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2021年衆議院議員選挙を比例区の得票数で見る

2021年10月31日投開票の衆議院議員選挙について、比例区の得票数を過去と比較して考えてみたいと思います。

2000年~2021年の得票数

2000年~2021年の比例区得票数を見ていきます。政党の変遷があるため、強引ですが、4つに政党を分類して集計しました。
自公、民主系、左派政党、保守系野党の4つです。
民主系には旧自由党も入れました。また民進党、日本未来の党、生活の党、立憲民主党、希望の党、国民民主党を含めています。
左派政党には日本共産党、社民党にれいわ新選組もここに含めました。
保守系野党は維新の党系列(大阪維新等)にみんなの党も含めています。
それ以外の政党(保守党や国民新党、新党日本、NHK党等)は集計の継続性や規模を考え外しています(その他に入れています)。

比例区推移2

集計するとこのようになります。この21年間は民主党政権前、以降で大きく分かれますが、一目瞭然なのは、二つです。維新などの台頭により、既存政党は議席数を減らす傾向にあるということです。
赤く塗ったところが得票数トップ3ですが、明確です。
そして自公は衆議院議員選挙に関して言えば、過去4回よりもが多いのです。
そして2012年に政権奪回した自公ですが、大敗した2009年の得票を上回ったことは2回しかなく、昔の信頼を取り戻せていないことがわかります。その中で岸田首相になって回復したとも言えます。
そして2017年と比較すれば民主系は得票数を減らしています。
元々中道政党だった民主党が分裂・統合を繰り返していますが、維新に多くの票がここ最近の選挙と比較して流れていること考えると、中道右派と中道左派の政党に分かれて競い合うほうが多くの比例区得票数を得られることが推測できます。

自民党の比例区得票数

自民党比例区-2

自民党の比例区の得票数と党首を並べてみました。
この21年で比例区の得票数が2000万票を超えたのは4回しかありません。
小泉旋風が吹き荒れた2001年参議院選挙や、2005年の郵政選挙が代表例ですが、2003年参議院、2016年参議院の4回。2021年衆議院は2000万票に迫り、ここ21年では5位です。

小泉氏は国政選挙4回中3回2000万票超えたのに対して、安倍氏は7回中1回しか2000万票を超えていません。選挙に強いという見方もある安倍氏ですが実際はそれほど比例区では評価されていなかったようです。
そして岸田氏は2000万票に1回で迫りました。2回連続で比例区得票数を減らしていたことを考えると、岸田氏を自民党総裁に指名した党首選挙の結果は吉と出ています。
中道イメージが強い人が自民党の首相になることのメリットでしょうか?
なお、森・麻生・谷垣の3名は2000万票超えていません。
なお、連立を組む公明党も今回700万票超に回復しています。

民主党系の比例区得票数

民主党系の比例区は、民主・民進・立民を中心に、自由・日本未来・生活、希望・国民にわけてみました。

民主系比例区-2

民主党と自由党が合併して以降2000万票を超え続けて2009年に政権交代を果たしましたが、2010年の参議院議員選挙では2000万票を割り込み2012年に政権を失いました。

それ以降に民主党系で2000万票を超えたのは2017年のみです。1200万票前後がここ最近の得票数です。みんなの党、維新勢力の台頭で多くの票を失っています。
自民党も以前より得票が少ないと書きましたが、民主党系の方が多くの票を失っています。
2019年参議院よりは立憲民主党の得票数は増えていますが、2017年と比較すると横ばいです。日本共産党との選挙協力は効果が薄いと言えるのではないでしょうか?
特に中道色の強い岸田氏の首相就任により左派色が強まったことも影響していると思います。組織票に頼らない政党と考えると、中道路線に戻り、保守・左派も抱え込む民主党時代に戻り、過去の失敗を活かす路線の方が比例区得票数は増やせるのではないかと感じます。

維新系の比例区得票数

つづいで維新系です。何度か政党名が変わっています。また異論はあろうかと思いますが、分析する上でみんなの党もここに入れています。次世代の党や日本のこころは入れていません。

維新系比例区

先にみんなの党が誕生し、その後維新です。
2012年に大きく得票を増やしたのは、民主系議員が流れたこともあり、2009年に民主党に投票した人たちが多く流れたと推測されます。
その後、民進党への一部合流もありましたが、それ以前よりは旧民主色は薄くなったのではないでしょうか。
その結果、一時期は得票数を減らしていましたが、今の日本維新の会としては2021年衆議院議員選挙は比例区最多得票になります。
公明党を超える得票数で、実際議員数も自民党、立憲民主党に続く第3政党になりました。

今後は近畿以外への勢力拡大ができるかもありますが、立憲民主党が今後どういう路線をとるかによるかなと思います。もし立憲民主党が国民民主党よりになれば影響を受けると思います。また自民党の政策次第でも影響はあると思います。今後に注目です。

左派系の比例区得票数

日本共産党、社会民主党、れいわ新選組も見ていきます。

左派系比例区-2

民主党の台頭で得票数を減らしてきたのが日本共産党と社会民主党です。特に社民党は部分合流もあり、2010年以降議席を減らし、100万票前後しかありません。共産党は一時期民主系から票を奪い返しましたが、ここ最近は減っています。選挙協力も効果なかったと言えるでしょう
そしてれいわ新選組。社民党を超えており、今後さらに増やしていくか注目です。
以前は共産党と社民党で1000万票を超えていましたが、今は500万票前後です。

まとめ

比例区得票数を見れば、自民党・公明党・立民・維新は増やしてはいますが、維新以外は微増、もしくは回復であり、「勝者なき選挙」と言える選挙でした。


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