃歌」、
15年前のこの時以降、
折につれ歌い続け、
また、
これからも歌い続けていくであろう
私の大切なレパートリー曲となっている。




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