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スーパーポジティブの危険性

「私スーパーポジティブだから!」っていう奴、危険だなぁ〜と常々思ってるんですけどそう思いません?

というのは、往々にして自らを「ポジティブ」と称する人、ポジティブではなくてただ単にoptimisticだなと思うことが多いわけです。

よくある砂漠で瓶の中に水が半分入っている時に「もう半分しかない」と思うか「まだ半分ある」と思うかで人は二つに分かれる、みたいなのあるじゃないですか。あれ、後者の方がポジティブで人として優れてる、みたいな感じのことよく言われますけど私は第3のパターンが一番いいんじゃないかなと思うんです。

つまり「瓶に水が半分ある。街に行くまでにあと何時間かかるから途中で水を補給しないといけない、あるいは補給できないから一回に飲む量をこれくらいにした方がいい」と考えるパターン。

水の量が半分である、という事実についてはポジティブにもネガティブにも捉えずただ事実として認識して、その上でこれからのことを考えて行動方針を決める。これが本当に一番いいパターンだと思うんですよ。「もう半分しかない」と思う人も「まだ半分もある」と思う人も、そう思うだけではダメです。だって「まだ半分もある!平気平気!余裕でしょ!」と思っていたって実際には次にオアシスがあるところへたどり着けるのが三日後とかであれば普通にピンチですし、「砂漠って言っても雨が降ることもあるしなんとかなるでしょ!」と楽観的に構えることは、雨の降る確率が非常に低い場合命取りです。「もう〜しかない」の人もそれで落ち込んでいるだけではダメで、なんとかする作戦を立てないと意味がありません。だから事実は前向きにも後ろ向きにも捉えず、そのまま認識して、その上で悲観的すぎもせず楽観的すぎもしない現実的な作戦を立てるのが一番大切だと思います。

この話、なんでしているかというと手越くんの独立について考えていたからなんですよね。彼のいうスーパーポジティブってスーパーオプティミスティックなんじゃなかろうかと思うのです。言い換えればリスク軽視の人。ワースケースを想像できない人。ポジティブであれと強く願うばかりにうまくいかなかった時のことを考えられない人。


手越くんって「まだ半分もある!」の人だと思うんですよ。
物事がいい方に転んだ時をイメージする人。悲観的な人なら「ジャニーズなんて大きな事務所を辞めたらファンはかなり離れるだろう。みんな自分を好きとは言っても事務所の演出、事務所ブランド(派手なコンサート、派手な衣装、プライベートの恋愛等は語らない等)込みのキャラクターが好きだったに違いない。夜の六本木なんかで知り合いも増えたけどみんな自分がジャニーズだから面白がって付き合ってくれていた人も多いはずで大きな事務所を辞めてしまったら離れていく人もいるはずだ。おまけに自分はもう30代半ばで今から新しい若いファンがどんどんつく年齢ではない。四部作の途中だし箱推しだったファンは裏切られたというだろう。独立しても今まで以上の華々しいブレイクは見込めないだろう」と思うでしょうから。
でも彼は楽観的な人なので「自分は六本木で飲んで築いた人脈もあるし、これからは事務所に邪魔されないでいろんなことがもっとスピーディーにできるはず!副業禁止もなくなるからビジネスもできる!今までは事務所の意向でソフトで無難に修正されていたインタビューなんかもそうされなくなるなから本当の思いを伝えられる!自分は歌も上手いし顔もかっこいいからファンもついてきてくれる!イッテQとかで男性にも好かれてるから今後はファン層も拡大できる!作られたいい子ちゃんなんかやめても、自分くらいのカリスマ性と実力があれば今まで以上の人気者になれる!」と思ってやめたんだと思うんですよね。

正直どっちの考えも間違いではないと思うんですよ。でも前者は悲観的すぎるし後者は楽観的すぎる。何かを始めるときに悲観的すぎると足がすくんで新しいことができないし、楽観的すぎるとリスクに備えることができなくて失敗すると思う。

