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冷蔵庫は魔窟

子どもがいるから、共働きだから、そんな理由で背の高い大容量の冷蔵庫を使っている。確かに大容量だが自分の背より高いところの棚とそれぞれの棚の奥の方は何かが押しやられて賞味期限をすっかり過ぎている、とか自作の瓶詰めの保存食を大事に食べ過ぎてカビが生えてしまったりしている、なんてことがある。

夫は賞味期限奉行で冷蔵庫に期限切れ間近の食品を見つけると「これどうするの?」と急かす。黙って料理に使ってくれよ、と思うのだが私は「大丈夫。予定があるから置いておいて」といってそのまま忘れていることが多い。

午前中の仕事前にちょっと時間があればちらっと冷蔵庫をチェックする。その時に今日は絶対これらを食べることにしようと思って冷蔵庫の棚の目につくところに置いておくのだが、仕事が立て込んで気力がゼロに近くなることもしばしば。そんな時は予定変更となり、またもや賞味期限間近のものが冷蔵庫の奥に追いやられてしまうのである。

我が家の平日の夕食は野菜とタンパク質と糖質が何となく取れてればいいじゃないか、みたいな気楽なものである。

子ども達には小さい頃から「ジェフの家もマライアの家も(適当に外国の友達の名前を使ってきた)遊びに行ったらこんなごはんだったでしょ。これも体にいいからね。日本食は体にとってもいいけれど、特別なものなんだよ。だから毎日食べるのは大変なのだよ」と私の勝手な言い訳を聞かせてきた。おかげで手の混んでいない料理でもなんでも、文句を言うこともない。習慣とは恐ろしいものである。

冷蔵庫を買うなら横広いものがいいな、と思う。奥行きがありすぎるのは私のような人には向いていない。そして、もう一つ言えば冷凍庫と野菜室が充実していれば大容量の冷蔵庫なんていらないとも思う。以前は頑張っていた作り置きもやめたので保存場所は小さくていいのだ。「神が安息日として決めた日を作り置きおかずに使うなんて許されないわ」とまた言い訳をする私。クリスチャンでもないのにこんな時だけ神様を持ち出すのだ。

アメリカで暮らしてびっくりしたことの中に卵の賞味期限がある。生で食べないからだと思うのだが当時は冷蔵庫で1ヶ月近く保存しているのが普通だった。私が住んでいた家は鶏を飼っていたので、朝、子ども達が生みたての卵をとってくる。それらをよく洗って(サルモネラ菌が怖いから)冷蔵庫へ保管。古いものから順に食べるのだった。

職場の小学校でも鶏を飼っていて、やっぱり同じようにする。違うことといえばサインペンで日付を書いてから冷蔵庫へ入れるぐらい。毎週月曜日に学校で作る「ホットミール(温かいご飯)」の時に使うのだ。

産みたて卵なら卵かけご飯とかにすればいいのに、と言ったことがあるが、私のホストファーザーはサルモネラ菌の怖さを蕩々と語り、私が諦めるまで諭したのであった。

そんなこともあって、私は卵の賞味期限にとても寛大である。卵以外も基本的には寛大。だから夫の仕事は増えるばかりなのであるが。

早く小さい冷蔵庫を買って家の中に置き、大きな冷凍庫と野菜専用冷蔵庫(そんなものが家庭用にあるのかしら)をガレージに置きたい。そうすれば私も夫も楽になる。ただ問題はガレージである。我が家にはカーポートしかないのだ。

では、また。ごきげんよう。