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家族を大切にすべきという話 2024.07.3週分週報

社会の役に立ちたい、社会の課題を解決したいという欲求は多くの人にあると思います。ある程度自分が満たされると、誰かの役に立ちという発想になるのは自然なことなように思われますし、それはきっと素晴らしいことです。そういったモチベーションを軸にして転職先の企業を選ぼうとしたり、もしくは自分でビジネスを立ち上げようとする人の中には、できるだけ社会貢献性の高いビジネスを行おうとすることがあると思います。しかし、それは悪いとは言わずとも、私としては、社会貢献の活動はもっと身近なところに目を向けて取り組まれるべきことだと考えてきました。その最も卑近な例が、家族を大切にして幸せにするということだと思っています。

ベアーズナビを創業した当時(正確にはMBOで以前の投資家から買戻した際)、これからベアーズナビとしてどのような事業を行っていこうか、何を目的としていこうかを考えました。貧困、環境問題、紛争、教育格差など、世界には解決されるべき課題が多くあり、当時はその一助となりたいと思って、事業の方向性を考えようとしたことがあります。

しかし、全員が遠い距離にある大きな問題の解決を目指した場合、身近な問題は誰によって解決されるのでしょうか。たとえば、私が大きな社会問題の解決することを目指す傍ら、従業員の精神的・経済的幸福度を高める努力をしていない場合、一体それは誰の手によって改善されるのでしょうか。クラスでいじめられている子がいた場合、その問題の解決に尽力しない状態で社会課題の解決を語る教師についていきたいと思うでしょうか。

遠い距離の課題ばかりに目を向けた場合、身近な課題は放置される可能性があります。しかし、全員が近い距離の課題から順番に解決しようとしていった場合、あくまで理屈上の話ですが、それぞれの課題は隙間を残すことなく、順番に解決されていくはずです。その意味で、社会貢献を目指すなら、まずは自分の影響力によって身近な人から順番に幸せにしていけるように努力するべきだと思います。そう考えたとき、最も近い距離にある存在は家族です。もちろん人それぞれ家族を大切にできない家庭事情などはあると思いますが、少なくとも心掛けとして家族を幸せにする努力から始めるべきではないでしょうか。

近い距離で関係する地域社会の人々が、クラスメイトが、ひいては家族が、その人に寄り添ってサポートすることを煩わしく感じて遠ざけた結果、誰にも救ってもらえなかった少年が残虐な事件を起こしてしまうのだと思います。だとすれば、定期的に起きてしまう残虐な事件は、その個人の問題ではなく、社会としてそういった小さな因子を放置してきたことによる問題であると言えます。

ベアーズナビが1兆円の売上目標を謳うのは、それがベアーズナビにとって身近な存在である、従業員、取引先、株主、というステークホルダー(利害関係者)を幸せにするための手段であると考えるからです。1兆円の売上を達成するために、身近な距離に存在する従業員の幸福度が低下してしまうなら、本末転倒だと思っています。

そうはいっても、現実に生きる私たちにとって、身近な問題を完全に無視せずして生活し続けることはできないと思います。美しい生き方をしても、それが自分の報酬に跳ね返ってくることはありません。ベアーズナビとしても、ドライに数字に基づいた評価をせざるを得ないですし、私の言うことは結局綺麗事だと思います。

しかし、社会に役立ちたいと口にするのであれば、身近な問題を放置していることは矛盾した態度であると思いますし、少なくとも家族は幸せにするよう努めるべきだと思います。

社員の皆さんもまずは家族を大切にできるように努めてください。仕事は2番目でいいと思います。家族を幸せにするために仕事一生懸命に取り組んで、次に仕事に関係する仲間であったり仕事に関係する顧客を幸せにしようとするという順番でよいと思います。


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