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檸檬

近藤です。

今年は早朝からのセミの鳴き声で目が覚める山の我が家です。涼しい朝はどこへ行ったのでしょうか。

息子が文豪ストレイドックスという漫画に夢中です。

その影響で近代日本文学にも興味を持ったようです。子どもからの質問や感想は学生時代に国文学を学んだものとしてはかなり嬉しいこと。梶井基次郎に中島敦、与謝野晶子に国木田独歩、谷崎潤一郎などなどの本はないか、と聞かれます。

あれはここの本棚、これはあの部屋の本棚、その本は私の実家、ああ夫の実家にも文学全集が1組か2組ぐらいあったぞ。なんて返事をしますが、最後には

「日本文学全集はあんまり人気がないから近所の図書館へ行けばライバルなしで借りられるよ」と助言。いいねいいね、と喜んでいたらまさかの

「おかあさん、ドストエフスキーの罪と罰ある?」

とのお言葉。

うーん、ごめん。カラマーゾフの兄弟ならある。罪と罰なんてベタだから持ってないなあ、と思っていたら娘がとなりの部屋から一言。

「カラマーゾフって父と息子が一人の女の人を奪い合うんよねえ」

ときました。私が高校生の時は読んでなかったよ、ドストエフスキーなんて。ちょっとエグい感じだったし。

文学についてあれこれ話していたら、思春期男子と近代文学って妙に合うなあと思いました。混沌とした気持ちの中に心が晴れている日もあれば、土砂降りの日もある。全部大事な心模様。大人になったら取るに足らないと思うような心のモヤモヤにどっぷり浸かる感じは思春期も近代文学も同じだわ、と。

今朝、「お母さんは梶井基次郎の檸檬に出てくる本屋さん(丸善)に行ったことがある」とかなり自慢げに話したら尊敬されました。行っただけなのに。檸檬も置いてこなかったのに。

24歳の私、丸善に行っといてくれてありがとう。お母さんになって子どもに自慢する日が来るなんて思ってなかっただろうけど、かなりポイントの高い経験をしといてくれたよ。

本当にありがとう。

では、また。ごきげんよう。