「ケイトが恐れるすべて」はミステリーじゃなくてサスペンス
腹立たしいことがあったので怒りから離れるためにピーター・スワンソンの「ケイトが恐れるすべて」を読みました。これ、Amazonの評価で低いのつけてる人がいて、つまんないのかな〜と思っていたんですが、まぁ「傑作!100年後の人もきっとこの本を読んでるよ!」ってレベルではないにしろそこまで貶すような作品でもなかったです。1,000円くらいしましたけど、全然勿体ない気持ちにはならないし一気に読める。
で、思ったんですけど、この作品に低い評価をつけてる人って、多分これを謎解きミステリ、探偵小説だと思ってるんですよね。つまり、エラリー・クイーン的な「読者への挑戦状」みたいなやつ。犯人は誰だ?トリックはなんだ?みたいな。でもこれ、そう言うんじゃないと思います。ハラハラドキドキを楽しむ系の話。
近いのはアイラ・レヴィンの「死の接吻」とか。視点が変わっていろんな人の事情が語られるような。もちろん「死の接吻」の方が全然優れてはいるんですけどね。
あらすじはこうです。
ロンドンに住む恐怖症持ちのケイトは親戚(又従兄弟)のコービンと住まいを半年間交換することになり、ボストンへやってきます。コービンの家は父親から相続した高級アパートなんですが、越してきた翌日に隣の部屋の女の子、オードリーの惨殺死体が見つかるんです。近所の人からオードリーとコービンは恋人だった、と聞くのですが、メールで本人に確認すると「彼女のことよく知らないよ、顔は見たことあるけど」って言うんですね。じゃあどっちか嘘をついている、と言うことになります。近所の男子アラン、もしくはコービンが。そしてオードリーを殺したのは誰なのか。加えてケイトは家の中に他人の気配を感じることが頻繁にあります。持ち物に触れられている感じもある。これは気のせいなのか、それとも誰かが部屋に入ってきているのか。
「すべてのドアを鎖せ」を読んでから高級アパートに引っ越す話が好きになっているのかもしれません。でも面白い。