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弦楽かあさん

近藤です。

少し前から子どもオーケストラの小さい子クラスのお手伝いをしています。

先生一人でピアノ伴奏もしながら大変だなあと思っていた時、仕事で知り合った方がピアノの経験がおありと聞き、スカウトしました。

ピアノの伴奏の先生が見つかったのでよかったと思っていたけれど、小さい子どもたちはまだバイオリンの出し入れも大変そうだし、楽譜がうまくめくれなかったりもするので、「お手伝いのおばちゃん」をさせてもらうことにしたのでした。

自分の子どもを見ていた時はちょっと鬼母で「レッスンまでにこれができていないと子どもたちが叱られる。かわいそうだからちゃんとやらせないと」と思っていたのですが、「自分が怠けてる母親だと思われるのが嫌だ」という気持ちもありました。

そんな母の元、レッスンに行っても家で弾いても楽しくない!と感じていたであろう我が子たち、特に娘は小学校5年生頃からバイオリン嫌いになり、6年生の夏頃からはバイオリンのレッスンの日が来ると頭痛や腹痛が激しくなりました。そしてこれ以上続けることができなくなり、中学に上がってすぐバイオリン教室をやめたのでした。これは娘が辛くなったのは先生が悪かったわけでは決してなく、私が常に最大の圧力をかけ続けていたせいなのです。

けれども、今オーケストラに来ている子どもたちに対してはそんな母親としての暗い気持ちがないのでなんだかただただかわいいのです。いい音が一つ、二つ出ると「どうだ!」という顔でこちらを見る様子に「いいぞいいぞ」とこちらも心が躍ります。

こんな気持ちで娘を見てやっていたらレッスンが厳しくても彼女は頑張れたのかな、と思うことがよくあります。バイオリンは思った音が思ったようにだせるまでに割と時間がかかるので、小さい子たちにとっては楽しくないこともたくさんあります。

オーケストラの子どもたちの中には悔しくて涙が出てしまう子もいるし、「むーりー」と諦めてしまう子もいます。それでも先生がちょっと先にある楽しさを示してくれているおかげでみんなワクワクして翌週も元気にやってくるのだろうと思います。

毎週「楽器のそばで走らなーい!」と大声を出したり、ピアノの先生がお休みの時は代打になり、弓はこうやって持つんだよ、なんてちょっと言ってみたり。あの頃の我が子たちにしてやればよかったと思うことを目の前の子どもたちにすることで私の音楽への後悔が薄くなってきました。

さて、この数年は山の我が家では何にも言わなくてもバイオリンを出してきて弾く子どもたちに「ご近所迷惑だからもうやめなさーい」というのが日課です。

今も私の周りで我が子たちがバイオリンを弾きながらうろうろしています。じっとして弾かないのかしらと思いますが、歩くのが気持ちいいならそれもいっか。

夫はチェロを弾いているので椅子に座ってますけどね。

さて、私もメンテナンスしたばかりのビオラを持って参戦します。

では、また。