例えば、彼とは個人的な知り合いではないので聞いたことはないんですが、彼が独立前に考えていたプランではYouTubeの再生回数はもっと多かったんだと思うんですよね。ドームやスタジアムでコンサートをしていたアイドルグループのセンターで、ジャニーズの中では個人の知名度も高いし、しかも彼はボイトレもしてるから歌も上手い。運動神経がいいからダンスも上手。顔もかっこいい。そしていわゆるいい子ちゃんではなかったからチャラ男でありながらも男性からも割と好感度が高かった。面白いコメントもできるからバラエティ系の動画も楽しいものを作れるはず。だからきっと会見の1000万回は予想を超える回数だったとしても、その後の200万から600万回くらいがずっと続き、最初のブームが落ち着いても100万から150万回再生以上はコンスタントにキープできると思っていたと思うんですよね。YouTube無料ですし、いつでも好きな時に見られるし、最近の若年層はテレビ見なくてYouTube見てるので。
あとSMAPの独立のことなんかもあるしジャニーズ事務所に対するアンチも沢山いるから、そこから飛び出した自分をもっとみんなヒーローのように応援してくれると思っていたと思うんですよ。

でもその見込みが楽観的すぎたんですよね。

ジャニーズはアンチもいるけどファンも沢山いて、事務所から出たら興味を無くしてしまう人もかなりいるし、組織の中でいうことを聞いて真面目にちまちま仕事をしてる人なんて魅力がない、と彼は思っていたんだと思うけれど、世の中の大半の人は真面目にちまちま組織で仕事してるんですよ。だからみんなに迷惑をかけて飛び出して、想定と違って困っている彼を見てもあまり同情してくれない。自業自得じゃん?とか言われる。

そしてジャニーズのアンチが自分の味方になってくれるかというとそうではないっていうあたりが読めてなかったんだと思うんですよ。ネットでジャニーズ批判をしている年齢性別不詳の(でもおそらく男性が多いだろう)ネット民は、独立会見の時は褒めて応援してくれた。でも彼らはすぐに興味を失ってしまうんです。「頑張れよ!応援してるぞ」とか言ってくれるけど、つまんなければ動画を毎回見たりはしてくれない。応援してるなんて口だけだし、煽るためだけに言っていることもある。
ジャニーズからついて来てくれたファンはどうかっていうと、多分手越の想定より年齢層が上のファンが多かったんですよね。これはなんでなのか私もわからない。コンサートとか行くと若い手越ファンいっぱいいたんだけどな。なぜ若い子の方が降りてしまいやすいのか。より純粋だからなのか、おっさんと酒飲むのに女を呼ぼうぜ、という態度に失望するのか。とにかく独立後のファンの様子を見ていると大人のファンが多いのが目につきます。コメント欄見てると「私おばさんだけどいいかな?」って言ってる人、すごい多い。娘さんが大学生、とかね。で、こういうファンはどうなのかっていうとお金をそんなに自由に使えないケースが多いんです。だってお子さんが大学だ高校だっていう時期って学費もかかりますし住宅ローンも払ってたりしますから。オタ活に思う存分お金が使えるわけじゃないから、各種グッズがそんなに売れなかったりする。

そしてバラエティ系の動画が伸びないんですよね〜!これも手越の想定外だと思う。多分、手越的には自分のお友達と過ごす時間が楽しくて、最高の仲間だと思ってるからチーム手越系の動画、もっと再生回数増えると思ってたと思うんですよ。あわよくばお友達もちょっとしたスターになるんじゃないかって。ところが蓋を開けてみたら20万回とかなんですよ。

これ、高校生とか大学生が、自分と友達とで過ごしているとすごく楽しいからYouTubeでやったら受けるんじゃないかと思って動画にしてみて全然受けなかった、みたいなパターンと同じだと思いますね。その輪の中にいる人が思うほど、大抵外から見ると面白くない。これ、手越自身がアイドルファンじゃないからわかんないんじゃないかって気もしますね。結局手越の今のファンも女性が多くて、手越にアイドルを求めているので、普通のおっさんお兄さんと絡んでいるところを見ても何も面白くないんですよ。ふ〜ん、という感じ。素の俺が覗けるよ!みたいなのもあるかもしれないけれど、YouTuberになって定期的に動画出すようになると段々素の俺も珍しく無くなってくる。なんか特別な時だけ教えてよって感じになってコムドットとかみてしまうわけです。

正直、彼、うまくいっていないと思います。フォロワー数はTwitterでいうと一時期130万人まで増えましたが今や100万人を切りそうですし、再生回数は会見が1000万回、その後600万回とか言っていたのが今や14万回とか。人気のユーチューバーとコラボすると57万回とか行く時もありますけどね。ファンクラブ収入も今年は怪しいと思います。去年は手越の独立に腹を立てていた人もいざ1万人も入会者がいないらしいと噂を聞くとかわいそうになって入会してあげたりしていました。でも暴露本やお気持ち表明動画、たびたびの失言(かつてのファンを突き放すような物言いや、かつてのメンバーを軽視するような発言ですね)にファンもだいぶ離れているので同情入会組は今年は更新しないでしょう。

