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自尊心は人を蝕むものなのか?

「陰キャ」と自己紹介をすることが多い。
その理由は、学生時代に経験した出来事にある。
以下にタイトルを並べてみる。

  • カツアゲ先輩に復讐!                       バイクのマフラーにおしっこ注入だ!

  • 後輩に呼び出されボコられそう!                  なら、遠くからエアガンで滅多打ちにして   通報してやれ!

  • 友達がトイレをしていると           バケツで水をかけられた!           なら、加害者の家に萌えポスターを        大量貼付け作戦だ!

こうやって書いてみると
改めて自分がろくな人間でないと実感する。
吐きそうなくらいモテなかった。
そんな自分を一言で表すと
「コミュ力、行動力、強め陰キャ」       ぐらいだろうか。
だからなのか、自分や友達が
ヒエラルキーのどの辺にいて
どう見られるかについて敏感だった。

友達グループの中に、「中二病」なO君がいた。
彼は以前書いた

でドラムを担当した友達である。

O君はスポーツ刈りで丸メガネ
カバンにエアガンを携行していた。
口調はボソボソと話すタイプで
話しかけるときは
「〇〇氏は」から会話を始める人だった。
この時点で「それはイジメられる」と
感じた人も多いだろう。
案の定、O君はいじめられていた。
それを僕が知ったのは高校2年のときだった。 

ある日、O君は
「僕の家は官僚の家系で、いずれ政治家と       
 仕事をするんだ」
とマウントを取ってきた。
偏差値48の高校から官僚が輩出されることは   ほぼなく、彼の成績も中の下だったので
僕は「へー、そうなんだ」と
話だけを合わせてスルーしていた。
おそらく「そうなんだ!O君って凄いね!」という
反応を求めていたのだろうが、10代の僕からすると
「仮に、O君の話が本当だとしても
 他人の権威で自分を上げようとするなよ」
と感じていた。
その後、O君は認められなかったことに
フラストレーションを感じたのか
さらにエスカレートしていった。

「俺は、大隈重信の末裔だ!」
とO君が言い出した時は
「それは大盛りに特盛乗せちまったなー!」
と、全てのオレがツッコミたかった。
こうなると、僕以外の友達もO君とは
距離を取るようになり
彼は徐々に孤立していった。

そんなO君を最後まで見捨てなかったのがT君だ。
以前書いた

で紹介した彼である。
「大隈重信と繋がってるなんて、スゴイじゃん!
  その家計図、今度家に行くから見せてよ!」や
「じゃあ、将来、偉くなったら俺を         
 雇ってくれ よ!」と
T君はO君の言うことを100%信じ
かつ、O君の自尊心を満たす言葉をかけ続けた。

「そんなの、嘘じゃん」
を前提としている僕の接し方は
O君にとって不満なものだっただろう。
逆に、T君の対応はO君にとっては
救いだったと思う。

今の年齢になって気づくのは
【正しい事が、必ずしも正義ではない】
ということかもしれない。

O君は「なれない自分像」に対応するために
「偽りの自分」を用意した。
それに対して
「大隈重信の先祖なわけないじゃん!」
と間違いを指摘することは
O君のただでさえ枯渇している自尊心を
傷つけることになる。

それなら、嘘だとわかっていても
「大隈重信の先祖だなんて、凄いじゃん!」
と反応するほうが
O君の気持ちを尊重していると思う。

嘘を肯定することで、他者に被害が出るとしたら
また話は違ってくるが、高校の仲間内だけの話であれば、嘘を本当のようにしておいても
問題ないと思う。

「昔は、ヤンチャしててねー」とか
「私は、良家のお嬢様よ!」なんて人は
どこにでも見かけますが
【自分盛り】はほどほどにしておいた方が
嫌われないと思います。

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