ジャンピング・ジェニイとは女の首吊り死体のこと
海外ミステリの話です。毒入りチョコレートで有名なアントニー・バークリーの別の名作読みました。
これは本当に面白いので、皆さん是非ネタバレ読まずに読んでほしい!唖然としますので。
あらすじはこうです。
小説家のロナルド・ストラットンの家でパーティーが行われます。これがちょっと趣向を凝らして、出席者は有名な殺人者の扮装をしなければならないというもの。屋上には絞首台が作られ、首吊り死体の人形が三つ並んでいました。その夜ヒステリックな振る舞いで出席者から嫌われていた女性が、その絞首台で首吊り死体となって発見されます。一見自殺に見えたのですが、主人公ロジャー・シェリンガムはある致命的な事実に気がつき、これは自殺ではなく殺人だと知ります。パーティーの出席者の中に犯人がいる。ロジャーは調査を始めました。
という話なんですけどね、これ、ネタバレにならないように説明するの難しいな〜!問題は被害者がめちゃくちゃみんなに嫌われていたという点なんですよ。被害者、最初の数章しか生きていないんですけど、その数章でお腹いっぱい!という具合にうんざりさせられます。読者もおそらく経験がある「こういう嫌な女いるわ〜」の徹底的なバージョンです。でもありそうな範囲。だから、まさかの事態が起こるんです。これは殺人だ、と断じた主人公たちが、なんと警察をごまかす方に努力するんです。犯人を見つけ出そう、正義を行おう、ではなく、犯人が警察に捕まらないように犯人のミスを庇ってやろう、という努力。そしてそれでいながら結局殺したのは誰なんだ?というのも出てきます。
面白いんですよ〜!
一般受けするのは毒入りチョコレート事件の方だと思いますが、私はこっちの方がお気に入りですね。読後感も明るいです。