彼の敗因って何かというとやっぱり①ワースケースを想像できなかったこと、そして②自分を過大評価して周囲の人を過小評価したこと、これに尽きると思います。「俺はポジティブだから」のセルフイメージに引きずられて、リスクに備えることを弱腰、ネガティブと考えてしまったんでしょうね。そういうわけじゃないんだけどな。
そして注意されること、叱られることを愛と感じるほどには内面が成熟してなかったんでしょう。なぜ自粛しなければならないのか、なぜ自分のインタビューが修正されるのかわからなかった。修正することでなんのリスクを排除していたのかがわからないから思いつきで話して独立後は失言の連続です。修正した方がいいと判断してくれるスタッフさんの判断力を過小評価してたんでしょうね。ついてきたファンの少なさについてはメンバーを過小評価していたんでしょう。
あとジャニーズというブランドの過小評価。自分の人気は全て自分だけによってあると思っていたのがよくなかった。戦略を立ててマネジメントをして、そういうことをしてくれる事務所の人やレコード会社の人、面白くしてくれる番組スタッフの人や共演者の力を甘く見ていたんでしょう。彼のYouTubeのバラエティ系動画が想定以上に跳ねないのはこの番組スタッフ軽視の故だと思う。そして多分YouTuber自体も軽視していたんじゃないかな。いつだったかヒカルとのコラボ動画でヒカルが動画の準備にかけている時間を聞いて驚いていたので。そんなチャチャっと撮ってアップしたらヒットするってものではないのに。

自分に自信を持つのは良いことです。悪いことばかりを想像して何も始められなくなるのはもったいない。でも物事はバランスなんですよね。事実と願望は分けなければいけない。データがはっきりないものについては少なく見積もっておくっていうことも必要です。

だから今の手越くんに必要なのってスーパーポジティブではなくて現状を認識した上で作戦を立てることだと思うんですよね。そして大ヒットを狙うのは一旦やめて、中ヒットで地盤を固めた方がいいと思う。

そして余計なお世話かもしれませんが、自分のファン層を受け入れるべきだと思う。思ったよりおばさんが多くてがっかりしているらしいところが見受けられるんですが、もう30代半ばなんだから今から女子高生や女子中学生、女子大生が手越に大勢夢中になってくれるわけないでしょう。なにわ男子とかキンプリとかいるし、アンチジャニーズでも韓国アイドルとかいるんだよ?愛してくれる人を大事にするべきだと思います。若者に人気のSNSに進出したからって一気にファン層変わったりなんかしないよ。

この世は複雑です。「頑張っていればいつか報われる」なんて単純なものではない。でも頑張らなければ始まらない。なぜならみんな頑張っているからです。重要なのはいつどの方向に向かってどんな風に頑張るか、であって、とにかくがむしゃらに何かやればうまくいくというわけではないんです。

手越くんの場合は時期を見るの下手くそだったなと思います。どう考えても今後のエンタメ業界どうなるか読めないコロナの初期に独立すべきではなかったし、かつてのファンを怒らせるような四部作完結前にやめるべきでもなかった。彼が独立しそうなのは正直ファンならみんなわかっていました。彼ジャニーズにハマっていませんでしたから。いつかはやめるんだろうと思っていた。でもあのタイミングで投げ出すのはいくらなんでも悪手です。しかもあの数ヶ月で二度も問題を起こしての、自粛の最中にの独立ですからこれはどう見ても逆ギレ退所。いくら本人が会見でそれっぽいことをペラペラ話したとしてもよほど頭の軽い人以外は騙せませんよ。滝沢くんとか年齢の近い人がマネジメントに回って偉そうに処分を下したのが許せなかったんでしょう。大きなチャリティー企画から外されたのも頭にきて、メンツを潰されたとでも思ったんでしょう。

でも人間悔しくても耐えてやり過ごさねばならない時というのはあって、彼に撮ってはそれがあの時だったんですね。でもそれがわからなかった。彼の周りのスタッフも多分YESマンが多いんじゃないのかな。NOと言われることに耐えられない人なので。でも正直衝動と思いつきで生きてる彼にNOを言わない時点であまり思慮深いブレーンではないでしょう。スタッフ見直した方がいいと思う。お友達とビジネスパートナーは違うよ。

前向きと楽観的は違うということ、手越くんがわかってくれたらなと思います。そしてワースケースを想定することは弱腰ではないよ。