見出し画像

お勧めじゃない映画

近藤です。

台風が過ぎたと思ったら今度は激しい雨と日差しが交互にやってきます。山の我が家周辺は洗濯物を外に干すのは賭け。そんな時期です。

最近、「あゝ荒野」という映画を観ました。原作は寺山修司の小説。小説の題名だけは知っていましたが、寺山修司という名前と荒野、という漢字から「怖そう」と思って読んだことはありませんでした。

いい映画だよ、と人に勧めるか?というと多分勧めません。

痛いです。この映画。ボクシングが真ん中にあるのですが、肉体的にも精神的にも叩きのめされる。観たくなくなる。でも目が離せなくて、興奮して、涙が出てくる。登場人物の方が本当に「生きてる」ってことで、自分の人生が実はホームドラマの作り物なんじゃないかと思うぐらい。

この映画を観て思い出したのは「ポンヌフの恋人」と「三月のライオン」でした。

どちらも一人で複数回観た映画。あまり感想とか語ったことがない映画です。ちなみに、三月のライオンは最近の将棋の映画ではありません。1992年に公開されたもので監督は矢崎仁司。就職説明会に行く途中、映画館の前に「本日最終日」と書いてあり、帰りに観に来たんじゃ終わってるなあ、と映画館に入ってしまった作品でした。

どちらも日本での公開は1992年、私が大学4年生の年。バブルがはじけ、就職氷河期と言われた最初の年。きつい年にきつい映画を一人で観た訳です。

当時は自主映画をやっている学生の中で「メジャーな映画を観るのはかっこ悪い」みたいな空気がありました。ポンヌフいいな、と思っていたけれど、そこそこ流行っちゃったから映画部的には「かっこ悪め」。三月のライオンは全然メジャーじゃなかったから「いいの見つけてきたやん」という評価になるだろう映画でした。

でも、大学生の私としてはなんの評価もして欲しくない映画だったので誰にも勧めなかった映画でした。

「あゝ荒野」の世間の評判は分かりませんが、ポンヌフの恋人や三月のライオン、そのほかの私に刺さる映画と同じように誰かと一緒に観たり、感想を共有したりしたい映画ではありません。

これだけ書いておいてなんだ、という気もしますが、この3本ともお勧めしません。

時々、こんな種類の映画に出会います。ひとり用映画。

そういうジャンル、あったりして。

では、また。